代表幹部研修会(上)

打って出よ! 青年ならば
エルバラダイ事務局長
 努力を! 忍耐を! 目的を遂げるまで
戸田先生 師子となり千万の敵に勝ちゆけ

 代表幹部研修会が8月26日、長野研修道場で行われ、池田名誉会長がスピーチした。

    ◇
 一、きょうの研修会には青年部、そして未来部の担当者の代表も参加されている。
 わが師・戸田先生は、よく言われた。
 「人生、何がうれしいか。道を求めている純粋な青年たちに会うことが一番、うれしい」
 私も、まったく同じ心情である。
 皆、忙しい中、よく集まってくれた。
 本当に、ご苦労さま!(大拍手)
 世界の一流の指導者は、必ず青年に焦点を当てている。
 いな、後継の青年を育てることこそが、指導者の指導者たる証しにほかならない。
 青年を大切にできない心は、それ自体が、権力の魔性に狂わされているのだ。
 私がともに対談集を発刊した、アメリカを代表する経済学者のガルブレイス博士も、しみじみと述懐されていた。
 「若い世代が育っていくことが、世界の希望にほかなりません」
 博士とは、教育の未来をめぐっても語り合った。博士が、創立されたばかりのアメリ創価大学に対し、心からの期待を寄せてくださったことも忘れられない。
 また、昨年11月に、多くの青年たちとともに聖教新聞社にお迎えした、国際原子力機関エルバラダイ事務局長は、祖国エジプトでの講演で語っておられた。
 「世界に打って出るためにも、青年は、真剣な努力と誠実さが肝要である。
 目的に達するまで忍耐せよ! 青年が、我々の達したものよりも、さらに偉大なものを実現することを期待している」
 青年の舞台は世界だ。
 努力と誠実、そして忍耐こそが、飛躍への力である。

戸田先生 子供は未来の宝だ
未来部担当の皆様に感謝
  人材こそ永遠の前進の要

 一、創価学会は、偉大な信念の大教育者であられた、牧口初代会長、戸田第2代会長のもと、「創価教育学会」として誕生した。
人をつくり、青年を育てる──。
 学会の運動は、常に、この原点から出発し、この原点に帰着する。
 それゆえに、青年部、そして未来部こそが、学会の希望であり、眼目であり、魂なのだ。
 戸田先生は、学会の将来、そして人類の前途を担いゆく子どもたちについて、こう語っておられた。
 「子どもは未来の宝だ。未来からの使者だと思って大事にしなさい」
 一人一人が、無限の可能性を秘めた大事な存在である。未来を開きゆく宝の人材群である。
 「未来部」という名称には、重要な意義が込められていることを知っていただきたい。
 また、先生はこう述べておられた。
 「子どもは、いつも理想をもって引っ張っていってあげなさい」
 子どもたちは純粋だ。偉大なる理想や夢があれば、くんぐん伸びていける。成長していける。
 「子どもといっても、一人前として尊重しなくてはいけない。
 たとえ今は何も分からなくとも、後であの会合に参加したと思い出すものだ。目で見て、耳で聞いて、体で覚えることが大切なのだ」
 これも先生の指導である。

