各部合同協議会 上


青年は青空に輝く太陽
英雄の如く勝利を目指せ




真剣 誠実 慈愛の名指揮を
励ましで人材をつくれ
戸田先生の叫び「私の命よりも大事な組織」を守れ

一、指導者にとって、一番大事なことは何か。
 慈悲であり、誠実である。
 別の面から言えば、信念であり、正義である。
 この一本の芯があるかどうか。
 人物というのは、見る人が見れば、全部、分かるものだ。
 格好とか、立場とか、役職では、人物は計れない。
 その人の根幹のところを、目に見えない根っこのところを見ていかないといけない。

 師弟不二の心に仏の真髄の力が
 一、きょうはまず、皆さんに、次の御聖訓を贈りたい。
 「願くは我が弟子等は師子王の子となりて群狐に笑わるる事なかれ」(御書1589頁)
 本陣のリーダーは、全員が師子であれ!──こう強く訴えたいのだ。
 また、日蓮大聖人は、四条金吾に仰せである。
 師匠であられる大聖人をお護りし、自らも難を受けながら、金吾は、勇敢に戦った。
 その弟子の奮闘を最大に讃えられた御文である。
 「日蓮の道(=法華弘通の道)を助けようとして、上行菩薩が、あなたの御身に入りかわられたのだろうか。あるいはまた、教主釈尊の御計らいであろうか」(同1163頁、通解)
 師弟不二の心で、難との戦いの矢面に立つ生命には、上行菩薩の力、そして、仏の真髄の力が宿るとの仰せである。
 師弟の精神を、わが胸に刻んだ人は強い。
 それが人材の要件である。
 大聖人直結の我らは、創価の師弟に不可能なし、との大確信で進みたい(大拍手)。

 わが組織に 心血を注げ 
 「戸田先生は、「戸田の命よりも大事な学会の組織」と叫ばれた。
 これが、世界の大偉人である戸田先生の遺言である。
 本当ならば、日本が大宣揚すべき戸田先生であり、牧口先生である。浅はかな為政者などに分かるはずもない。
 この両先生が命をかけて築かれた学会伝統の組織である。そのなかで戦うこと以上の誉れも喜びもないのだ。
 皆の組織である。
 ゆえに、一人の人間の独裁など許してはいけない。
 また、どんな小さな組織であっても、自分に与えられた組織を、きちっと固め、本当に真剣に発展させていく。
 どんな小さな立場であっても、自らの使命を自覚し、真心で励まし、人材を育てていく。
 一人一人を大事にし、スクラムを拡大していく。
 その地道な、人目に付かない奮闘のなかにこそ、異体同心の団結が生まれる。
 会合で偉そうにしゃべって拍手を浴びている。そんなことは、大したことではない。
 組織という"血肉"を大事にして、そこに心血を注いでいけば、そこから新しい人材が生まれ、光っていくのだ。
 組織が育つと、人材が育つ。人材が増える。
 人材が増えれば、さらに、組織は強くなり、大きくなる。
 まさに、組織と人材は、表裏一体である。
 組織がなければ、皆、バラバラ。皆、不幸だ。
 だからこそ、皆で一体となり、団結して、平和と幸福の土台である学会の組織を守り育てていく。それが広宣流布である。
 学会は、世界一の仏法流布の団体である。一生成仏を成し遂げる団体である。
 この組織を壊す罪はあまりに大きい。

