光州女子大学名誉教授授与式・第16回創価栄光の集い



◆◆◆永遠の韓日友好へ 正義の勝利へ

◆◆◆学問は人生の宝
◆◆【タゴール】「悪を追い払う武器は知性」


創立者の謝辞】
 一、きょうは第16回「創価栄光の集い」、おめでとう! 
 学問に打ち込みながら、おなかをすかせながら(笑い)、皆でつくり上げた
素晴らしい青春の祭典、本当にご苦労さま! (大拍手)
 皆さまは、私が創立した大学に来てくださった。創立者として、これが、ど
れほどうれしいことか。
 わが命に代えても、皆さまを大切にしなければならない」――私は、そういう
思いでおります。
 創価大学への評価も、年々、高まってきています。本当にありがとう!
 古代ギリシャの詩人工ウリピデスは、つづりました。
 「紛れもない友に勝るものはない。富も王位も敵わない。いくら大勢の人で
も、誠実な友には取り換えるべくもない」(中務哲郎訳)
 どうか、このたびの「創価栄光の集い」でも、真の友人と友人とのドラマを
つくり残していただきたい(大拍手)。
 一、韓国の「理想の女性」と称される人物に、16世紀の賢母・申師任堂(シ
ンサイムダン)がおります。彼女は、夫が近づこうとした政治家の本性を、鋭
く見抜き、こう言いました。
 「あの宰相は、誠実な人々をおとしいれ権勢をほしいままにしています。そ
んな人の権力がながつづきするはずはありません」(李殷直訳)
 彼女の言葉通り、後日、その政治家は悪事が露呈し破滅しました。夫は、災
いを避けることができたのであります。
 韓民族独立の父・安昌浩(アンチャンホ)先生は訴えました。
 「嘘の多い国民で滅びなかった国がどこにありましたか。嘘の多いまま復興
した国がどこにありましたか」(具末謨訳)
 厳しい真理を示した言葉であります。
 新しき歴史をつくる皆さんに、こうした言葉から、何かを学び取っていただ
きたいと思い、紹介いたしました。

■宇宙をも動かす大境涯に!  
 一、約200年前、貴国の信念の大学者・丁若?(チョンヤギョン)先生は、
権力による迫害の中、厳然と叫びました。
 「いかなる権威の位たりとも、逆境の中での学問という清らかな宝には、か
なわない」
 まことに、学は「人生の宝」であります。そして学は「人間の特権」であり、
「社会の勝利の源泉」なのであります。
 この貴国の丁(チョン)先生は、「父子一体」「親子一体」でともに試練を
乗り越えてきた頼もしきわが子を、こうも励ましておりました。
 「胸中には、いつも、秋の鷹が大空を突き抜けて上昇していくような気概を
抱かねばならない。天も大地も小さく見下ろし、宇宙をも自在に動かしてみせ
るという境涯でいくことだ」――と。
 この不屈の勇気にこそ、今回の創大祭のテーマに掲げられた「戦う知性の王
者」の誇りがある。
 そして、この朗らかな自信にこそ、白鳥祭のテーマである「希望の太陽」の
輝きがあると、私は申し上げたい。
 私は、学生の皆さんを「わが子」と思って話しております。皆さんは、賢明
に生きてほしい。一人も残らず、幸福になってもらいたい。
 今回も、楽しい、意義ある大学祭を飾っていただきたい(大拍手)。
 一、心から尊敬申し上げる呉致錫(オーチソク)理事長ご夫妻、さらに高在
維(コージェユ)総長、ならびに光州女子大学の先生方。
 ただ今、私たち夫婦は光り輝く貴大学の名誉教授の称号を謹んで拝受いたし
ました。これほどの光栄は、ございません。
 またきょうは、中国とメキシコの交換教員の先生方、韓国SGIの友もご臨
席くださいました。まことに、ありがとうございます(大拍手)。
 中央体育館で参加している多くの学生の皆さんも、ありがとう! 
 松風センターに集われた30期生の皆さん、ご苦労さま!  
 皆さんの就職活動の成功を、わたしは、しっかり祈っています。
 本日は、韓国をはじめ、38カ国・地域から創価大学にお迎えしている留学
生の代表も参加してくださっております。
 この若き向学に燃ゆる宝の友と一緒に、貴大学の栄誉を受けさせていただき、
私どもにとりまして、一生涯、いな永遠に忘れ得ぬ歴史の式典となりました。
あらためて心より、厚く御礼を申し上げます(大拍手)。

■大学建設は死闘
 一、さて、貴国の光州市は、古より「光の都」「太陽の都市」として、嚇々
たる学術と文芸の光を放ちながら、幾多の歴史的大偉人を育んでこられました。
 思えば、5世紀頃に、日本へ漢字や儒教などを伝えてくださった、貴国の王
仁(ワンイン)博士も、この文化の光の天地の出身でありました。
 そして今、この理想郷にあって、旭日のごとく女性教育の模範の光彩で新世
紀を照らしておられる「光の城」こそが、貴大学なのであります。
 一つの大学を創立することは、文字通り命を賭した死闘であります。その苦
労は、大学をつくった人間にしか、わからない。私には、創立者である呉理事
長のお気持ちが、よくわかります。
 貴大学の設立に際しても、妬みの悪口や非難が降り注ぎ、誤解や偏見の妨害
の連続であったと、うかがいました。
 しかし、呉理事長は、毅然と宣言されております。
 「抑えられれば抑えられるほど、私は正義で戦う」「私は『事は必ず正に帰
す(正義が必ず勝利する)』という言葉を信ずる。私が行っていることは正し
い。ゆえに、この事業が完成する日には、真実も明らかになるだろう」
 今、その通りに、貴大学は厳然と勝利されました(大拍手)。

