全国最高協議会
広宣流布の青春に栄冠あれ！ 青年には限りない未来が！
青年よ 勇気で進め
《戸田先生》 「一切は青年に託すしかない」
《フランスの思想家》 勇気は逆境における光
【名誉会長のスピーチ】
一、きょうは、本当にご苦労さま！
各方面の代表も、遠くから、ようこそ！
私は皆さんの健康を、毎日、真剣に祈っている。また全同志の健康を、ともどもに祈念してまいりたい。
はじめに、青年部の代表に記念の句を贈りたい。
勝ちまくれ
また勝ちまくりたる
創価かな
未来を託すのは、青年しかない。新しい歴史をつくるのは、青年の使命であり、特権である。
どうか、自分のため、友のため、ご両親のためにも、世界一幸福な人生、勝利また勝利の栄光の人生を晴れ晴れと生き抜いていただきたい。
私たちは、信心の絆で結ばれた"家族"である。久遠の同志である。
だからこそ、未来のために、大切なことを率直に語っておきたい。
○仏を敬うように会員を大切に
一、先輩の幹部は、後輩を大事にしていくことだ。同志に最敬礼していくべきである。
自分が目立とうとするのではなく、同志を讃え、後輩を立てていく。
皆が主役である。自分はむしろ脇に回り、皆を支えていこう ―― このリーダーの基本姿勢を、よくよく胸に刻まなければならない。
法華経に「当起遠迎、当如敬仏（とうきおんごう、とうにょきょぶつ＝当に起って遠く迎うべきこと、当に仏を敬うが如くすべし）」とある。
日蓮大聖人と同じ心で広宣流布へ進みゆく同志を、仏を敬うように大切にしていく。真心を尽くして励ましていく。
そういう人格の光るリーダーであってこそ、多くの友から信頼され、希望と力を与えていけるのである。
広宣流布の「将（しょう）の将」である皆さまは、どこまでも会員に尽くし抜き、「立派だ」「さすがだ」と讃えられる名指揮をお願いしたい。素晴らしき人生の総仕上げを飾っていただきたい。
○全員が「精鋭」に
一、きょうの集いは、各部、各方面の代表が参加しての重要な協議会である。
戸田先生は、こうした会議を、非常に大事にしておられた。無断で欠席したり、会議の大切な内容を忘れていたりしたら、それこそ烈火のごとく叱られた。
強い先生であった。先生の怒る声は、雷鳴のようだった。はるか遠くまで響き渡るような、本当に大きな声だった。
師子の叫び、師子王の叫びであった。
戸田先生は、そうやって青年たちを厳しく訓練してくださった。
"リーダーは、一人も残らず精鋭であれ！ 広布の本陣に精鋭以外はいらない！"と、それはそれは厳しかった。だからこそ学会は、ここまで発展したのである。
その剛毅（ごうき）な戸田先生が、師匠の牧口先生の前では、「あそこまで」と皆が驚くほど粛然（しゅくぜん）とし、かしこまっておられたという。
本当の師匠と弟子の姿は、厳粛である。崇高である。これほど強い絆は、この世にない。
師弟を蔑（ないがし）ろにして、いくら偉くなっても、その末路は厳しい。
広布の本舞台に真実の弟子が躍り出ることを、私は祈り、待っている。
青年部は正義の師子と立ち上がり、皆が目を見張るような大勝利を、見事に飾ってもらいたい。
○青春の薫陶（くんとう）は宝
一、妙法は"不可思議の法"である。
私は若き日に、戸田先生の個人教授を受けた。
先生のもとで「当体義抄（とうたいぎしょう）」など、徹底して御書を学んだことは、青春の最大の誉れである。
先生の事業が挫折（ざせつ）し、苦境が続くなか、私は夜学に通うことも断念して師匠を支えた。一切をなげうって先生のため、学会のために戦い抜いた。
そうしたなかで先生は、御書をはじめ万般の学問を私に教えてくださったのである。
今、ＳＧＩ（創価学会インタナショナル）の平和・文化・教育の運動に対して、全世界から多くの顕彰が贈られている。
皆さんを代表して私が受けた、こうした栄誉の数々も、若き日に徹して戸田先生を守り抜いた偉大な功徳の証である。師弟の勝利の栄冠である ―― 私は、そう確信している。
「心こそ大切」 （御書１１９２頁）である。
