皆の花 朝顔を讃う

今朝も
青い朝顔
紅い朝顔
咲いている。
朝顔のように
朝になると
明るい笑顔
朗らかな清々しい
笑顔でいたいものだ。

青い朝顔は王子さま!
紅い朝顔は女王さま!
朝顔は永遠に
幸せな王子であり
幸福な女王である。

朝顔という花の名前は
万葉集にも
詠われている。
いな万葉の人びとも
平安の人びとも
愛した花が
朝早くから咲き誇る
朝顔の花であった。

あの有名な紫式部
源氏物語』の一つの巻が
朝顔」と名づけられたことは
あまりにも有名である。

清少納言
枕草子』にも
「草の花」の代表として
朝顔」が挙げられていた。

どこかの奥様が
「あら きれい!」と
育赤の朝顔
指を差していた。

そこには
希望があった。
自然があった。
人間があった。
生命があった。
深い優しい交流があった。
何とも言えず
美しい平和の姿があった。

いつの時代でも
誰からも
朝顔は愛されてきた。
これほど
多くの庶民から
親しまれた花は少ない。

この朝顔
もともとは
熱帯地域で咲いた。
それが
世界の各国へ
広がっていったとされる。

日本には
中国から渡来したという
説が強い。
いつでも中国は
恩人の国だ。

桂冠詩人
朝顔を見ても
詩っている。
心ゆくまで
見つめている。
朝顔自体が
詩であるのだ。

ゲーテは謳った。
「我々を たえず
 結びつけるのは何か。
 愛である」と。

朝顔に対しても
人間の心は
愛をもって見つめる。
気高い人は
必ず何を見ても
自然にひきつけられ
詩になっていく。

著名な松尾芭蕉
一句を詠んだ。
「あさがほに
  我は食くふ(飯食う)
     おとこ哉」

これは
生活が乱れた弟子に
宛てた句である
と言われる。
すなわち
いつも師匠は
朝早く起きて
朝顔の花を眺めながら
きちんと朝ご飯を食べて
一日の戦いを始めていると。

規則正しい生活──
これが
朝顔のごとく
心に勝利の花を
咲かせていくリズムである。

おお 朝顔よ!
この世の病的な人びとに
澄みわたる美徳で
力強く清らかな
翼となって
飛び立つ力を
いつもいつも
贈ってやりたまえ!

小林一茶
「朝貌(朝顔)や
  人の貌(顔)には
   そつがある」
という微笑ましい句が
有名である。
この意義は
朝顔の顔は
すっきりとしているのに
人間の顔には「そつ」
つまり「手抜かり」が
あるということらしい。

旭日に光り輝く
朝顔のように
晴れ晴れとした如是相で
きょうも出発して
悔いなき一日一日を
生ききることだ。

また来る年も来る年も
朝顔の王子さま
朝顔の女王さまに
詩人は会いたい!
いつもいつも会いたい!

朝顔の王子さま
朝顔の女王さまを
作り生んだ
素晴らしき笑顔の
同志の皆さま方に
私は真心なる
感謝を贈りたい。
本当にありがとう!

               二〇〇七年八月二十七日  世界桂冠詩人

              ※ゲーテの言葉は高橋健二