全国最高協議会7=完

2003.8.15 SP


世界は「人間主義の勝利」を待つ

ケニアの自由の闘士
  連帯を広げよ!
         そこから「信じられないような勇気」が

一、「波浪は障害にあうごとに、その頑固の度を増す」
 これを私は19歳から座右の言葉としてきた。
 幾たびとなく、この箴言を書きつづってきた。
 あらゆる障害を打ち砕き、我らの人間主義の運動は、大波となって、地球全
体に広がった。今、世界の思想界が、創価の哲学に注目し始めた。
 大変なことである。
 これまで学会は、日本では、正義ゆえに、あらゆる嫉妬の攻撃を受け、悪口
されてきた。
 反対に、世界の知性は正視眼で見る。SGI(創価学会インタナショナル)
に大きな期待を寄せている。
 アメリカでは、ハーバード大学コロンビア大学をはじめ数々の世界的名門
校で、創価の平和思想が探究されている。
 私が創立した「ボストン21世紀センター」の刊行物が、これまで全米の1
03大学、138の講座でテキストとして採用された。
 さらにアメリカの各大学の仏教講座で教科書として使われている書籍の中で、
創価学会の仏教史上の意義、世界平和への貢献が紹介されている。
 〈アメリカの著名な宗教学者、ドナルド・ミッチェル教授(パデュー大学)
の『仏教――仏教的な体験の紹介』という研究書。英オックスフォード大学か
ら出版された。
 この本では、現代の仏教者が菩薩の生き方を社会でどう実践しているかに論
及。代表として池田名誉会長を挙げ、?仏教を日本を超えて世界に広めた?世界
各国で、それぞれの独自性を生かした発展を奨励した?個人の変革を通した世界
の平和への貢献という、バランスのある実践のあり方を示したと評価している〉

■欧米の哲学書に 日蓮大聖人が
 一、さらにアメリカ実践哲学協会会長であるルー・マリノフ博士の近著『大
いなる問い――哲学は、いかに人生を変えうるか』では、日蓮大聖人の仏法が
取り上げられている。〈人類史を代表する哲学者のなかに、日蓮大聖人と池田
名誉会長をあげている〉
 博士は「現実に生きる哲学」を志向する。これまで出した著作は全米でベス
トセラーとなり、75カ国で出版されている。
 博士の近著『大いなる問い』では、大聖人は「腐敗した既成仏教の改革に挑
んだ」「仏教の精髄を再興し、民衆に開かれた力強い題目を生み出した」と解
説されている。
 〈さらに「解放」の哲学の象徴として名誉会長の次の言葉に触れている。
 「生命は、じつに測りがたい可能性を秘めている……多くの場合、私たちが
限界を感じるのは、自分自身を限りある存在として規定してしまうからにほか
ならない」〉
 一、創価人間主義を真摯に探究したいという熱意が高まっている。
 なかでも中国では、名門大学において本格的な研究が開始された。
 〈北京大学と安徽(あんき)大学に「池田大作研究会」、湖南師範大学に「池
田大作研究所」が設置されている〉
 皆さまの日々の地道な行動が、人類の思想を大きく動かし、希望の歴史をつ
くっている。その誇りと確信を胸に、前進していただきたい。
 一、世界は「人間主義の勝利」を待っている。「女性が輝く新世紀」を見つ
めている。
 それを実現する原動力は何か?
 「連帯の意識」の大切さを訴えるのは、ケニアの女性作家、ムトニ・リキマ
ニさん。
 民衆の一人ひとりが、それぞれの場で、自分でも信じられないような勇気を
出せたのは、連帯の意識のおかげでした――そう自由への闘争を振り返ってい
る。〈ムトニ・リキマニさんが独立闘争の歩みをつづった『ケニアの女の物語』
が名誉会長に贈呈されている〉

■あきらめるな! 希望を手放すな
 一、そして「あきらめないこと」である。
 アメリカの女性作家、パール・バックは、「諦めとは停滞であり、死を意味
します」「すべての活動になくてはならないのは、希望なのです!」(伊藤隆
二訳)と述べている。
 たとえ一歩でも、一ミリでも、きょうも前へ進むことだ。
 フランスの作家、スタール夫人は言った。「発展するため、完璧になるため、
高貴な目的に惜しげもなく使われるためにこそ、魂は私たちに与えられている」
(エレーヌ・ド・グロート・梶谷温子・中村加津・大竹仁子訳)
 自分を最高に輝かせるために、私たちは生まれてきたのだ。
 「向上心を失うことは?魂の死?を意味します」とは、オーストリアの元文部
次官、サイフェルト女史の信念であった。

■知恵で勝て
 一、大阪に有名な「千早城」がある。私も、かつて、この地を訪れた。
 和歌山、奈良との県境近くに楠木正成が築いた山城である。〈1957年(昭
和32年)4月13日。「大阪事件」の年。名誉会長は激闘の合間をぬって千
城址を訪れ、同行の友に正成を通してリーダー論を語った〉
 時は1333年。押し寄せる敵の大軍勢。
 対する楠木軍は、わずかな小勢。
 名将・正成は、あらゆる知恵を絞った。夜の闇にまぎれて奇襲。藁人形で敵
を撹乱。城から大石などを突き落として大軍を撃退。見事、攻防戦を耐えきっ
た――そういう話が『太平記』などに伝えられている。
 もちろん、人数も多くて、すべて計画どおり、連携も密であれば、勝利しや
すいであろう。
 だが、状況が厳しければ勝てないのか?
 そうではない。
 戦いに勝つのに必要なのは、格好ではない。
 どうするか。最高の知恵を出すことだ。祈りから知恵は生まれる。知恵から
勝利が生まれる。
 日の当たらないところまで光を当てて、あらゆる人を味方にしながら、新し
い道を切り開く。そうやって勝利してきたのが、学会の歴史である。

