アメリカ創価大学卒業式

創立者のメッセージ

戦う知性の陣列! アメリ創価大学
 人類の未来を照らす希望の灯台
 一、21世紀の人類の未来を担い立つ、若き「世界市民の王者」たるアメリ創価大学の4期生の皆さん!
 晴れのご卒業、本当におめでとう!
 不思議なる使命を帯びた、わが4期生の皆さん方は、1期生、2期生、3期生の先輩とともに、草創の礎を完壁に築き上げてくれました。
 その尊き結晶である、愛唱歌「平和の大道」を、私は 何度も 何度も聞きました。
 皆さんの偉大な研さんと開拓の足跡は、すべてハブキ学長たちから、うかがっております。
 創立者として、これほどうれしいことはありません。本当にありがとう! 心から感謝いたします。
 思えば4年前、皆さんの入学のお祝いとして、私はネパールで撮影したヒマラヤの写真に添え、「君たち皆が 世界的な最高峰の博士に なりゆくことを祈りつつ」との言葉を贈らせていただきました。
 皆さん方は、この私の祈りに、見事に応えてくれました。それぞれの使命の道で、最高峰の博士へと育ちつつ、強靭な「戦う知性の陣列」を築き上げた、4期生の深き友情の連帯に、私は、世界192カ国・地域の友人たちとともに、大喝采を贈ります。
 この目覚ましい成長と、本日の晴れやかな門出を、だれよりも喜んでおられるご家族の皆様方、まことにおめでとうございました。
 また、わが4期生を、日夜、温かく励まし、指導してくださった教員の先生方、そして職員の皆様方にも、厚く御礼を申し上げます。

 「信念の旗」を
 一、本日は、ご多忙のところ、私が心から尊敬してやまないデンバー大学副学長のナンダ博士夫妻をはじめ、多くの来賓の皆様方にも、ご臨席を賜り、深く深く感謝を申し上げます。
 ナンダ博士は、多くの俊英を育成してこられた模範の中の模範の大教育者であられ、さらに世界的な国際法学者として、平和と人道のために勇敢に戦ってこられた、行動する知性であられます。
 ナンダ博士と私は、共に発刊した対談集のなかで、人類の未来を展望しつつ、古代インド文明の意義から、現代世界の人権問題まで、幅広く論じ合いました。
 そのなかで、教育のビジョンと「大学の使命」について語り合ったとき、まさに話題となったのが、わが4期生の入学式のことでした。
 以来、博士は、皆さんの成長を、温かく見守り続けてきてくださったのであります。
 対談の中で、博士は、大学生活を通して心を通わせた学生たちを、わが"友"と呼んでおられた。そして、その大切な"友"が、社会で大きく活躍している姿を見るときほど、教育者として、うれしく幸せなことはない、と語っておられたことが、今も忘れられません。
 この博士の深き思いに、人間教育の真髄の境涯が示されていると感ずるのは、私一人ではないでありましょう。
 ともあれ、これからの長い人生、使命が大きいだけ、より大きな困難があることでしょう。しかし、どんな苦境や逆境に立たされても、道は必ず開けていくものです。
 ナンダ博士も、私も、これまでの闘争の人生を通して、その実証を示してきました。
 大切なことは、創価教育の伝統を貫く"負けじ魂"を、どこまでも赤々と燃やしながら、自らが掲げた「信念の旗」を、生涯、振り続けていくことです。
 その凛々しき英姿を、私は終生、見守り、皆さん方の勝利と栄光の人生を祈り抜いていきます。それが、創立者としての私の深き誓いであり、責任であるからです。

