全国最高協議会 下


ガンジー〕「敵をも友に変えてゆけ」
◆◆◆自分が太陽と輝け!! 
◆快活に! わが人生を劇の如くに


 一、自分が太陽と輝くことだ。
 何があろうと、カラッとして明るく、生きて生きて生き抜くのだ。
 「心こそ大切」(御書1192ページ)である。最後まで「戦う魂」が光っ
ていなくてはいけない。
 とくに、リーダーが重たい雰囲気だと皆が停滞してしまう。まず自分が変わ
ることだ。リーダーが変われば、勝利の前進の大波が起こる。
 沈黙は卑怯である。確たる哲理を語り、励ますことが、皆の力になる。
 飛行機が飛び立つ時のように、勢いよく行動することだ。
 たとえば朝であれば、「おはよう!」「おはよう!」と、元気よく声をかけ
る。皆から「人が変わったみたいだ」といわれるくらいに動いてこそ波動は広
がる。
 快活に、同志とともに、わが人生を、劇のごとく生きるのだ。
 大勢の後輩から「さすがだ」「立派だ」「素晴らしい人生だ」と仰がれる見
事な模範となっていただきたい。
 人生に悔いを残してはいけない。一人の偉大な庶民として、創価の無上道を
歩み抜くのだ。
 使命に生きる人生は崇高だ。恩を忘れない人生は美しい。永遠に光る。
 今こそ民衆の真髄の力を、歴史に厳然と残してまいりたい。

■「学会には家族のような温かさが」
 一、対話こそ平和の王道である。
 現在、アメリカの「平和研究の母」として著名なエリーゼ・ボールディング
博士との対談も順調に進んでいる。
 博士は5人のお子さんを育てながら、母として、また主婦としての経験を存
分に生かして、独創的な平和研究に取り組んでこられた。
 これまで「国際平和研究学会」の会長として活躍され、一貫して「平和の文
化」の重要性を訴えてこられた方である。
 83歳の今も、世界に平和の声を発信され、行動を続けておられる。

◆平和は一対一の対話から
エリーゼ・ボールディング博士〕 女性の声をもっと生かせ

 博士は、かつて日本を訪問し、創価学会の婦人部と交流をされた。私との対
談の中でも、その思い出を語っておられた。
「私は、車座になって、座談会を行っていた婦人部の方々とお会いしました。
そこで私は、本当の人間の精神を感じたように思いました。家族と過ごしてい
るような温かさを感じたのです」
「(座談会のような)小グループの会合の利点は、お互いの顔が、平等に見え
ることです。そして、お互いの話をよく聞き、お互いをよく知ることができま
す。それによって、心を一つにして、目的へと進むことができるのです。
 創価学会が座談会を伝統としていることは、よく存じています。大変に賢明
な運動のあり方だと思います」

 一、また博士は、女性や母親への期待を、次のように語っておられた。
「母親は一日中、子どもたちの言い分を聞いていますから、女性はどうしても
男性より聞き上手になります」
「じつはそのおかげで、女性はとても賢くなれるのです。それは、男性が耳に
することもない多くの事柄を、彼女たちが聞きとるからです。
 女性は、男性がとても及ばない、大変な聞き上手です。その意味で、女性は
素晴らしい平和の創造者になれるのです」
「女性には、もっと頻繁に公共の場へ出て、経験的に学んだ事柄を、もっと多
く発言する機会を与えねばなりません」
 相手の声に耳を傾け、よく話を聞く。そのことで、自身が成長できる。友も
心を開く。深い友情を結ぶことができる。
 こうした心と心を結ぶ対話こそ、平和への一歩であり、「平和の文化」の最
も確かな推進力である。
 博士は、この相互理解の対話運動の模範を、SGI(創価学会インタナショ
ナル)に見いだしておられるのである。
 言論の自由は、万人のものである。創価人間主義を堂々と語り抜くことだ。
「一対一の膝づめ談判によって、広宣流布は成し遂げられる」とは、戸田先生
の指導であった。

