各部代表協議会 下


◆◆◆平和の対話を全世界へ

◆◆【タイ元首相】外交の秘決は「誠実さ」正しい目的へ忍耐強く! 



 一、健康な人生、楽しい朗らかな人生、そして「勝つ人生」を生き抜いてい
ただきたい。
 勝った人は、喜びと誇りに満ちて、悠然と進んでいける。負ければ不幸であ
る。惨めである。
 断じて勝利しよう! 
 勝つための根本は信心である。
 信ずるものは、御本尊と自分である。自分自身が勝つことである。

◆◆広布の女性に世界一の大福徳が! 
■諸天は喜び貴女を守る
 一、きょうは、女性の通訳、また海外の女性リーダーの皆さま方が多く出席
されている。
 日ごろのご健闘を讃え、日蓮大聖人が女性の弟子に贈られた御聖訓を拝した
い。
 まず、日女御前への御文である。
 「女性の身として(法華経を信仰し)法華経のお命を継いでおられることは、
釈迦仏、多宝仏、全宇宙の諸仏を生み育まれた父母のお命を継いでおられるこ
とになるのです。このような功徳をもっている人は、世界中に、ほかにいるで
しょうか」(御書1250ページ、通解)
 法華経は、あらゆる仏を生み育てた"父母"である。その法華経を、すなわち、
一切の仏の根源である妙法を、皆さま方は広宣流布しておられる。
 皆さま方こそが「一閻浮提第一」の大功徳を持てる方なのである。
 一、また、大聖人は、松野殿の夫人を、こう励まされた。
 「女性の身として、このような末法の濁った世にありながら法華経を供養な
されたのですから、大梵天王も天眼をもって御覧になり、帝釈天は合掌して(あ
なたを)礼拝され、地神(大地の神)は、御足を大切に押し戴いて喜び、釈迦
仏は霊山浄土から御手をさしのべて、あなたの頭(こうべ)をなでられること
でしょう」(同1394ページ、通解)
 まさに、諸天善神が皆さまを守り、皆さまに仕えていく。全宇宙の仏が、皆
さまを包み、讃歎していく。そういう大境涯となることを、悠々と確信してい
っていただきたい。
 世界広布に生きゆく皆さま方は、最も広く大きい人生を生きておられる。す
べての労苦が大福運と変わらないわけがない。
 一、大聖人は日女御前への御手紙に、こうも記しておられる。
 「悪知識を捨てて善友に親近(しんごん)せよ」(同1244ページ)
 「此の御本尊も只信心の二字にをさまれり」(同ページ)
 「信心の厚薄によるべきなり」(同ページ)
 御本尊は正しい。絶対にまちがいない。要は、信心があるかないかである。
それによって、天地雲泥の差となる。
 その信心とは、「破邪顕正」の信心である。「広宣流布」の信心である。「立
正安国」の信心である。「異体同心」の信心である。「和合僧」の信心である。
「水魚の思(水と魚のように切り離せない、一体の思い)」の信心である。そ
して「仏法は勝負」の信心なのである。

◆◆◆「声は炎」「言葉は剣」
◆◆【アメリカのヘンダーソン博士】
    言うべきことは断じて言う 誰も私を止められない! 
■対話が道を開く
 一、1993年3月、サンフランシスコで「SGI公認通訳会議」が結成さ
れてから、今年で10周年。議長の矢倉涼子さん、副議長の田中真理子さんを
中心に、現在、14言語、総勢92人の陣容へと大発展を遂げられ、私は本当
に、うれしい。
 組織の最前線で、率先して活躍され、尽力してくださっていることも、うか
がっている。
 今日の世界広宣流布の広がりの偉大な推進力となってきた皆さま方である。
世界への道を開いている皆さま方である。いかに賞讃しても賞讃し尽くせない。
 ここで、深い感謝を込めて、皆さま方に通訳していただいた世界の識者との
語らいの一端を振り返りたい。

■「子らを守れ!」と母の怒りの声
 一、アメリカの女性の未来学者・ヘンダーソン博士。
 博士が「皆が勝者になる社会」を目指して、地球社会の変革に取り組むよう
になったのは、大気汚染から子どもたちを守るために、一人の母親として、怒
りの声をあげたことが、きっかけであった。
 巨大な企業や政府を相手に環境保護を叫んだために、「アメリカで最も危険
な女性」と悪口を言われたこともあった。
 そうした中傷さえ誇りとして戦い抜いた博士の勇気を私が讃えると、博士は、
微笑みながら、こう言われた。
 「言うべきことは、声を大にして言っていく。これが私の存在意義だと思っ
ていますので、だれも私をとめることなどできません!」
 一、エジプト初の女性外交官・タラウィ元駐日大使も、強調されていた。
 「女性は元来、戦争を嫌います。その本質は母親だからです。子どもを育て
るゆえに、生命に対してデリケート(敏感)なのです。政治的決定の場に、も
っと女性が加われば、争いや対立を減らせるでしょう」
 大使は、国連の女性差別撤廃委員会の議長を務めるなど、女性の権利向上の
ために、長年、尽力してこられた方である。

■権力者はずるい 善の心は民衆に
 一、わが道に徹してこられた女性の視点は、深く鋭い。ロシア・東洋学研究
所のヴォロビヨヴァ博士も、そういう方であった。
 法華経研究の大家である博士は、こう主張されていた。
 「権力者や聖職者は、ずるいものです。うそをつきます。民衆こそが『善の
心』をもっているものです」