 仕事のかたわら研究に挑んだ
 一、開学まもない頃、ノーベル平和賞受賞者のロートブラット博士も、アメリ創価大学を訪問し、記念講演をしてくださいました。
 その時、博士が私たちに贈ってくださったのが、核兵器と戦争の根絶を呼びかけた歴史的な「ラッセル・アインシュタイン宣言」を復刻した特装版の第1号でした。
 科学史に金字塔を打ち立て、平和のために行動を続けたアインシュタイン博士も、ご存じの通り、その青年時代は、決して順風満帆ではありませんでした。
 博士は、スイスのチューリヒ工科大学に進学したものの、それと相前後して父親の事業が危機に陥ってしまった。研究を続け、理論物理学を究めたいと望んでいた若き博士にとって、厳しい試練となりました。
 大学卒業後、しばらくは、家庭教師などをしながら仕事を探し、質素な暮らしを続けていたものの、貯金も底をついて、いよいよ進退がきわまった。
 そうした窮状をみかねた大学時代からの友人の助けによって、彼はベルンの特許局勤務という定職を得て、研究を続けることができたのです。
 若きアインシュタイン博士は、この友人の厚意に応えるように、仕事のかたわら、時間をみつけては研究にいそしみました。
 そして、その数年後には、有名な「特殊相対性理論」をはじめ、ノーベル物理学賞につながる研究を次々と成し遂げていったのであります。

君よ、勝利の山頂に立て
タゴール 「毎日、勝利に向かって進んでいるのだ」
「青春の誓い」「友情の絆」を胸に

 友の足音こそ
 一、本当に苦しい時、真の「友情」こそが最大の支えとなるものです。励ましの声一つをかけるだけでも、どれほど勇気が湧いてくることか。
 「ラッセル・アインシュタイン宣言」に署名した物理学者のマックス・ボルン博士も、アインシュタイン博士の終生の友人でした。二人は、ナチスの台頭に伴い、ともにドイツを追われ、亡命生活を余儀なくされるなかで、連絡を取り合い、励まし合いました。青年時代から続けた書簡のやりとりは、実に40年近くに及んだといいます。
 当時、重苦しい空気の漂う第1次大戦後のヨーロッパで、危機の時代への告発を続けた思想家のベンヤミンも、「夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは橋でも翼でもなくて、友の足音だ」(野村修訳『ヴァルター・ベンヤミン著作集14』晶文社)と述べております。
 つまり、どれだけ時代が混迷を深めようとも、同じ"理想"と"志"を持って歩む「友の足音」が聞こえている限り、どんな苦しい状況にあっても、前進への"心の助け"となるというのであります。
 わがアメリ創価大学の4期生の皆さんも、アリソビエホのキャンパスで育んだ"麗しき友情の絆"を、いずこの地にあっても、またどのような立場になろうとも、生涯の宝としながら、誉れ高く胸を張り、前へ進んでいっていただきたい。
 そして、わが心に刻んだ"創価の理想""青春の誓い"を、ともに分かち合い、常に確かめ合い
ながら、人類の未来のため、民衆の幸福のために、どこまでも心一つに、「平和の大道」を、足取りも軽やかに歩み通していってほしいのであります。

 健康で活躍を!
 一、かつてナンダ博士は、紛争が頻発し、貧困問題や環境破壊が深刻化し、多くの民衆が苦悩にあえぐ現代を、「希望を求める死闘の時代」と表現されたことがありました.。
 世界の民衆の深い"祈り"と"真心"が刻まれたアメリ創価大学に学んだ皆様方は、この「希望を求める死闘の時代」にあって、一人一人が"希望の光明"を輝かせゆく存在となっていただきたい。
 アメリ創価大学は、人類の未来を燦然と照らしゆく、希望の灯台であります。時代は、諸君が諷爽と世界の大舞台に躍り出て、指揮を執りゆく日を渇仰しているのであります。
 私は、私の人生の最大の誇りであり、人類の宝である、若き創立者たち──「ヤング・ファウンダーズ」のますますの健康と活躍を、妻とともに真剣に祈り抜いてまいります。
 結びに、わが4期生の栄光と勝利の人生を心から念願しっつ、私が座右としてきた、インドの詩聖タゴール箴言を贈りたい。
 「真に自分に対する信頼を確立しなさい」「敗北を突き破ったところに、君はこのうえない成功の世界を見るだろう。あらゆる苦悩のなかに、毎日 君はその成功に向かって進んでいるのだ」(溝上富夫訳「書簡集31」、『タゴール著作集第11巻』所収、第三文明社
 アメリ創価大学4期生、万歳!
 きょうは、本当におめでとう!
 一人ももれなく、最高峰の勝利の山頂に立て!