民主党・小沢代表関連記事

小沢氏慰留を決定=大連立は認めず−民主役員会
 民主党は5日午後、党本部で臨時役員会を開き、小沢一郎代表が提出した辞職願は当面受理せず、執行部が慰留に努める方針を決めた。自民党との大連立は認めないことも確認した。民主党内では、自衛隊の海外派遣問題に限って自民党との政策協議を行うことで、小沢氏を説得する案が出ている。 
時事通信 11-05】

小沢氏の辞意撤回を困難視=役員会では慰留で調整−民主

 民主党は5日午後、党本部で役員会を開き、小沢一郎代表が提出した辞職願の取り扱いを協議する。菅直人代表代行や鳩山由紀夫幹事長ら3役は当面これを受理せず、小沢氏を慰留する方針。役員会でもこうした方向で意見集約するとみられるが、党内では辞意撤回は困難との見方が強まっている。
 役員会に小沢氏は出席しない予定。菅氏らは、小沢氏が辞意を表明した4日の記者会見で「執行部をはじめ同僚議員に進退を委ねた」と述べたことを重視。役員会で「慰留」が決まれば、党の総意として小沢氏に粘り強く代表続投を求めていきたい考えだ。
 ただ、小沢氏が前向きな姿勢を示している自民、民主両党の「大連立」に関しては、2日の役員会で政策協議を含めて拒否する方針を決めており、執行部もこの方針は変えないと確認。このため、小沢氏の辞意撤回は困難とみられる。 

時事通信 11-05】


<小沢代表辞意>「連立構想」拒否され…「もう疲れた」

 まだ薄暗い4日午前5時半、小沢一郎代表の側近、樋高剛・元衆院議員が名古屋市内に滞在していた鳩山由紀夫幹事長を訪ねた。
 「一身上の都合で辞任します」。いきなり辞職願を渡された鳩山氏は青ざめ、「受理できない。民主党は小沢さんのおかげでここまで来た。辞められては党が持たない」と辞任を拒絶した。
 鳩山氏はすぐさま新幹線で帰京し、東京都世田谷区深沢の小沢氏の私邸を訪ねた。しかし小沢氏は不在。赤坂の個人事務所にいた小沢氏をつかまえ、山岡賢次国対委員長と翻意を促した。
 午後4時に党本部で記者会見がセットされたが、党本部の代表室で説得が続いた。
 菅直人代表代行「小沢さんしか代表はいない」
 直嶋正行政調会長衆院選を小沢さんにやってもらうのがみんなの気持ちだ」
 小沢氏「そんなに言ってもらえるなら、みんなに(進退を)預ける」
 小沢氏は会見での表現を「辞任する」から「同僚議員に進退を委ねる」に変えた。しかし、小沢氏は党に対して辛らつな言葉を浴びせた。「民主党は力量不足だ。政権担当能力があるのか」
 「連立構想」が党役員から拒否され、小沢氏は「おれはもう疲れた」と周囲に漏らしていた。同氏側近の西岡武夫参院議院運営委員長は「小沢さんは強いショックを受けた。辞任表明の引き金は、自分が指名した役員の造反だ」と語った。
 自民党渡辺喜美行革担当相は記者団に小沢氏の辞意表明を「オセロゲーム」と表現した。参院選敗北、安倍晋三前首相の退陣で自民党に吹き荒れた逆風が、今度は追い風に変わるという例えだ。
 民主党内ではグループごとに小沢氏が離党した場合、何人を連れて出るか“票読み”が始まっている。連立構想でかやの外だった公明党の幹部も小沢氏の動向が気になってならない。
 記者が「15、16人連れて自民党に戻ってくれば『ねじれ』解消か」と問うと、「しっかり計算しろよ、17人だ」とすぐさま応じた。
 慰留を続ける民主党幹部は「連立入りが代表続投の条件になるのは絶対、駄目だ」と語った。
毎日新聞 11-05】

