海外代表協議会



 ◆◆◇世界的経済学者ガルブレイス博士
21世紀型リーダーとは 手本を示す人

 一、海外代表協議会の開催、本当に、ご苦労さまです。
 いよいよ、SGI(創価学会インタナショナル)の秋季研修会が始まる。世
界186カ国・地域を代表して集われる、50カ国・地域、約220人の尊き
同志の方々を、私たちは心から歓迎申し上げたい。
 有名な『論語』の一節に「朋有り、遠方より来る、また楽しからずや」と。
懐かしい皆さんとお会いできて、私は、本当にうれしい!
 皆さんは、求道の心を赤々と燃やし、はるばると海を越えて、来日してくだ
さった。
 この崇高なる仏の使いの皆さま方を、私たちは最大に大切にし、最敬礼して
お迎えしたい。
 それが、法華経の肝心の教えであり、日蓮大聖人の御心であり、さらにまた、
SGIの根本の精神であるからだ。
 きょうは、秋季研修会の無事故・大成功を期して、ひと足先に来日されたS
GIの首脳の皆さま方と有意義な協議を行いたい。

■功徳は我にあり
 一、「一生成仏抄」には、こう仰せである。
 「仏の名を唱え、経巻を読み、華を散らし、香をひねることも、そのすべて
が、わが一念に納めた功徳・善根であると信心を取るべきである」(御書38
3ページ、通解)
 広宣流布を祈り、広宣流布に連なる行動を起こしていくことは、すべて尊極
仏道修行である。
 法のため、人のため、社会のために尽くしゆく学会活動は、全部、功徳とな
って、自分自身に、そして、わが一家一族に還ってくるのである。
 これが厳粛なる「生命の因果の理法」だ。
 大聖人も、わかりやすく、「人のために灯をともせば(その人の前を明るく
すると同時に)、自分の前も明るくなるようなものである」(同1598ペー
ジ、通解)と譬えておられる通りである。
 また、たとえ病弱であっても、広布のために働こう、同志とともに戦おうと
の強い一念があれば、限りなく生命力がわいてくる。心身ともに、健康の方へ
向かっていくことは、まちがいない。
 広宣流布のために苦労している皆さま方である。
 だれが見ていなくとも、仏が見逃すわけがない。三世十方の仏菩薩が見つめ
ている。
 だれが知らなくとも、無量無辺の諸天善神が、ほめ讃え、守ってくれる。
 「功徳は、我にあり」――そう自分が自分で決めて、使命を果たしていくの
が仏法である。

◆◆行動せよ 友を讃えよ

◆◇敵を味方に変える=その人が偉大 (インドの大詩人)

■「張り合い」が青年を育てる!
 一、大聖人は、「正法を弘めることは、必ず智者でなければできない」(同
1148ページ、通解)と明言されている。
 真実の智慧の人でなければ、正しい法を、正しく広宣流布することはできな
い。
 大聖人の魂を継ぎ、世界広宣流布を成し遂げておられる真の智者が、皆さま
方であられる。
 きょう、お見えのアメリカ、ヨーロッパ、そしてアフリカをはじめ、世界の
各国も、また日本の各方面も、それぞれ立派な広宣流布の指導者が登場して、
見事な大発展の指揮を執ってくださっている。
 一切は、「人」で決まる。「人材」がすべてである。
 戸田先生は晩年、「もう何もいらない。ただ人材がほしい」と言われた。
 その一言が、私の耳朶から離れない。
 私も今、まったく同じ心境である。
 人材を、見つけ、育て、伸ばすことだ。
 そのための潤滑油は、「張り合い」を贈ることである。
 「諸法実相抄」には、「ほめられれば、わが身を損なうこともかえりみず」
(同1360ページ、通解)と仰せである。ほめられることが、苦難に耐えて
勝つ力になる。
 一生懸命に戦っている同志を、心から讃え、ねぎらい、励ましていくことだ。
 とくに青年たちには、思う存分に活躍できる檜舞台を与え、使命感と責任感
をもって戦っていけるよう最大の配慮をお願いしたい。