感謝と喜びの心で、学会を守り、広宣流布のために戦えば、大きな福運がついていく。反対に、見栄や増上慢の心で、学会を侮蔑（ぶべつ）し、見下せば、
自分自身を破壊することになる。最後は哀れな人生となっていく。
妙法は峻厳である。だからこそ、功徳も大きい。まじめに、真剣に信心を続けていくならば、最高の福運を積んでいける。絶対に幸福になっていくのであ
る。
○全世界の同志の健闘に感謝
一、私がＳＧＩの全同志を代表して世界５大陸の大学・学術機関からいただいた名誉博士・名誉教授などの学術称号は、光栄なことに「１７１」となった
（大拍手）。
＜１７１番目は、今月２０日に受章した、ベラルーシ共和国のミンスク国立言語大学「名誉教授」称号＞
決定通知を含めると、「１９０」になることも、あわせてご報告させていただく。これは、すべて、ＳＧＩの人間主義に対する期待と信頼の証にほかならない。
また、これまで世界の各都市からいただいた名誉市民称号は「３９８」となる（大拍手）。
来年の冬季オリンピックの舞台であるイタリアのトリノ市をはじめ、ブラジルの美しき自然環境の都市アマポラン市、教育文化の先進都市ヒベイロン・プ
レット市、自然豊かな農業都市モジ・ダス・クルーゼス市、そして青きカリブ海に浮かぶプエルトリコのマウナボ市などからも、名誉市民称号の授与の決定
通知をいただいている。
これらの栄誉は全部、世界の同志が良き市民として立派に社会に貢献してきた結晶である。
私は、心から御礼を申し上げたい。その意味で、ご紹介するのである。
私は、いつも、全世界の同志に「幸福あれ！」「勝利あれ！」と、一生懸命に題目を送っている。
○平和の光・ＳＧＩに人類は期待！
一、私のもとには、昼夜を問わず、世界中からさまざまな連絡や報告が入ってくる。
南米・ベネズエラのレガラード理事長から報告があった。
それは、名門の国立カラボボ大学の社会経済学部が推進している読書研究会で、本年５月から、２０世紀最大の歴史家トインビー博士と私との対談集（邦題『２１世紀への対話』）や「ＳＧＩの日」記念提言を研究することが決定したというのである（大拍手）。
この研究会には、約４５０人の学生が参加するとうかがっている。
＜同大学は、ＳＧＩ発足３０周年にあたる１月２６日、大学の初代総長の名前を冠した最高栄誉「アレーホ・スロアガ章」を池田名誉会長に授与。
この日から今月１１日まで、同大学の教育学部図書館で「ガンジー・キング・イケダ ―― 平和建設の遺産」展が行われた＞
今、世界各地で、「創価の人間主義」の思想が探究されている。
南米では、さらにブラジルのカンピーナス州立大学でも、私の著書が並べられた研究室で、毎年の「ＳＧＩの日」記念提言をはじめ、私の大学講演や生命論などが、授業の教材として使われている。同大学は、ブラジル３大名門大学の一つである。
アルゼンチンの国立ローマス・デ・サモーラ大学では「池田哲学普及常設委員会」を設立。真剣な活動が進められている。
アメリカでは、ボストン２１世紀センターが発刊した研究書が、ハーバード大学をはじめ全米の大学で、教材として使用されてきた。
＜これまで累計で２５３講座。使用されている主な研究書は、名誉会長が序文を寄せた『憎しみの克服』『貪（むさぼ）りの克服』『地球的視野を育（はぐく）む教育』、名誉会長の論文を収めた『仏教者の平和事業』など＞
欧州では、３００年の歴史を誇るポーランドの国立ヴロツワフ大学で、トインビー博士と私との対談集が教材となっている。
また、世界の各地で、創価の哲学と行動を探究する研究会・研究所が設置されている。
＜デンマークの名門、アスコー国民高等学校には「アスコー池田平和研究会」が開設。
中国の北京大学には「池田大作研究会」、湖南（こなん）師範大学に「池田大作研究所」、安徽（あんき）大学に「池田大作研究会」、広東（カントン）・肇慶（ちょうけい）学院に「池田大作研究所」がある。
台湾の中国文化大学には「池田大作研究センター」が設置されている＞