 一、博士の夫の故ケネス・ボールディング博士は、著名な経済学者であり、
宇宙船地球号」の概念を提唱した平和運動家であった。
 ケネス博士のモットーは、「存在自体が可能性の証である」。生前、よくこ
う語られたという。
 ――「平和の文化」は「戦争の文化」という大海に浮かぶ、小島のような存
在である。しかし、たとえ一つでも"平和の島"が存在するなら、それは必ず、
二つ、三つと広がっていくであろう――と。
 どんなに困難でも、どれほど状況が深刻でも、わずかでも可能性があるかぎ
り、絶対にあきらめない。夢は、必ず実現できる――博士は、偉大な楽観主義
者であった。
 エリーゼ博士もまた、その信念を共有しておられる。そして、こうしたケネ
ス博士の楽観主義の精神を、未来の世代に受け継いでほしい、と望まれていた。
「不可能を可能にする」妙法を持つ私たちは、最強の楽観主義者である。どん
な困難にあっても、「断じて乗り越えてみせる」との強き一念と行動で、"す
べての人が幸福に生きる世界"を築いてまいりたい。

■宗教なき社会は羅針盤のない船
 一、ナポレオンは述べている。
「国家にとって確固とした永続性のある支えとなるのは、宗教だけである。宗
教なき社会は、羅針盤のない船のようなものである」〈長塚隆二訳)
 ローマ法王庁と「宗教協約」(コンコルダ)を結んだ際の言葉である。
 ナポレオン自身は徹底した近代合理主義者で、信仰はもっていなかった。聖
職者の堕落と虚偽を嫌ってもいた。
 しかし、宗教が民衆にとって切っても切り離せないものであることは、よく
わかっていた。だから、フランス革命が否定した宗教を、国家を安定させるた
めに、復活させたのであった。
 一、20世紀、宗教的信念を非暴力の社会変革のうねりへと高めていったの
が、ガンジーであり、キング博士である。
 現在、ドイツの首都ベルリンの市庁舎で、「ガンジー.キング・イケ
ダ」展が開催され、各界に反響を広げている。〈10月4日まで〉
 これは、ドイツ外務省などの後援を受けて、ガンジー・サーブ財団、マーチ
ン・ルーサー・キング協会などが主催したものである。
 開幕式には、「核戦争防止国際医師の会(IPPNW)」ドイツ支部の創設
者で、精神医学者・平和活動家のリヒター博士、かつてガンジーのアシュラム
(研修道場)での生活を経験したフィッシャー元駐印ドイツ大使など多数の来
賓をはじめ、市民ら500人が出席された。ドイツSGIの代表も参加した。
 式典では、アメリカ・モアハウス大学・キング国際チャペルのカーター所長
が講演を行った。またベルリン市立マハトマ・ガンジー高校の合唱団の皆さん
が、「ウィ・シャル・オーバーカム(私たちは必ず勝利する)」を歌ってくだ
さった。
 ガンジー・サーブ財団のルーエ理事長は、「これほどの幅広い世代による"非
暴力の集い"は歴史的な出来事です」と感銘しておられたという。
〈カーター博士は講演で語っていた。
ガンジーとキングの非暴力の思想を、より深く理解し、より高めたのが、池
田博士であります。人が真の意味での『非暴力の人生』を貫くには、深い精神
性がなければなりません。
 池田博士、そしてSGIの思想は、日蓮大聖人の仏法を根柢にしています。
仏法の真髄は、すべての人々すなわち自分にも相手の中にも『最も神聖なもの』
を認めることであります。これこそ、平和と非暴力を第一義とする思想です」〉

◆◆インドの裁判官が命令――
   「悪い政治家はガンジーを学べ
 自らを改革し 民衆に尽くせ」

 開幕式以降、多数の市民が訪れ、ベルリン市長、副市長も大変、喜んでくだ
さっているとうかがった。ドイツSGIの友から喜びの報告が寄せられたので、
紹介させていただいた。