人間性の光を
 一、まずリーダーが、笑顔で皆を励ますことだ。いつも勇気を与えることだ。
 つんとして、ただ口先だけで、威張りくさった格好ではいけない。ありのま
まの人間性を輝かせていくのだ。
 日蓮大聖人の仏法は「無作三身の仏」を説く。御義口伝には「一念に億劫の
辛労を尽せば本来無作の三身念念に起るなり」(御書790ページ)と仰せで
ある。
 信心の人知れぬ懸命な労苦の果てに輝く"人間性の力""人間性の光"――
これが最高の力である。
 自分に負けてはいけない。自分に勝つことだ。
 もう一回、自分自身が原点に返って、新しい挑戦を始めることだ。
 一、傲慢な権力にも断じて屈しない。これが信仰の魂である。
 有名な御聖訓には、こう教えられている。
 「大身の人(身分や地位などの高い人)から、(圧迫を加えようとして)言
い出してきたことに対しては、『ああ、法華経のよい敵よ! (3千年に一度
咲く)優曇華の花や、一眼の亀が奇跡的に巡り合える浮木(のように、あいが
たい存在)である』と、お考えになって、したたかに(=強く)ご返事をなさ
れるがよい」(同1540ページ、通解)
 信心している人間が、なぜ妬まれるのか?
 必ず成仏するからだ――そう大聖人は仰せである。
 「法華経を持つ者は必ず仏になる。ゆえに、第六天の魔王という三界の主が、
法華経を持つ人を強く嫉むのである。この魔王は、あたかも疫病の神が、だれ
の目にも見えずに人に取りつくように、古酒に人が酔い入ってしまうように、
国主・父母・妻子に取りついて、法華経の行者を嫉むと経文に見える」(同9
25ページ、通解)
 難を乗り越えてこそ、宿業も転換でき、仏になれる。御書にはこうある。
 「『鉄』は炎で熱して打てば『剣』となる。賢人、聖人は罵詈して試みるも
のである」(同958ページ、通解)
 また、「三類の強敵を顕さなければ、法華経の行者ではない。三類の強敵を
顕すのが、法華経の行者である」(同441ページ、通解)――この大聖人の
仰せのままに、三代の会長をはじめ創価学会は、広布へ戦い、三類の強敵を出
現させたのである。

◎戸田先生
   青年の成長が私の喜び
   "第一人者"になる執念を持て

■実行できぬ意気地なしになるな
 一、戸田先生は「何が一番うれしいですか?」と聞かれて、こう答えられた。
 「広宣流布のために戦っていく弟子たちが、どんどん成長することだ。青年
と会うことが、語ることが、最高の喜びである」。私もまた同じ気持ちである。
 ブルガリアの芸術史家、ジュロヴァ博士は、私との対談集のなかで語ってお
られた。〈『美しき獅子の魂』東洋哲学研究所刊〉
 「師匠を持つ人は幸福であり、自分は彼の弟子だと言える人はもっと幸福で
す。しかし最も幸福なことは、師匠から弟子と呼ばれることです」
 その通りだと思う。
 未来に伸びゆく青年のために、恩師・戸田先生の指導者論を残しておきたい。
 先生は言われた。
 「形式的な表面的な弱々しい姿で臨んでいるだけでは、どうして人がついて
くるか」
 「いったん決めたことを実行できないような意気地なしではいけない」
 「指導が、あまりに枝葉にわたりすぎてはいけない。指導というのは、信心
がどれだけできるか、いかなる難事にぶつかっても、日蓮大聖人の教えと取り
組んで、そしてその難を乗りきる。そういう指導が、ほんとうの指導です」
 また「会員を、ほんとうに大事にしないようでは、指導者の資格はない」と
厳しかった。
 さらに、戸田先生は、「青年は、何かで第一人者になろうというだけの執念
をもつことだ」と、よく言われていた。
 信心即生活であり、信心即社会である。
 「観念は宗教ではない。真の宗教は生活であり、生活上の証拠が必要である。
折伏し、勤行するのは、生活がよくなる手段である」とも教えてくださった。
 戸田先生は人間学の天才であった。
 社会に広く信頼を勝ち得る外交戦について、先生は、こう語られた。
 「外交というものは、自分の一生の地盤にすることだ。品物ではなく、一人
間を売ることだ」
 自分らしく、誠実に、人間王者の誇りを胸に、信念を語ることだ。
 一、ギリシャの哲学者、プラトンの対話篇に、こういう言葉があった。
 「ひとは、とくにほかならぬ真理について話そうとするとき、真実ありのま
まを語る勇気をもたなければならない」(藤沢令夫訳)
 ありのままに真実を語る。それが一番強い。たとえ時間はかかっても、必ず
相手に通じていく。
 プラトンは、こうもつづっている。
 「正しい意味で雄弁家になろうとするものは正しい人であり、正しいことを
知っていなければならない」(岡田正三訳)
 私たちは、正しい人生の道を知っている。正しい社会の軌道を進んでいる。
それを堂々と語り抜きたい(大拍手)。
(2003・8・6)