さらに、アフリカ・ケニアの最高峰の学府・国立ナイロビ大学の文学部に、私の著作を学ぶ科目が開講（かいこう）されている。文学科長のたっての希望で実現したもので、創価大学１２期生で弁護士のオダリ・マスミさんも教鞭（きょうべん）を執（と）っている。
私自身のことでもあり大変に恐縮だが、ＳＧIへの学術界の評価として、ありのままに伝えさせていただいた。
先日（１８日）、お会いしたノーベル平和賞受賞者のマータイ博士（ケニア環境副大臣）も、ＳＧＩの活動への深い理解と賛同を語っておられた。
また以前、来日された国連のチョウドリ事務次長も、平和の文化を担う創価の運動に大きな信頼を寄せ、青年への期待を述べておられた。
世界の一流の知性は、国境を超えた一大平和勢力として、ＳＧＩに注目し、共感し、支持を表明している。その証（あかし）として数多くの顕彰が寄せられているのである。
これらの栄誉は、すべて皆さま方の栄誉であり、皆さま方の勝利なのである（大拍手）。
―― 報恩こそ仏法の正道（せいどう） ――
《日寛上人》 報恩の根本は「邪悪との闘争」と「広布の拡大」
○恩を知る人に
一、日蓮大聖人は「恩」について厳しく教えておられる。
「仏弟子は必ず四恩をしって知恩（ちおん）報恩をいたすべし」（御書１９２頁）
恩を知り、恩に報いることこそ、人間の道であり、仏弟子の要件である。
大聖人は、"動物ですら恩を知り、恩に報いる。いわんや人間をや"とも仰せである。
＜「報恩抄」の冒頭に「老いた狐は、自分が生まれた古塚（ふるづか）を忘れず、必ず首を古塚に向けて死んでいく。また、中国の武将・毛宝（もうほう）に助けられた白い亀は、後に毛宝が戦いに敗れると、彼を背に乗せて、河を渡って助け、その恩に報いた。畜生すら、このように恩を知り、恩に報いる。まして人間が恩を知り、恩に報いないでよいはずがあろうか」（同２９３頁、通解）とある＞
恩を忘れ、恩を裏切ることが、どれほどの悪行であるか。
学会においてもこれまで、退転・背信の輩が、例外なく、卑しい「恩知らず」であったことは、皆さん方が、よくご存じの通りである。
「恩知らず」は、仏法の道に背き、人間の道、生命の道を外れた、最低の生き方なのである。
一、「報恩抄」では、通じて、「四恩」に報い、別して、「師匠の恩」に報いていく道を説いておられる。
ここでは、「四恩」として、父母の恩、師匠の恩、三宝（仏法僧）の恩、国王の恩（社会の恩）が挙げられている。＜「報恩抄」には「ひとへに父母の恩・師匠の恩・三宝の恩・国恩をほう（報）ぜんがため」（同３２３頁）等と仰せである。「父母の恩」にコ切衆生の恩」を含む＞
一、私たちが尊崇（そんすう）の対象とする「仏法僧の三宝」のうち、「仏宝」とは日蓮大聖人、「法宝」とは「南無妙法蓮華経の御本尊」、「僧宝」とは日興上人である。歴代法主は含まない。
また「僧」とは、広く言えば、三宝を正しく伝え広めていく「和合僧」を指す。現代で言えば、創価学会こそが「和合僧」なのである。
広宣流布を忘れた坊主たちが、 「僧」であるはずもない。
○師弟の魂は「行動」の中に
一、「報恩抄」は、大聖人が「大事の大事どもをかきて候ぞ」（同３３０ページ）と言われた重書である。
そのなかで示された「報恩」の根本の道とは何か。
日寛（にちかん）上人の「報恩抄文段（もんだん）」を拝すれば、報恩の根本の道とは、「邪法を退治すること」であり、「正法を弘通すること」である。
すなわち、不借身命（ふしゃくしんみょう）の広宣流布の信心である。
身命を惜しまず「邪法を退治」し、「正法を弘通」すれば、一切の恩に報いることができるからであると、日寛上人は教えてくださっている。
＜文段にこうある。
「問う、報恩の要術（ようじゅつ）、その意は如何（いかん）。
答う、不惜身命を名づけて要術と為す。謂（いわ）く、身命を惜しまず邪法を退治し、正法を弘通すれば、即ち一切の恩として報ぜざること莫（な）きが故なり」＞
一、真実の「師匠への報恩」の道は、悪を破折し、正義を拡大する以外にない。
反対に、悪を傍観（ぼうかん）し、放置しておくことは、師匠に対する忘恩であり、裏切りである。