■我が祖国は世界
 一、先ほどは、有志の皆さん方が、貴国の歴史的に有名な「先駆者」の歌を
見事に歌い上げてくれました。
 実は、ここにおられる高総長の亡き父君は、勇敢なる教育者として、当時、
狂った日本軍が禁止していた韓国語を教えて、投獄されました。そして、殉難
された気高き大先駆者なのであります。
 それは、わが創価教育の父・牧口先生の不惜身命の獄死と、ほぼ同時代の血
涙の歴史であります。
 国家主義の悪が、どれほど残酷か。どれほど非道か。私は、この日本という
一国を超えて、「世界こそ我が国」との思いで行動してきました。
 高総長は、父君の崇高なる勇気の光を受け継がれました。そして、光州市に
輝く名市長として、政治の世界においても、不滅の功績を残されたのでありま
す。(大拍手)


◆◆文化大恩の光の都 光州
 今、皆さんの先輩方も、あらゆる使命の分野で、目を見張る大活躍をしてい
ます。
 企業のトップなど各界のリーダーからも、多くの賞讃の声が寄せられており
ます。私は、本当にうれしい。

■英雄の母はもっと英雄
 一、ともあれ、かつて独立運動に立ち上がった貴国の女性の闘士は、弾圧に
も屈せず、平和と正義の信念を、堂々と確信をもって主張しました。
独立運動家・金(キム)マリア女史。1892年?1944年〉
 日本の軍国主義の圧迫は、まさに、鬼畜のごとく、残忍きわまるものでした。
 それでも、彼女は、恐れない。沈黙しない。毅然として、戦うことを止めな
かった。
 私の信念は変えない! 
 私は、正しいのだから、と。
 裁判を担当した日本の検事も、彼女のあまりにも立派な姿に、思わず、こう
語ったといいます。
 「貴女は英雄だ。そして貴女のような女性を生み育てた、お母さんは、もっ
と英雄である」と。
 きょうは、呉理事長の令夫人をはじめ、素晴らしいお母さま方が、温かく皆
さん方を見守ってくださっております。
 ここで、すべての母への心からの感謝を込めて、最も尊い「生命尊厳の太陽」
であるお母さま方に、私たちは、真心の大拍手をお贈りしましよう! (大拍
手)
 一、この夏、元ソ連大統領であるゴルバチョフ氏と私の対談集の韓国語版が
発刊されました。
 貴国に多くの友人を持つ、ゴルバチョフ氏も大変に喜んでおられます。
 10年前、創価大学で、氏は、ライサ夫人とともに、明快に宣言されました。
 「『善』を『善』と言い、『悪』を『悪』と言えることが、人間にとって最
大の権利です」と。
 今も忘れることはできません。

■学生の日の淵源の闘争
 一、巡り来る11月の3日は、貴国では、毎年、意義深き「学生の日」とし
て迎えられています。
 その淵源は、1929年(昭和4年)の11月3日――。
 まさに、貴・光州市において、正義の光の学生たちが、人間の自由と尊厳を
踏みにじる圧政に対し、敢然と抗議の雄叫びをあげた歴史的な日なのでありま
す。
 その光州の学生の叫びを、私は、皆さん方に託します。
 「我らの戦いは、全国と全世界につながっている」
 「自由の天地の勇者よ! 勇気を出して、徹底的に戦おう! 
 我らの勝利こそ、圧迫された民衆を解放する道であり、蘇生させゆく源泉で
ある。
 我らを妨害し、阻もうとする腐敗物を取り除くのだ。そして勝利の目的地に
向かって、勇敢に突き進もうではないか! 」と。
 一、貴国を、「東方の灯火」の国と讃えたインドの大詩人タゴールは、声高
らかに訴えました。
 「悪を追い払う武器とは、すなわち、知識であり、理性であり、知性である」
(森本達雄訳)
 さらに、ロシアの文豪トルストイは、強く叫びました。
 「宗教は教育の基礎である」(北御門二郎訳)
 一、最後に一点だけ、学生の皆さんは、自分で働くようになって、わずかで
も余裕ができたならば、きょう、お越しくださった韓国の先生方へのご恩返し
として、ぜひ、韓国の地へ、そして、光州女子大学へ行っていただきたい。
 「私は、あの日、あの素晴らしき式典に参加していた者です! 」と。
 どうか、お父さん、お母さんに、くれぐれも、よろしくお伝えください。き
ょうは、本当に、ありがとうございました! (大拍手)


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     「聞け! 光州の学生の叫びを」
     我らの戦いは全国と全世界につながっている
     我らの勝利こそ
     圧迫された民衆を解放する道なのだ! 
     我らの目的地に向かって 勇敢に突き進もう! 
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(2003.10.18)