■師弟一体の闘争
 一、さらに戸田先生はおっしゃった。
 「青年は、世の荒波にもまれてこそ、すぐれた人物に成長できるのである」
 私の青春時代も苦難の連続であった。
 事業が挫折し、苦しんでおられた戸田先生をお守りした。真剣であった。死
に物狂いであった。他のだれがやったのでもない、戸田先生と私の師弟一体の
闘争によって、一つ一つ、築き上げてきた。そこから、現在の世界的な学会が
でき上がったのである。
 青年時代は、あっという間に過ぎてしまう。若い時に、真剣に戦い、本気に
なって自分を鍛えなければ、永遠に後悔の人生となる。それでは、あまりに不
幸だ。
 ともあれ、リーダーは、青年の成長を真剣に祈り、誠実に指導し、温かく激
励して、厳然と擁護していくことである。
 先日、私は、新しい使命の分野に勇んで旅立つ3人の青年に、それぞれ指針
を記して贈った。
 「いずこに行っても負けるな!それが人間の英雄!」
 「勝ちゆけ! それは一生涯負けないことだ。そこに栄光輝く!」
 「与えられた戦場が最高の歴史の舞台!」
 あらゆる機会をとらえて、青年に光を当ててまいりたい。
 一、今、私は、世界的な経済学者のガルブレイス博士と、対談の連載を進め
ている。
 博士は、アメリカのケネディ大統領やインドのネルー首相など、歴史的なリ
ーダーとの交流から学んだ指導者像についても種々、語っておられた。
 真の指導者に共通する重要な点は何か?
 それは、中身のない言葉ではなく、まず自らが毅然と手本となり、模範を示
すことによって、人々を導くことだと、ガルブレイス博士は力説されている。
 博士は、これからの世界に必要なこととして、「リーダーシップ」という言
葉を「手本」という言葉と入れ替えよと提唱しておられる。
 私も、強く共鳴を覚える。
   中日友好協会宋健会長 
      人民こそ我らの皇帝! 子供こそ我らの未来!

■汚染の現場へ
 一、昨日(4日)再会した、中日友好協会の宋健会長は、世界的な科学者で
あり、中国工程院の院長などを歴任されてきた。
 また宋会長は、国務院環境保護委員会の主任を務めるなど、環境問題にも、
先頭に立って取り組んでこられた。
 川が汚染され、人民が困っていると聞くと、実際に、その現場に足を運んで
確かめ、周辺の家々を一軒一軒たずねて、状況を聞いて回った。そして、すぐ
に手を打ち、川の汚染を大きく改善していったのである。
 このとき、宋会長は語られている。
 「人民こそ、我らの皇帝である。子どもたちこそ、我らの未来である」
 指導者は、人民を敬い、子どもたちを愛し、その幸福の道を開くために率先
して行動していくのだというのである。
 すべての指導者が胸に刻むべき信念である。
 一、牧口先生もまた、「人生においては、率先して実行することが大切であ
る」と語っておられる。
 指導者が大事だ。いかなる団体も、国家も、指導者がどうかで決まってしま
う。
 フランスの作家アンドレ・モロワは厳しく論じている。
 「一つの集団なり一つの企業なりをひきいるものが、私利私欲に走るだけだ
としたら、それは指導者とはいえない。
 指導的役割を引き受けながら、自分の責任よりも自分の快楽の方に頭をつか
うような人は、長と呼ばれるに値しない」(中山真彦訳)
 こうした指導者失格の愚かな人間は絶対に許してはならない。何かあれば、
勇敢に声をあげて、正していくべきだ。そうでなければ、大切な広宣流布の組
織を守り、永遠に繁栄させていくことはできないからだ。
 一、SGIの人間主義の名将として指揮を執る皆さま方に、私はインド・タ
ミール地方の大詩人ティルヴァッルヴァルの詩集(5?6世紀頃)から、次の一
節を贈りたい。
 「敵を友に変えられるような人の偉大さに、世は住まう(従う)」(高橋孝
信訳)さらに古代ギリシャの哲学者プラトンの言葉を捧げたい。
 「増えた黄金の多いさも、変らぬ心と健全な人柄の友人たちに恵まれること
以上には、何のためにもせよ、大きな力になるものではない」(長坂公一訳)