また、たとえどんなに小さなことであっても、同志を苦しめる悪を、絶対に見逃してはならない。放っておけば、その毒気が、いつしか全体に蔓延（まんえん）して、清浄な和合の世界が破壊されてしまう。
「悪」を滅してこそ「善」が生ずる。正義の言論で悪を一つ一つ退治していかねばならない。
そして、仏に等しい善良な同志を守り抜き、広宣流布の正義の勢力を一段と拡大しながら、断固として勝ち進んでいくことである。
これこそが、弟子の「報恩の戦い」なのである。
「師匠の恩に報いる」という言葉を、民主主義の現代から離れた古い価値観のように受け取る人もいるかもしれない。
しかし、「師弟の道」「報恩の道」こそ、時代を超えた、人間の永遠の勝利の道であることを知っていただきたい。
また、師弟の心といっても、口先で論ずるものではない。自らが深く決意し、行動するなかに、「不二」の魂が脈動していくのである。
一、「報恩抄」の最後には、こう仰せである。
「日蓮が慈悲曠大（こうだい）ならば南無妙法蓮華経は万年の外（ほか）・未来までもながる（流布）べし、日本国の一切衆生の盲目をひらける功徳あり、無間地獄の道をふさぎぬ」（御書３２９頁）
わが創価学会は、この御聖訓の正しさを実証をもって示した。末法万年尽未来際（じんみらいさい）への令法久住（りょうぼうくじゅう）の流れをつくった。
そして、人類の不幸の流転（るてん）を押しとどめるために、世界広宣流布の道を開いている。
世界の心ある知性も、この創価の前進に、２１世紀の希望を託している。
《日興上人》 御書を翻訳し世界へ
―― 仏法を全人類へ広げたのは創価学会 ――
○スペイン語版御書の翻訳進む
一、現在、スペイン語版「御書」の翻訳が進められている。
本日は、翻訳・監修に携わっているメンバーも参加されている。皆さん、本当にありがとう！ ご苦労さま！（大拍手）
＜スペイン語は、欧州のスペインをはじめ、中南米の大半の国で公用語とされている言語。使用人口は約３億５０００万人ともいわれ、スペイン語版御書が刊行されれば、世界広布を大きく開きゆく壮挙となる。
また、スペインにおける言語学と翻訳理論の権威で、『新スペイン語辞典』（研究社）等の発刊に携わったカルロス・ルビオ博士（国立マドリード・コンプルテンセ大学教授）が監修者の一人。博士は、「仏法の光、幸福の光で人々を照らすことは、必ずや世界平和につながると確信します」と述べている＞
このほど、２４編の御書の翻訳が完成し、その原稿が届けられた。
私は、さっそく学会本部の御本尊の御宝前にお供えし、題目を唱えた。
私は、本当にうれしかった。また、日蓮大聖人、日興上人のお喜びはいかばかりかと思うと、胸に迫るものがあった。
日蓮大聖人は、「妙法蓮華経の五字を以て閻浮提に広宣流布せしめんか」（同５０７頁）と仰せである。世界広宣流布は、大聖人の御遺命である。
大聖人の御入滅後、違背（いはい）の弟子である五老僧たちは、大聖人が人々にわかりやすく「かなまじり」で書かれた御手紙を「先師の恥辱」（同１６０４頁）などといって蔑（さげす）み、漉（す）き返したり、火で焼いたりするという所行に及んだ。
これに対して、不二の弟子である日興上人は、こうした御手紙をすべて「御書」と呼ばれ、厳然と後世へ留めるために奔走された。
日興上人は「広宣流布の日には、この『かなまじりの文』が翻訳され、世界に伝えられるであろう」と宣言されている（同１６１３頁、趣意）。
この仰せを、あらゆる困難を乗り越え、断固として実現してきたのが創価学会である（大拍手）。
この偉業に尽力してくださっている皆さんは、生々世々、福徳に包まれゆくことは間違いない。皆さんの家族も、子どもも、孫も、子々孫々にわたって、人々を指導し、幸福にしていける人材となっていく。これが、妙法なのである。
○真剣なる対話が信頼を築く
一、ここで、フランスの思想家・ボーブナルグ（ヴォーヴナルグ、１７１５〜４７年）の言葉を通し、何点かお話ししたい。
ボーブナルグは、１８世紀末から１９世紀中頃にかけてヨーロッパで展開された文化運動、ロマン主義の先駆的存在である。