■政治を監視せよ
 一、南米・チリ共和国のエイルウィン元大統領との語らいも忘れられない。
 敵とも、味方とも、粘り強い対話を貫き、幾多の民衆を団結させ、民主化
実現した哲人指導者である。
 私との対談集『太平洋の旭日』で、こう述べておられる。
 「権力というものは、必然的におごりや堕落、権威主義をもたらすものなの
です」
 「民衆自身が強く、賢明にならねばなりません」
 「個々が、一人一人がかかわっている事柄へ大いなる関心をもち、参加する
ことです」
 「統治者たちが本来の任務から逸脱したり、特権乱用の誘惑に陥ってしまう
のも、社会が政治に積極的に参加していないことに原因があります」
 民衆が、強く、賢くなり、政治に積極的に参加せよ、政治を鋭く監視せよと、
強く訴えておられるのである。

■周総理「人民を苦しめる敵と戦え」
 一、中国の周恩来総理とお会いした折、通訳を務めてくださったのは、中日
友好協会の林麗?(りんれいうん)女史である。30年後の今も、変わらぬ友情
で、私どもを見守ってくださっている。
 総理の言葉に、こうあった。「われわれは人民の事業を破壊する敵と闘争し
なければならない。これが団結の前提である」(中共中央ML著作編訳局訳)
 「闘い」なくして「団結」はない。正義の民衆の団結は、民衆の敵と戦う「闘
士と闘士」のスクラムなのである。

■友情が力に
 一、また、タイ王国のアナン元首相は、外交のあり方について私が問うと、
こう答えられた。
 「良い外交は『誠実さ』が基盤になると思います。さらに『忍耐』と『寛容』。
そして『正しい目的』です。何かを操作するとか、策略を使ってだましたりし
ないということです」
 人と人の関係も同じである。どこまでも「誠実に」「忍耐強く」――そうして
築いた友情こそが、人生の宝と輝いていく。
 ドイツの哲人指導者・ヴァイツゼッカー初代大統領の信念の言葉にも、「私
的な生活におけるとひとしく、政治においても、友情は力を発揮する」(加藤
常昭訳)とあった。
 さらに、チェコのハベル前大統領も「真実と道徳は、政治の新たな出発点と
なりうるし、それは今日においても、疑いのない政治的力をもちうる」(石川
達夫訳)と指摘した。
 人間の良心、精神的な価値を基盤にした政治を、世界の心ある人々は、強く
志向している。

■偽物を撃て! 邪悪を撃て! 
 一、そうした政治を実現させる原動力は何か。
 私も何度も語り合った中国の文豪・巴金(ぱきん)氏が、心に叫ぶように綴
っていた。
 「ペンを火とし、剣として、真実のもの・美しいもの・善なるものを歌い上
げ、にせもの・醜いもの・悪なるものを撃ち、作品を通して、国家・社会・人
民に貢献したい」(石上韶訳)
 私自身、一人でも多くの友が幸福と勝利の道を歩めるようにと、毎日、祈る
思いでペンをとっている。
 「声」こそ炎である。「言葉」こそ剣である。正義の民衆の「声」の力、「言
葉」の力に、まさるものはない。

◆◆【チリのエイルウィン元大統領】
      権力は必ず堕落する 国民が強く賢くなれ

 一、ドイツの文豪ゲーテは手紙の中で、通訳や翻訳の仕事は、異なる人々の
精神の交流を促進するものであると述べ、こう記している。
 「なんといっても翻訳は一般世界において最も重要で最も価値ある仕事の一
つであり、また常にそうでありましょう」(山崎八郎訳、現代表記に改めた)
 世界広布の広がりは、多くの優秀な通訳・翻訳者の方々の奮闘なくしてはあ
りえない。
 "現代の鳩摩羅什"の皆さまに、あらためて心から感謝申し上げたい。

■太陽の仏法の力で強敵に勝て! 
 一、あらゆる人が共に生きる世界。
 皆が幸福に輝く時代。
 それが我らの悲願である。
 終わりに、日蓮大聖人が「仏法西還」そして「一閻浮提広宣流布」を託され
た「諌暁八幡抄」の一節を拝したい。
 「月は西から東へ向かうものであるが、それは月氏(インド)の仏法が東へ
流布する相である。
〈はじめ三日月のころは西の空に見えていた月は、毎晩、少しずつ東のほうの
空で見えるようになり、満月の時は東に出る〉
 日は東から出る。日本の仏法(日蓮大聖人の仏法)が月氏に還るという瑞相
である。
 月はその光が明らかでない。同様に、釈迦仏の時代に人々を照らした法華経
が説かれたのは、ただ八年である。日は、その光明が月に勝っている。これは
第五の五百歳、末法の長い闇を照らすという瑞相である。
 仏は法華経を誹謗する者を治されることはなかった。それは仏の時代には謗
法の者がいなかったからである。末法には必ず法華経の強敵が充満するであろ
う。ゆえに不軽菩薩のように折伏を行い、逆縁を結んで衆生を利益するのであ
る。
 おのおの、わが弟子等、信心に励んでいきなさい、励んでいきなさい」(御
書588ページ、通解)
 この御文に仰せの通りの「仏法西還」「世界広宣流布」を、学会は成し遂げ
てきた。
 尊き地涌の菩薩の皆さま方が、生々世々、永遠に大功徳を受けきっていかれ
ることは、絶対に、まちがいない。
 末法万年尽未来際を照らす太陽の大仏法を広宣流布するために、充満する強
敵と、いよいよの力を出して恐れなく戦え! 
 そして勝ち抜け! ――これが大聖人の御遺命である。
 この仰せの通りの雄々しき前進を、ともどもに決意し合い、私のスピーチを
結びたい。
 ありがとう! シー・ユー・アゲイン! (英語で「またお会いしましよ
う! 」)(大拍手)
(2003・10・10)