 民主党小沢一郎代表の会見要旨

小沢代表辞意:安保政策転換、政策協議開始に値する



 民主党代表としてけじめを付けるに当たり私の考え方を申し上げます。
 福田(康夫)総理の求めによる2度の党首会談で、総理から要請のあった連立政権樹立を巡り政治的混乱が生じたことを受け、民主党内外に対するけじめとして民主党代表の職を辞することを決意し、本日、鳩山由紀夫幹事長に辞職願を提出し、執行部をはじめ同僚議員に私の進退を委ねました。
 2日の党首会談で、福田総理は「衆参ねじれ国会」で自民、民主両党がそれぞれの重要政策を実現するため、民主党と連立政権を作りたいと要請するとともに、政策協議の最大の問題である安全保障政策について極めて重要な政策転換を決断された。そのポイントは(1)国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は、国連安保理もしくは国連総会によって設立、あるいは認められた国連の活動に参加することに限る。特定の国の軍事作戦には我が国は支援活動をしない。(2)新テロ特措法はできれば通してほしいが、両党が連立し新しい協力体制確立を最優先と考えているので、連立が成立するならばあえてこの法案成立にこだわることはしない。福田総理はその2点を確約された。これまでの我が国の無原則な安保政策を根本から転換し、国際平和協力活動の原則を確立するもので、私個人は、それだけでも政策協議開始に値すると判断しました。
 民主党は、参院第1党の力を活用して、マニフェストで約束した年金改革、子育て支援、農業再生をはじめ「国民の生活が第一」の政策を法案化して参院で提出しているが、衆院では依然、自民党が圧倒的多数を占めている現状では、これらの法案をいま成立させることはできません。逆にここで政策協議を行えば、国民との約束を実行することが可能になる。
 もちろん民主党にとって次の衆院選に勝利し、政権交代を実現して「国民の生活が第一」の政治を実現することが最終目標です。しかしながら民主党はいまださまざまな面で力量が不足しており、国民からも「自民党はダメだが、民主党も本当に政権担当能力があるのか」と疑問が提起され続け、次期総選挙の勝利は大変厳しい情勢にあると考えている。その国民の皆さんの疑念を払しょくするためにも政策協議を行い、我々の生活第一の政策が取り入れられるならば、あえて民主党が政権の一翼を担い、参院選を通じて国民に約束した政策を実行し、同時に政権運営の実績を示すことが、国民の理解を得て民主党政権を実現する近道と判断した。また政権への参加は、私の悲願である政権交代可能な2大政党制定着と矛盾するどころか、民主党政権を早めることによってその定着を確実にすると考える。
 以上の考えに基づき、2日夜の民主党役員会で福田総理の方針を説明し「政策協議を始めるべきではないか」と提案したが、残念ながら認められませんでした。それは、私が民主党代表として選任した役員から不信任を受けたに等しいと考えます。よって、民主党代表として、また党首会談で誠実に対応してもらった福田総理に対し、けじめを付ける必要があると判断しました。
 もう一つ、中傷報道に抗議する。党首会談に関する新聞、テレビ報道は、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって抗議したい。
 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が連立を持ちかけたとか、果ては今回の連立構想について「小沢首謀説」なるものまでが公然と報道されています。いずれも全く事実無根です。
 朝日新聞日経新聞等を除きほとんどの報道機関が政府・自民党の報道を垂れ流し、世論操作の一翼を担っているとしか考えられません。それにより私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを徹底的にダウンさせることを意図した明白な誹謗(ひぼう)中傷報道で、強い憤りを感じる。
 また、自己の権力維持等のために報道機関に対し、民主党に対する誹謗中傷を流し続けている人たちは、良心に恥ずべきところはないか、自分自身に問うてみるべきだ。

 ◇一議員となっても、次の総選挙は全力投球

 −−今後の政治活動。議員を続けるかどうか、離党の可能性は。

 小沢氏 離党するなどということは今言っていないし、今後の政治活動についてはこれからゆっくり考えます。

 −−大連立にどんなイメージを抱いていたか。

 小沢氏 連立というのは、皆さんご承知の連立でほかに二つも三つも解釈はないでしょ。通常通りイメージしています。

 −−辞意を決意した時点は? この時点で代表を辞すのは、衆院選に向けてマイナスになるが。

 小沢氏 辞職願を出そうと考えたのは昨日。今朝、幹事長に届けさせた。私は一議員となっても、次の総選挙については全力で投球する決意は変わりません。ただ、この党首会談を巡って、このような報道が、私の不徳の致すところで繰り返されることは、党にとって決してプラスでない。また、党内的にも、やはりわが党はまだ若いですから、これを機会にみんなで考え議論して、本当に国民の期待に応えられる力強い、本当の意味での民主主義、民主党になっていただきたいというのが私の願望で、そのきっかけになればいいと思いました。

 −−これまで批判を続けてきた自民、公明と手を組むのは、国民の理解を得られると思ったか。

 小沢氏 生活第一と我々が国民に約束したその政策が、協議によって現実のものになるなら、大変いいことと思います。国民にとって必要な政策を実行するための政治でしょ。それが実行されないでいたんでは、政治の意味がない。参院過半数に近い議席を与えられたことによって、形はどうあれ、国民にとって必要な大事な政策が実行されるならば、大変結構なことだと私は思います。

 −−民主党は何が力量不足か。衆院選前の辞任は、参院選で投票した有権者への裏切りでは。

 小沢氏 政権担当能力が本当にあんのかとか、あらゆる面でまだ今一歩という感じ。また、私に関しては、国民の皆さんに、こういうことになったことを申し訳なく思っていますが、事実無根の中傷報道がなされていたんでは、私がいることが党にマイナスになると判断した結果です。

 −−役員会での反対は予想していなかったのか。説得できるとしていたならば、見込み違いは。

 小沢氏 見込み違いだとか、思惑を持っていたわけではない。国連の活動以外は、自衛隊、軍隊を海外に派遣しないというのは、今までの政府の憲法解釈の大転換だ。私がずっと主張してきたことだ。安易な軍隊の海外派遣はどのような結果を国民にもたらすか。歴史をひもとけばわかる。二度と過ちは繰り返さないためにも、国連を中心にみんなと平和を守っていく。そのために日本は最大限の努力、貢献をしなくてはいけないと言い続けてきた。国民生活の安定と安全のために大事だと思い、私個人としては大転換を福田総理が認めた一事をもっても政策協議に入ることはいいんじゃないかと思った。

毎日新聞 2007年11月4日】


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