私どもは、「文化」を大切にしている。仏法を基調にした、平和・文化・教育の運動を世界に広げている。
かつて、ソ連を初訪問し、コスイギン首相と会見したとき（１９７４年９月１７日）、首相は私に「あなたの根本的なイデオロギーは何ですか？」と聞いてこられた。
共産主義の国家の指導者である。"創価学会とは、いったいどんな団体なのか見極めたい"という思いもあったに違いない。ソ連側のテーブルには、首相をはじめ、政府や党の首脳がずらりと並び、じっと私を見つめていた。
私は即座に答えた。
「平和主義であり、文化主義であり、教育主義です。その根底は人間主義です」と。
＜首相は「この原則を高く評価します。この思想を私たちソ連も実現すべきです」と応じた。
会談は首相に強い印象を残した。首相令嬢のグビシャーニ女史は、首相が帰宅後、「今日は非凡で、非常に興味深い日本人に会ってきた。大変複雑な問題に触れながらも、話がすっきりできて、うれしかった」と語っていたことを証言している＞ ．
いついかなるときも、私は真剣であった。誠実な対話によって、世界に平和の大道を開こうと必死であった。
移動中であれ、行事の合間であれ、平和のため、広布のために、今、何をなすべきか、次にどう手を打つか、頭脳をフル回転させて考えに考え抜いてきた。
どうか、皆さま一人ひとりが、その責任感と真剣さを受け継いでいただきたい。懸命に戦い、苦労し抜いて、全員が、広布の責任者としての自覚と力を持っていただきたい。そうすれば、学会は、永遠に勝利していける。
そして「今」こそ、そうした本物の人材を、後継の青年を、本格的に育てて
いくときなのである。今、それをしなければ、未来はない。
○正義のための勇気こそ大善（だいぜん）
一、ボーブナルグの箴言（しんげん）を紹介したい。
「勇気は逆境における光である」（竹田篤司訳、『世界人生論全集９』所収「省察と箴言」筑摩書房）
大変な困難のときほど、「勇気」が光となる。希望を失いそうになったときこそ、「勇気」が行く手を照らす。人生で最も大切なものは、勇気である。
御書の根幹も、勇気である。大聖人は「日蓮が弟子等は臆病にては叶うべからず」（御書１２８２頁）と仰せである。
戸田先生は、よく言っておられた。
「私たち凡夫が慈悲を出そうとしても、なかなか出るものではない。その慈悲に代わるのは、勇気である」
正義のための勇気こそ、大善に通ずる。その勇気を持つ人が、最も偉い人である。
権力者が偉いのか。テレビに出でいる有名人だから偉いのか。決してそうではない。文化のため、平和のため、人々を救うために、勇気をもって行動する人が偉い。
ゆえに、広布に生き抜く学会員が、最も大切な存在なのである。皆さまの正義の戦いを、大聖人が讃嘆しておられる。世界の良識が、その正しさを証明し
ている。
一、さらにボーブナルグは言う。
「呑気（のんき）は精神の眠りである」（大塚幸男訳『情熱の倫理』養徳社。現代表記に改めた）
広宣流布へ同志が真剣に戦っているときに、呑気に構えて、何もしようとしない。もしも、そういう幹部がいれば、叱り飛ばしていい。居眠りするな、目
を覚ませ、と。
幹部は、どこまでも一兵卒であるべきだ。自分は特別だなどと勘違いして、苦労を避けていては、懸命に戦ってくださっている同志に申し訳ない。
《フランスの思想家》 偉大な人は嫉妬される
―― 正義ゆえに「猶多怨嫉（ゆたおんしつ）」の大難が
○歴史の鉄則
一、もう少し、ボーブナルグの言葉を紹介したい。学会の将来を担う若い人たちのために。
「大きな徳は大きな嫉妬をあおり立てる」（前掲大塚訳）。これも有名な言葉である。
偉大な人は、必ず嫉妬の非難を受ける。歴史の鉄則といってもいい。
法華経には、 「猶多怨嫉。況滅度後（ゆたおんしつ きょうめつどご＝仏の在世でさえ怨嫉が多い。いわんや仏の滅後に、さらに怨嫉が多いのは当然である）」とある。
大聖人は、この経文を引かれ、こう仰せである。
