21世紀女性研修会 上


21世紀女性研修会が21日、長野研修道場で行われ、池田名誉会長がスピーチした。

全民衆を仏に!=大聖人自ら「民の子」と宣言

人間革命の勝利の劇を
 一、アメリカで最も尊敬されている女性――その一人が、ローザ・パークスさんである。
 キング博士とともに、公民権運動の最前線に立った。私もお会いし、深く敬愛している大切な友人である。
 パークスさんは語っている。
 「私が生きているかぎり、私が動けるかぎり、偏見や人種差別、人々を後退させる悪に対して戦いい抜いていきます」
 生きているかぎり、前進する。人間を差別し、民衆を見くだす邪悪は、絶対に許さない。この強き心が、民衆の世紀――21世紀を希望で照らす。
 一、最も苦しんでいる民衆を、最高の仏の境涯にするのが、日蓮大聖人の仏法である。人間革命の運動である。
 大聖人自ら御自身のことを「民の子ども」(御書1332ページ、通解)と言われた。最下層の身分を意味する「施陀羅の子ども」(同891ページ、通解)であると堂々と宣言されている。
 最も貧しく、最も虐げられてきた民衆が、最も偉大な仏になる。宇宙大の境涯を開く。常楽我浄の生命を輝かせる。それを大聖人は、わが身で示された。本当に、すごいことである。

■荘厳なる師弟
 一、嵐にも毅然とそびえる人間王者――大聖人の闘争を思う時、私の胸には恩師・戸田先生の勇姿が浮かんでくる。
 私も妻も、365日、心に思うのは、戸田先生のことである。師匠のことだけである。
 私は、すべてをなげうって戸田先生に仕えた。何の逡巡もなかった。
 経済闘争を支え、渉外の矢面に立ち、折伏の指揮をとり、広布の文をつづった。それから比べれば、今の青年部は、まだまだ力が出る。
 飛行機などで、ともに地方に向かう時のこと。先生は、いつも「何か話をしなさい」と言われる。出発する前に、必死で本を読んだ。何か価値あることをお伝えしようと、懸命に勉強した。
 先生が「聞きたいことがあったら、何でも聞きなさい」と言われることもあった。質問せずにいると怒られた。すべて指導者となるための薫陶であった。
 先生の事業が挫折し、多くの人間が卑劣な言葉を投げつけ、去っていくなか、私は一人、先生を支えた。何かあると、「大作に聞け。全部、大作に言ってある」と言われるのが常であった。
 戸田先生には私がいた。牧口先生には戸田先生がいた。
 戸田先生は牧口先生に対して、「あなたの慈悲の広大無辺は、私を牢獄まで連れていってくださいました」と感謝した。
 こんな言葉は言えるものではない。
 私は、牧口先生、戸田先生を世界に宣揚した。今や世界的な学会になった。これを見たとき、両先生は、どれほど喜ばれるだろう。それを思うだけで、私の心は躍る。
 一、晴れ晴れと、全国各方面の婦人部・女子部のリーダーが一堂に会して、歴史的な「21世紀女性研修会」、まことにご苦労さま!
 日蓮大聖人は、「(乱世の軍師たちは)幕を張った中で作戦を練り、戦場から千里離れたその場で勝利を決したのである」(同183ページ、通解)と仰せである。
 次の50年へ、創価学会の勝利を決しゆく前進をお願いしたい。
 戸田先生は、こう言われていた。
 「学会には信心がある。無知な批判など恐れるな!」
 信心強き女性には、だれ人もかなわない。真実が必ず勝利する。
 すべての女性が輝く世紀へ、人類史の先頭を、決然と、愉快に進んでいただきたい。
 一、フランスの文豪ロマン・ロランは手紙につづった。
 「いよいよ戦闘が開始されました」「戦うのは幸せです」(宮本正清・山上千枝子訳)
 若きロランが、わが信念をかけた言論戦に挑む決心を、尊敬する女性作家に伝えた言葉である。
 「広宣流布」という正義のなかの大正義に向かって戦う人生ほど、幸福な人生はない。
 また、フランスの女性思想家シモーヌ・ヴェイユは記した。
 「本当に生きるということは、喜びをもって生きることです」(杉山毅訳)
 創価の女性こそ、「歓喜の中の大歓喜」の人生の劇を飾りゆく偉大な名優である。
 人類の平和と幸福のため、真面目に、一生懸命に戦う女性ほど、崇高にして神々しい存在は、断じてない。
 ゆえに、私は妻とともに、「女性の世紀」の一番星と輝く全国の女性リーダーの皆さま方を、最敬礼して讃えたい。

■平和は日々のふま振る舞いの中に
 一、このたび私は、「平和研究の母」として名高いアメリカのエリーゼ・ボールディング博士と、新たな対談を開始することになった。往復書簡を通して、準備を進めていく予定である。
 博士は、国際平和研究協会の会長を務め、『平和の文化――歴史の知られざる側面』の著者として知られる。ノーベル平和賞の候補にもなった女性である。
 私と対談集を発刊した女性の未来学者ヘンダーソン博士も、心から尊敬している方である。
 ボールディング博士は83歳。今なお、かくしゃくとして、世界の平和のために発言し、戦い続けている。
 博士は語っておられた。
 「真の幸福感は、深く心の通いあう人間関係の中にこそある」と。
 まさに、その幸福と平和のネットワークを、日々、拡大しておられるのが、皆さま方である。
 博士は語る。
 ――「文化」とは、人間の生き方であり、振る舞いである。したがって、「平和の文化」は、一人ひとりが築いていくべきものである。一人ひとりが、日々、粘り強く、平和の振る舞いを持続する過程のなかに、「平和の文化」は存在する――そう強調しておられる。


