海外・東京婦人部代表会議 上




◆◆「慈愛」と「奉仕」が21世紀のリーダー像

◆◆◆わが身を惜しまず同志のために


 一、遠いところ、仏法の研修のために、アメリカ、イタリア、ドイツ、ザン
ビア、香港から日本にお越しくださり、心から感謝申し上げます。
 はるばると、本当によくおいでくださった。
 小さな日本の国にあっても、北海道、九州など各地から本部に来られる同志
に対して、私は、使命に生き抜く健気な姿に、遠いところ、本当にありがたい、
また素晴らしいと思っております。
 皆さま方の国は、さらにどれほど遠いか。日本に来ること、それ自体が大変
なことである。心から尊敬する偉大な仏道修行の方々です。
 私は胸の痛む思いで、真剣な皆さま方のご健康とご多幸と、一家のご繁栄を
ご祈念いたしております。そしてまた、皆さま方の国家の繁栄と平和と大発展
を、真剣にご祈念させていただいております。
 どうか皆さま方は、いついつまでも、仏法の指導者として、広宣流布の先駆
者として、名誉あるお名前が、その国に永遠に残りますよう、真剣にお祈り申
し上げるものであります。
 東京の婦人部の皆さまも、ご苦労さま! 勝つことは、すがすがしい。大勝
利、おめでとう! (大拍手)
 現実に広宣流布を進めておられる皆さまは、最高に尊貴な人間である。どれ
ほど尽くしても、讃えても、足りない。これが私のいつわらざる心情である。
 わが身を借しまず、同志のために、後輩のために、青年のために――その「慈
愛」と「奉仕」の行動こそが、21世紀のリーダーの要件であらねばならない。

◆◆「次の仕事」は「今すぐ」始めよ (トインビー博士)

■「正義をなすのに遠慮はいらぬ」
 一、きょうは、全世界の同志の間断なきご健闘に心から敬意を表しつつ、「創
立の日」を記念してスピーチを留めさせていただきたい。
 はじめに、イギリスの歴史に残る19世紀の名首相、グラッドストンの言葉
を紹介したい。
 「正義の実行を躊躇(ちゅうちょ)するは即ち正義を拒(こば)むことであ
る」(永井柳太郎訳)
 正義の実行にあって、ためらってはならない。遠慮してもならない。大胆に、
敢然と断行することだ。
 いわんや、広宣流布は、「正義の中の正義」の実行である。

 一、20世紀最高峰の大歴史学者トインビー博士と対談したとき、私は40
代の半ばであった。
 80代半ばの博士が、若い私との対話を強く求めくださったのである。
 「二人して大いに語り、後世のために、後世に役立つ対話を、断じて残して
いきましょう! 」
 私は、あの若々しい大情熱に満ちた博士の英姿を思い浮かべながら、世界の
知性との対話を、今なお幾重にも繰り広げている。
 人類の全文明を俯瞰(ふかん)した大著『歴史の研究』をはじめ、膨大な業
績を残された博士は、述べておられる。
 「(成人してからの)半世紀の間、私は今までやっていた仕事が仕上がった
その日に、次の仕事を始めたものであった。一息入れて休むということは絶対
にしなかった。そして仕上げたいと切望するこの熱心さは、年をとるにつれて
増してきた」(山口光朔・増田英夫訳)
 ここに、真剣勝負の人生を生き抜かれた博士の強さがあり、深さがあった。
 立場や肩書では、人間の価値は決まらない。行動で決まる。人格で決まる。
使命に生きゆく一念で決まる。
 「次の仕事にとりかかる適切な時は、明日でもなければ来週でもない。今す
ぐなのである」(同)とは、博士の至言である。
 日蓮大聖人は「月月・日日につよ(強)り給へ・すこしもたゆ(撓)む心あ
らば魔たよりをうべし」(御書1190ページ)と仰せである。
 私たちは、一日一日を大切に、勇敢にして聡明に生き抜きながら、価値ある
大仕事を成し遂げてまいりたい。

■弱気になるな
 一、さらに、ドイツの文豪ゲーテの次の一節は有名である。
 「臆病な思い、弱気の迷い、女々しい逡巡、けちな愚痴、いずれも逆境を転
じてはくれぬ、きみを救ってはくれぬ」(松本道介訳)
 弱いということは不幸だ。弱ければ、自分自身を救うことはできない。まし
てや、人々を救っていくことなど、とうていできない。
 御書には「日蓮が弟子等は臆病にては叶うべからず」(1282ページ)と
仰せである。強くなる以外に勝利はない。