 一、社会を繁栄へ、安穏へ、幸福の方向へ向けていくには、確固たる哲学が
不可欠である。
 偉大な民衆指導者であったガンジーの精神を、どう現在に生かしていくか。
先日、興味深いニュースが伝えられた。
 南インドのチェンナイ(旧マドラス)の裁判所で「政治家が、ガンジーの自
伝を読むよう命じられた」というものである。
 ある野党の政治家が、土地をめぐる争いで他人を脅迫したとして告訴された。
 担当の裁判官は保釈の際、その政治家に、マハトマ・ガンジー博物館に通い、
毎日、来館者名簿に記帳するように要求した。また、マハトマ・ガンジーの自
叙伝『真理の実験』を買い、それを読んでいる証拠を提出するように命じたの
である。
 その政治家は、全560ページのうち、56ページまで読み終えていること
を報告したという。
 なぜ裁判官は、こうしたことを求めたのか。
 それは、政治家が「偉大な平和主義者であるガンジーの著作に親しむことに
よって、自らを改革し、より有権者に奉仕できるようになる」との考えからで
あった。

■深き精神性で社会を照らせ
 一、ガンジーは、政治家の腐敗とは徹して戦った。そして、こう語っている。
 「私の行動は政治もその他のすべての行動も私の宗教から発しているのだ」
(古賀勝郎訳)
 「政治は宗教から離れては、唯だ埋めるより外ない屍のようなものである」
(高田雄種訳)
 哲学なき時代にあって、深き精神性の光で社会を照らす創価の運動が、どれ
ほど尊く、偉大であるか。
 世界の良識も高い評価を寄せていることは、皆さまがご存じの通りである。
 私たちは、大きな誇りを胸に、人間主義の連帯を一段と広げてまいりたい。

 一、邪悪に対しては、断固として戦い抜かねばならない。
 釈尊も、極悪の提婆達多と戦った。日蓮大聖人も、僣聖増上慢の良観と戦わ
れた。
 その正統であるがゆえに、学会は、現代の提婆達多とも、現代の良観とも、
断固として戦う。
 「悪人を排斥する団体は、最大多数の善良者を安心して結合させることがで
きる」
 これは、牧口先生の確信であった。
 不当な暴言には、正義の言論で、何倍も打ち返す。これが折伏精神だ。大聖
人の魂である。
 仏法は、永遠に仏と魔との戦いである。「戦う心」を失えば、もはや退転で
ある。
 仏法の因果は厳しい。厳しいゆえに、広布へ戦い抜けば、幸福は絶対である。
勝利は絶対である。悪人を打ち破るのが、正しき信心である。

 一、ガンジーは言った。
 「最終的には、遺恨なく、敵をも友に変えられるかどうかが、非暴力の厳し
い試金石である」
 事実、ガンジーは非暴力闘争を展開していた南アフリカで、最も激しく対立
した敵の将軍とも友情を結んでいる。
 社会を向上させていく闘争は、一次元からいえば、「敵」をも「友人」に変
え、「味方」をつくる戦いである。
 大聖人は、大きな危難のなかにあった四条金吾を励まして、「源義経は、平
家を攻め落とすことは、全く難しかったが、平家方の阿波(徳島)の豪族・田
口成良(成能=しげよし)を味方にひき入れて、平家を滅ぼした」(御書11
72ページ、通解)との話を示しておられる。困難にあって、いかに活路を開
いていくか。勝利を手にするか――。聡明に、粘り強く、縁する人を味方にし
ていくことを教えておられるのである。
 一、また大聖人は、別の御手紙で、金吾にこう仰せである。
 「この日蓮は、(一切の諸天善神が守るべき)首題の五字(妙法蓮華経)を、
あなたに授ける。法華経受持の者を諸天善神が守護することは、断じて疑いな
い」(同1192ページ、通解)
 「法華経に勝る兵法なし」である。
 ますます意気軒高に、強盛なる信心で、異体同心の団結も固く進んでまいり
たい。未曽有の上げ潮の、勝利、勝利、また勝利の前進を決意し合って、私の
スピーチを結びたい。
 お体を大切に! 
 お帰りになったら、各県長、県婦人部長をはじめ、方面の全同志に、くれぐ
れも、よろしくお伝えください! (大拍手)
(2003.9.30 東京新宿 信濃文化センター)