「末法流布の時・生を此の土に受け此の経を信ぜん人は如来の在世より猶多怨嫉の難甚（はなはだ）しかるべしと見えて候なり」（御書５０１頁）と。
妙法を正しく実践する人は、必ず「怨嫉」される。「悪口罵詈（あっくめり）」される。それが仏法の方程式である。
ゆえに、わが学会が、「猶多怨嫉」「悪口罵署」の大難を受けてきたことは、
法華経の通り、御書の通りの「広宣流布の正統の道」を、まっすぐに進んでい
る証明であることを知っていただきたい（大拍手）。
○「羨望（せんぼう）は証拠もなしに告発する」
一、さらに、ボーブナルグは言う。
「羨望は証拠もなしに告発し審判する」「羨望が語る言葉は、悪意と誇張と中傷にみちている」（前掲竹田訳）
その通りである。
思えば、私が、事実無根の選挙違反の冤罪（えんざい）により、大阪の地で逮捕されたのは、昭和３２年（１９５７年）の７月３日であった。
「大阪事件」の勃発（ぼっぱつ）である。その本質は、正義のために立ち上がった民衆の連帯を妬み、破壊しようとする権力の陰険な謀略であった。
弾圧の手口は、あまりにも卑劣であった。捕らわれの身の私に対し、「戸田会長を逮捕する」と恫喝（どうかつ）し、容疑を認めさせようとした者もいたのである。
「ただ戸田先生をお守りしたい」 ―― それが私の祈りであった。
大阪事件の裁判は４年半に及び、公判は８４回を数えた。この間、関西の同志には、本当に支えていただいたことを私は忘れない。
そして、昭和３７年（１９６２年）１月２５日、大阪地方裁判所で判決が下された。当然のことだが、「無罪」であった。
すでに戸田先生は逝去されていたが、「大作、勝ったな」と喜んでくださっている恩師のお顔が目に浮かんだ。
○嫉妬の迫害に打ち勝て！
一、ボーブナルグは言う。
「嵐の日々のあとでふたたび現れる太陽も、永い妬（ねた）ましがる迫害に勝つ徳ほどには輝かしくない」（前掲大塚訳）
これまで、学会に対しても、私に対しても、幾多の事実無根のデマや中傷が浴びせられてきた。
すべては、恩知らずの反逆者たちの醜い嫉妬によるものであったことは、皆さんがご承知の通りである。
ボーブナルグは「うそつきは下劣でうぬぼれがつよい」（前掲竹田訳）とも言っているが、まったく同感である。
彼らの嘘八百は、裁判でことごとく暴かれた。学会の正義は、完璧に立証された。私たちは、すべてに勝った。
「創価の正義の太陽」は赫々（かっかく）と輝いている（大拍手）。
○「私はやった」と歴史を残せ
一、もうすぐ春３月。
最後にもう一つ、ボーブナルグの言葉を若き皆さんに贈りたい。
「春のはじめは、青年の徳の芽生えほど美しくない」（内藤濯訳『省察と箴言』創元社）
春は美しい。しかし、伸びゆく青春の生命は、さらに美しい。
青年には、限りない未来がある。目標に向かって努力し、自らを高めていくならば、不可能なことなど一つもない。何だってできる。万人がうらやむ存在。
それが青年である。
私の青春時代は、戦争一色だった。若者は、否応なく、国家のために命を捧げたのである。
今、若き皆さんは、広宣流布という人生最極（さいごく）の目的のために、思う存分、働くことができるのである。これ以上の素晴らしい使命の青春はない。
だからこそ、全員が「私は頑張った！」「私はやり切った！」と言える何かを残してほしい。
青年時代は、あっという間に過ぎていく。無為に過ごして、悔いを残しては、あまりにもったいない。
戸田先生は、心の底から青年を大事にされ、厳しく訓練された。青年にすべてを託していくしかなかったからである。
私も、今、戸田先生と同じ心で、青年を愛し、青年に期待し、青年を鍛え、青年に一切を捧げていく決心でいる。
ともあれ、広宣流布に戦う青春ほど美しいものはない！ 若き皆さんの未来に栄冠あれ！ ―― こう申し上げて、きょうのスピーチを終わります。
長時間、ありがとう！
それぞれの立場で、がっちりと学会を守ってください。同志を守ってください。皆さん、ありがとう！
お体を大事に。風邪などひかないように。
また、お会いしましょう！（大拍手）
（２００５・２・２３）
