詩人の友 芒を讃う


芒が
手招きをしている。
神々しい
旭日の朝も
煌々(きらきら)とした
黄金の夕日の時も
幸福が待っているよ!
勝利が待っているよ! と。

芒に対して
万歳を叫ぶ人びとはいない。
か細い命で
心から勇敢に
皆へ幸福を捧げようとする
尊き芒の精神を
知らないからだ。

 

詩人たちは 皆
君たちの仲間だ。
君たちに
拍手喝采を贈っている。

君たちがいなければ
秋は寂しい。
あの地この地の風景も
変わってしまう。

芒には
詩情があるからだ。
芒は
友人であるからだ。

朝も溌刺と
「皆さん
 おいで おいで!」
昼も元気よく
「偉大な仕事をしている皆様
 いらっしゃい
 いらっしゃい!」
夕方も優しく
「大勝利の一日をご苦労様!
 ゆっくりお休みください。
 私が見守っています」と
風に吹かれながら
ささやいている。
大勢で祈っている。

芒にも命がある。
芒も生命だ。
人間と同じように
賢い動作をしている。

芒を
馬鹿にするな!
芒を見て笑うな!
芒だって
偉大な人間のため
心を慰めているからだ。

芒は
一本では寂しい。
必ず生き生きと
多数の家族をもって
助け合いながら
悠々と生き抜いている。
咲き薫っている。

芒は
親子二人きりではない。
大勢の子どもがいる。
大勢の親戚がいる。
大勢の友だちと
笑い 語りあう姿は
弱々しいようであっても
芯は
いかなる大木よりも
強いのだ。

しなやかに
揺れ動く芒よ!
芒は
見ている人間に
気高い人間になるよう
語りかける。

慈悲深く
善良であってくれ!
有益なもの
正しいものを
倦むことなく創りゆけ!と
手招きして
人間を激励しているようだ。

花もまた
綺麗である
人々の食卓に並ぶ
果実も綺麗である

しかし細くとも
いかなる剣よりも
さらに光り輝いて
楽しく悠然として
生き抜く
芒の歌を歌い給え!

君たちには
皆に教えるものが
あるはずだ。
この新鮮な何かの教訓を
手招きして
伝えようとしている意義を
知ってくれ給え!

芒には歌がある。
芒には詩がある。
芒には
ユーモアがある。

いついつも黙して
孤独のように
見えるけれども
いかなる嵐にも負けぬ!
この誓いを
固めている芒を
愛してもらいたい。

歓喜の人よ!
苦悩の人よ!
絶対に倒れぬ
ありとあらゆる
嵐に屈せぬ
この私を見つめながら
何かを
思い出してもらいたい。

揺れる芒を
満月も見ていた。
無数の星も見ていた。
太陽も 風も
そして人も見ていた。
芒は いついつも
凛として生き抜いている
勝利者だ。

芒たちが
誇り高く
勝利 勝利の
万歳をあげゆく姿を
皆も賞讃した。

芒の語源は
一説に
「すくすく立つ木」
との意味に由来する。

御聖訓には
最も厳粛な法華経
師弟の付嘱の儀式を
「四百万億那由佗の世界に
 むさしの(武蔵野)のすすき(芒)のごとく
 富士山の木のごとく・
 ぞくぞく(簇簇)と」
と表現なされている。

凛々しくも
謙虚に
頭(こうべ)を垂れた
芒よ!

芒の手招きは
幸運の手招きであろう。
短気になるな!
何かの役を
君もし給え!と。

雄々しく
生き抜く
雄々しく
咲き抜いていく
芒よ 頑張れ!

 二〇〇七年八月二十七日

     世界桂冠詩人