 名前を残せ!   
 一、私は今、全魂を込めて、次の時代への広宣流布の大いなる舞台を、日本中、世界中に完璧に仕上げている。
 わが同志が、地球のいたるところで、胸を張って、「どうですか! 創価学会は素晴らしいでしょう!」と誇り高く活躍してくだざることが、私の願いである。
 本部周辺も一段と荘厳していくつもりである。
 私も、そのために、いよいよ戦い、いよいよ働く。決して、油断してはならない。
 どうか皆さんも、広布の歴史に誉れの名前を残していただきたい。
 その功徳が、父母、家族、子孫にと流れ伝わっていくことは、御聖訓に照らして絶対に間違いない。
 青年の時代だ。若手の時代だ。すべては青年部の君たちで決まる。
 また全員が、青年の心で生き生きと戦おう!(大拍手)
 一、さて、話は変わるが、10年ぶりに大改訂された有名な国語辞典『広辞苑』第六版(岩波書店)が、出版界の大きな話題となっている。
 活字文化の興隆を願う一人として、本当にうれしい限りだ。
 この『広辞苑』は、どこを開いても勉強になる。
 たとえば「慢」という字の意味を引くと──。
 「1.おこたる2.あなどる3.おごりたかぶる4.おそい。ゆるやか」とある。(別冊付録の「漢字・難読語一覧」)
 「努力を怠る」「油断する」「横柄になる」「対応が遅い」「横着」「いいかげん」──これらは、すべて「慢」の生命だ。
 すぐに動かない幹部ではいけない。真剣と誠実、スピードを忘れるなと申し上げたい。

ドイツの大詩人 粘り強さだけが目標達成への道だ

 "高貴なものを讃えよ!" 
 一、きょうは、シラー(1759〜1805年)について語っておきたい。私が若き日より愛読してきた、ドイツの国民的詩人、劇作家である。
 大文豪ゲーテ(1749〜1832年)との切磋琢磨の友情は、あまりにも有名である。二人はともに、モスクワ大学から名誉称号を贈られている。〈名誉会長は同大学の名誉博士・名誉教授〉
 ゲーテは「巨人」であるだけに、世間からの嫉妬や反発も大きかった。そんな親友ゲーテを擁護して、シラーは言った。
 「彼は正義と善に対してきわめて真剣なのです。それゆえ、口先人間、偽善者、詭弁家がゲーテの近くではいつも居心地の悪い思いをするというわけです。
 彼らがゲーテを憎むのは、彼が怖いからですし、彼が人生および学問において皮相浅薄なものを心底から軽蔑し、人を欺くうわべを忌み嫌っているからなのです」(西山力也ほか訳、ジークフリート・ウンゼルト著『ゲーテと出版者』法政大学出版局から)
 シラーは、高らかに人間の自由と尊厳を叫び、正義を歌った。
 権力に踏みにじられた人間性のために、断じて仇を討つ!
 これが、彼が作品に込めた信念であった。
 シラーは書いた。
 「輝くものを汚し、高貴なものを悪口することを、人間の世は好むものだ。
 しかし、恐れるな!
 高貴なもの、偉大なものを讃えゆく美しき心は、まだあるのだ」
 それでは、人間の世において、最も高貴で、最も偉大なものは何か。
 それは「師弟の絆」であると、私は信ずる。
 青春時代の私は、戸田先生から、さまざまなことを聞かれ、それに答えることを求められた。
 「シラーの詩を暗唱してみなさい」と言われたことを思い出す。
 先生の地方指導にお供する時など、「御書のどの一節を学んでいるか」「きょうは何の本を読んだ」と厳しい質問が飛んでくる。
 10年間、仕事の前、そして日曜日も、毎日、先生のもとで学んだ。
 遊んでいる余裕などあったものではない。
 指導者となるために必要なのは、頭だ。根性だ。人間としての大きさだ──そういうお考えで、徹底的に私を鍛えてくださったのである。