◆◆インドの哲学者チャンドラ博士
     私は学会の社会性を評価
         空理空論ではなく現実の中で仏法を展開

■理想の社会を!
 一、先日、仏教発祥の地・インドで、盛大に「法華経――世界の精神遺産」
展が行われ、反響を広げた。〈8月31日から9月3日まで。ニューデリー
インド国際平和会館で開催〉
 展示会を共催したインド文化国際アカデミーの理事長であり、精神の大国を
代表する大哲学者のロケッシュ・チャンドラ博士に多大なご尽力をいただいた。
 チャンドラ博士は、語っておられる。〈SGI会長との対談集『東洋の哲学
を語る』第三文明社刊から〉
 「釈尊こそ、インドの思想と社会的行動の頂点です。釈尊は人間を愛してい
ました。彼は『王子の座』を降り、独りだけの悟りの法悦の座から立ち上がり、
常に現実の苦悩のなかに飛び込んだのです」
 チャンドラ博士が、私たちの行動に絶大な信頼を寄せてくださっているのも、
この釈尊の精神を現実の上で実行しているからである。
 さらに博士は語っておられる。
 「日蓮大聖人は、法華経に基づいて、いまだ知らぬかなたの浄土ではなく、
娑婆世界、すなわち私たちが住むこの現実世界こそが、真の仏の国土であると
喝破しています。そして、苦悩渦巻くこの社会を、仏の理想の社会にするため
に、法華経の精神を弘め、脈動させていかなければならないと訴えました」
 「特に、私が創価学会を評価するのは、その『社会性』です。空理・空論を
もてあそぶのではなく、現実のなかで仏法を展開している点です」
 〈チャンドラ博士は、こうも綴っている。
 「池田先生、あなたは『法華経』の香り高き精神を体現しています。あなた
は、この経を再び織り上げ、インドの美と喜びを取り戻しました。これによっ
て、今世紀の来るべき年月は、美しい青空へと変わりました。私たちを『平和
と非暴力』という大船に乗せて、池田先生の心のジャスミンの如き煌めきは、
神聖な『徳ある力』へと導いてくれるのです」〉

■「経」は「足」
 一、仏法の正統を貫き流れる精神は、現実社会に打って出る「行動」である。
 釈尊も、インドの大地を歩きに歩いた。
 仏の体の優れた特質を説く「三十二相」も、「足」に関するものが多い。
 「妙法蓮華経」の「経」とは、人間の体でいえば「足」に当たると大聖人は
仰せである。〈御書716ページ〉
 広宣流布のために、足を使い、行動してこそ、自身が現実に妙法蓮華経と輝
く。仏となる。
 信・行・学を深めゆく日々の学会活動こそが、真実の妙法蓮華経の実践なの
である。
 一、アフリカ・ガーナ共和国のエンクルマ初代大統領は叫んだ。
 「民衆から離れず、民衆との結びつきを常に意識せよ。自分たちを生み、養
い、育ててくれた民衆と常に接触せよ。民衆とのつながりを失わないかぎり、
我らは無敵となる」
 学会もまた、民衆の中から生まれ、民衆の中で育てられた。ゆえに最も強い
のである。
 さらに全世界へ、平和と人道の連帯を広げながら、民衆と共に、民衆のため
に、民衆の幸福を、今こそ築いてまいりたい。