148 2000年5月3日






二〇〇〇年五月三日は、晴天であった。

 日本各地が晴天であった。

 あちらこちらに見える緑の木々の香りがすばらしかった。

 朝起きると、妻が真っ先に、「今日は晴天ですよ」と言った。私は嬉しかった。

 妻が「日本中、世界中の学会の皆様が、晴天を祈ってくださっているのでしょうね」と、真摯な姿勢で語っていた。

 世界各地から無数の祝電が入った。

 多くの懐かしい海外の同志からも、たくさんの電報が届き、机上に山と積まれていた。

 五十数ヵ国の国家の指導者たちからの祝電もいただいた。

 あのポーリング博士のご子息も、温かな祝福のメッセージを送ってくださった。

 「本年は、貴殿の海外初訪問四十周年の佳節でもあります。

 この海外訪問により、貴殿は、多くの政治家や世界の指導者に、平和、教育、寛容の必要性に対する意識を啓発し、また各国の幾多の人びとの人生を豊かなものにしてくれました」と。

 学会本部の新館には、連日、一万人以上の方々が、日本全国から、挨拶に来てくださった。

 「本当にありがとう。本当にご苦労さま」と感謝の気持ちが尽きなかった。

 お祝いにお越しくださった外部のお客様も、本部に喜々として集って来られる学会員の姿をご覧になって、「すばらしいことです。こんな生き生きとした方々の姿を、いったい、どこの世界で見ることができるでしょうか」と、感嘆しておられたようだ。

 さらに、そのお客様は、「私は、社会的立場もあり、信仰はしていませんが、内心では、このようなはつらつとした人生を歩みゆける信仰が必要であると痛切に感じております。妻も同じなのです」と語っておられたそうである。

 ある青年部員は、「私たちの二十一世紀の舞台がやってきました。必ず戦い、勝ちます。成長してまいります」と書き送ってくれた。

 嬉しかった。

 本当に嬉しい、決意ほとばしる内容であった。

 長年、共に戦ってきた年配の信心の英雄のお手紙には、こう書かれてあった。

 「学会と共に生き抜いたことが無上最高の幸福です。

 一点の曇りもなく、五月三日を迎えることができました。私の人生には福運の音楽が鳴り止まず、暗い後悔などは何一つありません」

 また、ある実直な幹部は、筆書きで、御聖訓を認めておられた。

 「命限り有り惜しむ可からず遂に願う可きは仏国也」

 そして、「崇高な五月三日は、新しい出発の日です」と。

 さらに、ある功労者の方は、和歌を詠まれていた。

 古木にも  若葉萌え出づ  われら また

         負けじ おそれじ  叫びて進まん

 私は即座に返歌を贈った。

 朽ちるまで  若木のごとく  生き抜けと

          恩師の言葉を  共に噛みしめ

 こうした祝賀のお便りは、すべて、私の宝である。

 日本全国、全世界から、二十一世紀への新しい行進が始まった。

 ――学会には、高慢な人間はいらない。卑怯者もいらない。堕落者もいらない。

 臆病者もいらない。策に走り、功名を追い求める者もいらない。そうしたければ、勝手にそうすればいい。

 幽霊に引かれていくような、死せる魂の人間は必要ない。

 寂しい場所で、わびしく土の中にいるような心で、善人の背後で、ずるがしこく生きる人間も必要ない――

 とは、戸田先生の常々の厳しい指導であった。

 永遠の確かなる美しさと誉れと、栄光と、完全無欠の不滅の屋根のもとに、わが広宣流布の陣営は結集する。

 わが世界唯一の幸福の陣地は、あの固い、強い信心という信念をもった者が、集っている城なのだ。汝自身と、偉大な正義の結合が、この創価の陣列なのである。

 我々には、絶望など絶対ない。恐怖なども絶対ない。

 同情なども必要ない。

 心の真髄が、常楽我浄という楽しみと喜びを知っているからだ。

 多くの人は、時の旅路の果てに、宿命の暗い霧の陰に消え失せていく。そのなかにあって、私たちは、究極の幸福の魂を刻み、光輝ある生命となって輝いている。

 創価の仏の陣列を破壊せんとする卑劣な輩は、疲れ果てながら、無惨な姿で迫害を繰り返している。

 それは、売名と、不義と、不正の罪人が、攻め寄せてくるような、哀れな迷路をさまよった、空虚な叫びにすぎない。

 苦心の末の作り話、滑稽な嘘・・・・・・、それらは人間として最も軽侮される連中の罪深き策の言葉である。

 何があっても、我らの前進の勢いは、決して衰えない。

 喜びは、いやまして高まり、勇敢に悪と戦い、敵を求めて、楽しく戦端を開きながら、その進路は、勝利と栄光の戦場となっていくのだ。

 ある詩人は言った。

 朗々たる勤行の声は、胸に高鳴り、勝利、勝利へと波動を起こしていくように見える。そしてまた、聞こえてくる――と。

 そこには、自然のうちに、慈悲深い花々が咲き薫っている。優雅な、そして荘厳な音楽が捧げられている。

 そこには、地獄界から仏界に至る大道が開かれ、我らが歩みゆくその先には、奥深き王宮が輝いて見える。

 この黄金の歴史を刻んだ四十星霜、我らに浴びせられた誹謗と中傷の集中砲火は、計り知れない。

 あの攻撃も嘘、あの非難も嘘。あの行為も嘘。

 どす黒く濁った、それらの限りない嘘に対し、我らの世界は、透明な、そして幸運な、整然とした楽園が広がっている。