 「君の道を進め」 
 一、師弟とは、ある意味で、親子以上の関係である。崇高な魂と魂の結合である。
 「師匠に"今から雪の中を走ってこい"と言われたら、喜んで走ってくるのが弟子ではないか」
 豪放な戸田先生は、よくそう、例えとしておっしゃっておられた。
 師匠の牧口先生とともに牢獄に入ったことを、無上の誉れとしておられた。獄死された牧口先生の仇を討つために、先生は立ち上がった。
 私も、戸田先生をお守りするために、青春をなげうってお仕えした。経済的苦境を支え、先生に仇なす人間とは、断固として戦った。
 そういう私を、戸田先生も決して離されなかった。
 「ありがとう」とは言われない。しかし私には「戸田先生にお仕えできることがうれしい」という気持ちしかなかった。
 シラーは綴っている。
 「止まることなく、前へと進まねばならない。決して、労苦に負け、沈黙して止まってはならない。君が、完成へと到達したいならば」
 「ねばり強さだけが、目標の達成への道なのだ」
 そしてある時は「聖なる団結の輪をかたくしめろ」(手塚富雄訳、『世界文学大系18』筑摩書房)と。
 後に続く諸君は、創価の峻厳なる師弟の心を、三代が築いた創価学会の組織を、守り、発展させていただきたい。
 つまらない見栄など投げ捨てて、広布の最前線で、もみくちゃになりながら戦っていただきたい。"あの人に続け"と皆から仰がれる、新たな拡大の歴史を残すのだ。
 シラーの「歓喜に寄す」の一節を諸君に贈りたい。
 「もろもろの太陽が/壮麗な青空を飛びめぐっているように/兄弟たちよ たのしく君たちの道をすすめ。/英雄のように喜ばしく勝利をめざせ」(前掲手塚訳)

女性が光れば組織は栄える
「手堅さ」「緻密さ」「ウソを見破る感性」

 女子部よ育て!
 一、戸田先生は女子部を大切にされた。幸福を真剣に願っておられた。
 ある時は、こう言われている。
 「きょうから、みんな出発するのです」
 「一人ひとりの生命のなかには、御本尊様がおられる」「いっさいを動かすものが『南無妙法蓮華経』の当体にあると、日蓮大聖人様はお説きなされた。その動かす力が、われわれの生命にある。それを開くのである」
 女子部は大事である。女子部が成長すれば、学会の未来は洋々と開けてゆく。
 その活躍の波動がどれほど大きいか。
 たとえば家庭にあっても、父親は娘からの忠言が一番、怖いものだ。息子では、そうはいかない(笑い)。
 「女性はウソやごまかしを見破る鋭い感性を持っている。女性を大事にしないところは衰退する」
 これも戸田先生の慧眼である。
 一般的に言って、女性は手堅さ、緻密さという点で男性より優れている。従っているようにみせて、従わせるという賢さもある。
 女性が臆病で言うべきことも言えず、男性が威張り散らしている雰囲気のところは危ない。
 反対に、賢明な女性の存在が光っていれば、男性もインチキや、いい加減なことはできない。きっちりと、組織が栄えていくための土台を築いていくことができる。
一、ともあれ、人材がいるか、いないか。人材をつくれるか、つくれないか。国であれ、団体であれ、それで将来が決まってしまう。
 戸田先生は、歴史をさまざまに洞察されながら、人材の大切さを強調された。
 「この時代は、人材がいなかったから衰亡した」
 「この時代は、人材が大勢いたから栄えた」
 「この難局は、力ある人材がいたから切り抜けられたのだ」と──。
 幹部は、人材を「使う」ばかりでは失格である。「つくる」ことだ。「育てる」ことだ。
 その使命を断じて忘れてはならない。

牧口先生の獄死を知った戸田先生の決意
「正義の師の仇を討つ」
親子よりも強く深い 師弟とは高貴なる魂の結合

 鍛え抜いた青春
 一、ある時、新しい役職に任命された人が、戸田先生に「幹部として何が大事でしょうか」と質問し、先生が間髪をいれず、「大作についていけばよいのだ」とおっしゃったことがある。
 思えば、先生に鍛え抜かれた青春時代だった。本当にすごい先生だった。そばにいると、まるで嵐のごとき、怒涛のごとき先生であられた。
 その戸田先生が、学会の理事長を辞任された時、喜んでいる、とんでもない連中がいた。
 私は、「どうしてお辞めになったのか!」と、悔しい思いをした。
 失敗した事業を立て直すために、理事長職は辞めざるを得ない、という先生の判断もあった。
 しかし私は、「経済面では、私が先生の代わりに働く! そして必ず、戸田先生に会長になっていただくのだ!」との思いで、必死に戦ったのである。
 こうした真剣な弟子の心がわからない人間のなかから、金銭問題や男女間題を起こしたり、会員を苦しめ、自ら堕地獄の姿を見せる、不知恩の者が出たのだ。