◆◇SGIは一人から「平和の万波」を
      迫害こそ「正義の勲章」(平和研究の母)

 御聖訓には、「不軽菩薩の人を敬いしは・いかなる事ぞ教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ」(御書1174ページ)と示されている。
 人を敬う。あらゆる人の生命に仏性を見る――人間の尊厳、生命の尊厳を、自らの振る舞いを通して確立しゆく「創価の女性」の対話運動こそ、まさに「平和の文化」を確実に創造し、建設しているのである。
 ゆえに、ボールディング博士のSGI(創価学会インタナショナル)への期待は大きい。
 「SGI運動のような『一人の人間から出発して、平和の波を起こしていく』運動は、必ず迫害を受けるものです。
 しかし、そうした人々にとって、迫害こそが『正義の証』であり、『勲章』ではないでしょうか」
 まったくその通りである。さらに、博士は強く訴える。
 「宗教者には、平和のために政府にもの申し、市民を教育していく責務があると思うのです」
 立正安国を目指しゆく創価の女性のスクラムに、「平和研究の母」からも熱いエールが寄せられている。

■「勇気をもってただ真実を語れ」
 一、この7・8月、オーストラリアのメルボルン大学や、ニュージーランドの国会議事堂などで「ガンジー・キング・イケダ」展が開催された。世界で反響を広げている。
 マハトマ・ガンジーは、「私は釈尊の教えを知るようになり、非暴力の無限の可能性に目を開かれた」とつづっていた。
 そして今、仏法の正統中の正統である創価学会に、ガンジー、キング博士の精神を受け継ぐ方々からも大きな信頼と深い共感が寄せられる時代となった。
ガンジーの孫娘であるウシャ・ゴカニ女史は、青年部のインド訪問団(94年)に、次のように語っている。
 「ガンジーの思想は、今日では、インドよりも日本の創価学会によって、より多く実践されています」
 「池田先生の著書を読ませていただくたびに、私の考えていたことがすべてSGIの中にあることを知って、大きな喜びを感じています。さらに、私の考えがSGIの考えに近づいていることを感じます」〉
 ムンバイ(旧ボンベイ)のガンジー記念館館長で、ガンジーの直弟子であるウシャ・メータ女史も、SGIに共鳴する一人である。
 女史は、ガンジーから直接、教えを受けた。
 「勇気を持って正義のために戦え! ただ真実を語れ!」
 その言葉を今も大切にしておられる。
 一、仏宝は勝負である。戦いを忘れたら、もはや仏法はない。広布を破壊し、民衆を苦しめる邪悪は、どこまでも追撃し、打ち破る以外ない。戦いに勝つという執念の行動こそ、信心なのである。
 大難を受けなければ、仏法の真髄はつかめない。一番、信心が伸びるのは、大きな苦難の時である。
 いかなる苦難にも、「師子王の心」で敢然と戦えば、仏となる。仏になれば、何ものにも揺るがない。そこに三世永遠の幸福が輝くのである。

◆◇各リーダーは
     皆の心を軽く! 楽しき前進を!
■だれもが皆、かけがえのない存在
 一、リーダーは、人の心を知ることだ。本当に親身になって、人の心を癒し、勇気を与える人格でなければならない。
 フランスの作家スタール夫人は、人間の心模様を鋭く描く。
 「自分の苦しみに耐える力から来る冷静さは美しい。しかし他人の苦しみへの無関心から生まれる冷静さは、尊大な性格以外の何ものでもない」(中村加津・大竹仁子訳)
 他人の苦しみに無関心――その人は傲慢だというのである。
 心から心に届く、温かい言葉を贈りたい。それには、相手の魂の奥まで知っていくことである。
 何に悩んでいるか。何を望んでいるか――。皆の心を知り、皆が安心して戦えるように、一人ひとりを、きめ細かく励ましていく。心の重荷を取って、軽くしてあげる。楽しくしてあげる。慈愛あふれる聡明な女性リーダーであっていただきたい。
 この点、ボールディング博士も、「平和を築くうえで何よりも大切なのは、差異を認め、讃えていける寛容の心です。人間は皆、それぞれに特別であり、しかも、かけがえのない存在と知るべきです」と語っておられた。
 戸田先生は常々、「会員の方々あっての幹部である」と教えられた。
 だれもが使命をもつ。無限の力を秘めている。先輩は「後輩を自分以上の人材に!」と全魂を注ぎ、たゆみなく、新しい人材を育てゆくことだ。
 一人を大切に――ここに前進の力が生まれる。
 婦人部と女子部の麗しい合金の団結は、新しい世紀に、いよいよ燦然と光彩を放ち始めた。
 学会は、女性の輝ける人材の連鎖によって、永遠に勝利いていくのだ。
?につづく
(2003.8.21)