■50年前、『価値論』を世界の大学へ
 一、50年前(1953年)の11月17日。信濃町に移転したばかりの学
会本部で真っ先に行われたのは、初代会長・牧口先生の十回忌法要であった。
 戸田先生は、この十回忌に際して、牧口先生の『価値論』を補訂され、発刊
された。
 本の扉には、「牧口常三郎著 遺弟(ゆいてい)戸田城聖補訂」と記されて
いる。
 法要の席で、戸田先生は言われた。
 「いま、牧口先生の追憶談(ついおくだん)を聞いていて、二十一歳から四
十四の年までいっしょにいた私は、先生のおそばにいたときのようで、胸がい
っぱいにこみあげてくる」
 「先生は、じつに純真な、まじめそのものの人であった。それほどりっぱな
人が、死なれたところは牢獄のなかである」
 「私は弟子として、この先生の残された大哲学を、世界に認めさせる」
 「利善美(りぜんび)の価値体系を、世界的哲学として認めさせるまで、私
の代にできなければ、きみらがやっていただきたい。たのみます」
 30年先、50年先に照準を定めての峻厳な師弟の儀式であった。
 その第一歩として、戸田先生と私たち青年部は、『価値論』の英語の抄訳(し
ょうやく)と解説を、世界各国の大学や学術機関に寄贈していった。
 本年、英国で学ぶ創価同窓の友から、「名門のグラスゴー大学やオックスフ
ォード大学の図書館には、50年前に贈られた『価値論』が、今も所蔵されて
います」という、うれしい報告が届けられた。そのグラスゴー大学をはじめ、
5大陸の約150に及ぶ大学・学術機関から、私は名誉博士号、名誉教授等の
称号を拝受してきた。
 これも、すべて牧口先生、戸田先生に捧げる栄誉である。
 『価値論』の発刊から50周年に輝く、師弟の勝利と栄光を、私は皆さま方
とともに、両先生にご報告申し上げたい(大拍手)。

 一、「牧口先生の偉大な人間主義の大哲学を世界に開花させる」――この戸田
先生の悲願は、完壁に成就することができた。その象徴こそ、アメリ創価
学である。
 人間をつくる両輪は、「教育」と「宗教」である。教育なき宗教は、独善に
なってしまう。
 「人間教育の世紀」の希望の旭日と輝く、このアメリ創価大学の建設に、
教職員の皆さま方、学生の方々は、私の「創立の同志」として取り組んでくだ
さっている。
 創立260年の伝統輝く、アメリカの名門、デラウェア大学のローゼル学長
も、アメリ創価大学の学生や教職員を、「偉大なパイオニア(開拓者)」と
賞讃されていた。心から「サンキュー・ベリー・マッチ!」と申し上げたい。
 さらにまた、陰に陽に、大学を守ってくださっているアメリカSGI(創価
学会インタナショナル)の同志にも、感謝は尽きない。

 一、なお、この50年前に発刊された『価値論』の最終章には、「人間の生
命を説き明かす真実の仏法が流布された時に始めて無上最大の幸福なる寂光土
が建設されるのである」と綴られている。
 そして、「如説修行抄」の有名な一節で結ばれている。
 「『法華の折伏は、権門の理を破す』との金言であるから、ついに、権教権
門の者を一人も残さず攻め落として、法王(仏)の門下となして、天下万民す
べての人々が低い教えを捨て一仏乗に帰依して、三大秘法の南無妙法蓮華経
けが栄える時、すべての人々が一同に南無妙法蓮華経と唱えるならば、吹く風
は穏やかで、枝を鳴らさず、降る雨も土壌を砕かず、代は昔の中国における伏
羲(ふっき)や神農(しんのう)の時代のような理想社会となり、人々は今生
(こんじょう)には不幸な災難を払い、長生きできる方法を得て、人法ともに
不老不死であるという道理がはっきりとあらわれてくるのである。その時をお
のおの見てごらんなさい。『現世安穏』という証文の正しさは疑いないのであ
る」(『価値論』には原文で掲載。御書502ページ、通解)
 この御聖訓のまま、私たちは、さらに勇敢に、民衆の幸福のため、社会の繁
栄のため、世界の平和のため、人類の安穏のために、行動を続けてまいりたい。

┌――――――――――――――――――――――――――┐
│★中国革命の父孫文                │
│「やれる!」と信じれば どんな難事もいつかは実現  │
│「やれない」と思えば たやすいことも永遠に不可能  │
└――――――――――――――――――――――――――┘

■大情熱を燃やせ
 一、中国革命の父孫文は言った。
 「自分がやれると信ずるなら、たとえ山を移し、海をくつがえすほど困難な
ことでも、いつかはなしとげることができる。
 自分がやれないと思うなら、たとえ掌(てのひら)を返し、枝を折るほど容
易なことでも、永遠になしとげることができない」
 周総理が、この言葉を引いている(東方書店刊『周恩来選集』)。
 大事なのは、指導者の大確信であり、大情熱である。

 一、きょうは、アメリカ青年部のリーダーが出席されている。新出発、おめ
でとう!  (大拍手)
 皆が、どれほど優秀な宝の人材であるか、全部、よくわかっております。
 若き日から、広宣流布の大舞台で、前進の指揮を執っていくことは、これ以
上ない、使命と福運の青春である。
 どうか、親孝行を忘れずに、家族を大切に、友情を大切に、そして地域で、
職場で、社会で、大いに活躍していっていただきたい。
 世界一の偉大なアメリカを、広宣流布の模範の前進を、どうかよろしくお願
いしたい。
 決して、あせる必要はない。皆さま方の生き生きとした乱舞を、世界の良識
は、温かく、また鋭く見つめている。最大の希望を託している。
(?につづく)