全員が師子となれ
◎一つの暴論には十の正論で打ち返せ◎
ドイツの大詩人「決して沈黙するな」「立ち止まるな」

 「人一倍、後輩を育てなさい」 
 一、戸田先生は「人」の重要性について、「人一倍、後輩を育てなさい。人材は金では買えないのだ」「青年が思う存分、働けるように応援する人間が偉いのだ」等々、ことあるごとに言及されていた。今、これらの言葉の重みをわかる人が、どれだけいるだろうか。
 また先生は、新しい人材を温かく励ましながら、「年々、この人たちが大きな力となっていくのである。指導者に育っていくのである」と喜んでおられた。
 青年部を大事にしたい。また青年部は、期待に応える力をつけていただきたい。
 「文筆の力は大きい。いかなる時代も、文筆の力は絶対に必要である」
 これも戸田先生の重要な指導だ。
 永遠に変えてはならない、聖教新聞の魂こそ「広宣流布」である。
 広宣流布は言論戦である。特にリーダーの皆は、「口」を使ってどんどん語り、「手」を使ってどんどん書くのだ。
 学会の悪口を言われて黙っているような、意気地なしの男子部ではダメだ。女性もまた、毅然と戦っていただきたい。
 悪と戦わなければ、皆が混乱してしまうのだ。"臆病者"が指導者になれば、その組織は必ず「魔」に負ける。「魔」の働きは強い。
一の暴論には、十の正論で反撃する。真実を叫びきる。この戦う言論の魂を、断じて忘れてはならない。黙っていてはいけない。
 私は、学会を誹謗中傷する悪質なマスコミがあれば、遠くへでも、一人ででも抗議に行った。
 「事実と遅います」「ここが違う」「ここも違う」「書き直してください」「謝罪してください」と、誠実に、勇気をもって抗議し、対話した。
 そうやって一つ一つを積み重ねて、現在の学会をつくってきた。
 特に、最高幹部は戦わねばならない。「意気地なし」は「ずるい」のであり、「卑怯」だ。卑怯は結局「敗北」となり、「裏切り」となる。
 日蓮大聖人は、「夫れ仏法と申すは勝負をさきとし、王法と申すは賞罰を本とせり、故に仏をば世雄と号し王をば自在となづけたり」(御書1165頁)と明快に仰せである。
 学会は、この御文の通りに勝負し、そして勝ってきた。
 広宣流布のために、牧口先生は獄死された。戸田先生は2年間の獄中闘争。私は反逆者らの陰謀で、会長辞任を余儀なくされた。そうしたなかで、矢面に立って戦うべき立場にいながら、ずる賢く立ち回った者もいた。
 学会の正義は、牧口先生、戸田先生の魂を継いだ私にあると、後世のために申し上げておきたい。

 「信心で勝つ」人に幸福と栄光が 
 一、先ほども触れたように、さらなる広布の発展のために、日本でも、世界でも、着々と手を打っている。
 これまで、遠大な広布の展望、視野を理解せずに、皆の足並みを乱す者もいた。そういう愚かな幹部であってはならない。
 剛毅な戸田先生は、「男は戦場で戦え」と言われた。
 折々に語ってきた「大阪の戦い」で、私は、絶対に勝てないと言われていた戦いを勝った。その時、勝てると思われていた東京は敗北した。
 学会が、初めて参議院に候補を推薦した、重要な時期であった。
 その意味を理解しない者が、ふざけ半分で指揮を執った東京は、負けたのである。
 戸田先生に会長になっていただけるかどうかを決する時にも、困難な環境の中で私は戦った。
 戸田先生をお守りし、活躍の舞台を、精魂込めて整えさせていただいた。
 内外ともに重大な時期に、また、創価学会が存立するか否かの“天下分け目の戦い”で、私は「勝ってみせる!」と決めて、勝ち続けてきた。
 若い諸君にも、どうかそういう戦いをしてほしいと私は願っている。
 信心で勝てなければ、どれだけ長生きしても、真の幸福はつかめない。栄光も輝かない。
 いよいよ新しい時代である。最高幹部は心して、全同志の幸福のために、全力を尽くしてもらいたい。 (下に続く)