 深き祈りで!
 一、後継の人材を育てていく。それは、いかなる団体においても、極めて重要な課題である。
 組織がどんなに大きく発展しても、新しい人材が育たなければ永遠性はない。いくら立派な建物があっても、人材が続かなければ、あっという間に衰退してしまうだろう。
 学会においても、もう一度、本気になって人材を見つけ、訓練し、育てていかねばならない。
 また家庭の中でも、子どもたちに、信心の偉大さを伝えていくことが大切だ。
 「必ず、わが子を立派な信心の後継者に育てていく」──この決意で、子どもたちに接していくことだ。真剣に題目をあげていくことだ。
 その上で、子どもが、なかなか学会活動に取り組めない場合があるかもしれない。さまざま事情や状況もあるだろう。
 しかし、親の祈り、真剣な行動は、間違いなく子どもたちに通じていく。必ず立ち上がる時が来る。
 信心を伝え、教えていくのは、何より子どもの幸福のためである。そして一家一族の永遠の繁栄のためである。
 このことを忘れないでいただきたい。
 一、日蓮大聖人は「松野殿御消息」で仰せである。
 「昔し徳勝童子と申せしをさな(幼)き者は土の餅を釈迦仏に供養し奉りて阿育大王と生れて閻浮提の主と成りて結句は仏になる」(御書1380ページ)
 釈尊と出会いを結び、真心の供養(土の餅)を捧げた少年・徳勝童子が、その功徳によって、世界史に輝くアショカ大王となった──。仏典に記された、有名な説話である。
 大聖人は門下への御手紙の中で、この説話についてたびたび言及されている。〈千日尼御前御返事、南条殿御返事など〉
 この説話自体は、仏法への供養の功徳の大きさを教えたものである。
 その上で私は、仏法に縁した少年が、未来において偉大な指導者となったことに、深い意義を感じるのである。
 妙法の大哲理に触れ、偉大なる福運を積みゆく未来部の友もまた、人間主義の大指導者と育ちゆく尊き存在である。
 未来部の担当者の方々は、私の心を心として、「未来の宝」の育成のため、先頭に立って努力を重ねてくださっている。
 この席をお借りして、その懸命なる奮闘に、心から感謝申し上げたい(大拍手)。

可能性を開け
 一、創価の人間育成の壮大な展開を、世界の教育・学術界の知性の方々も、深い関心と共感をもって見つめてくださっている。
 私が創立した「ボストン21世紀センター」では、新たな学術書『教育の道徳的ビジョン──実践の哲学』を編集した。同書は本年、アメリカを代表する教育出版機関である、コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ出版局から発刊された。
 同センターの研究書は、これまで累計で、アメリカをはじめ世界の大学の400を超える講座で、教材として活用されてきた。
 「教育哲学」をテーマにした今回の出版も、すでにアメリカの教育界をはじめ多くの識者から、高い評価の声が寄せられている。
 ジョン・デューイ協会の会長である、ジム・ガリソン博士は、私が同書に寄稿した序文にも論及されながら、こう述べておられた。
 「池田SGI(創価学会インタナショナル)会長は、"人間とは、文化や人種の差異を克服していける無限の可能性を秘めた存在である"と明言されています。
 そしてさらに、"教育は、すべての人が備えている根源的な力を発揮するためのものである"と明示しております。私は、この思想にこそ、現代の教育への力強い回答が示されていると思います」
 深いご理解に、心から感謝申し上げたい。
 一、ともあれ、人間一人一人の生命が、どれほど尊い智慧と力を持っていることか。
 それを生き生きと、伸び伸びと、思う存分に発揮できるようにする。
 ここに、教育のもつ重大な使命があるといってよい。
 さらに、ガリソン博士はSGIの平和・教育運動について、こう評価してくださっている。
 「創価の教育は、人間は、社会的な正義と平和に献身すべき存在であると教えています。そして、個人的、社会的な変革を目指して生きることを教えています。
 その思想は、人間的な視野に立った哲学と宗教──特に日蓮仏法に源をもっています。そして、世界のSGIは、人道的で地球的な課題に挑戦し、誇りも高く進んでおられるのです」
 (南アフリカマンデラ前大統領は、池田名誉会長の教育貢献をこう讃えていた。
 「(池田博士は)すでに世界的なスケールで、人権と教育の促進における非凡な貢献を成し遂げられております」「池田博士が、この20年に成し遂げられた業績に肩を並べ得る人物は、歴史上、ごくわずかでありましょう」
 パラグアイの国立イタフア大学のゴンサレス総長は、こう述べている。
 「教育とは、『一人の人間の変革』です。人間の価値観を高めることこそ真の教育なのです」
 「池田博士が創立されたさまざまな機関を見せていただきましたが、まさに池田博士は、その教育を実践されている人物だと深く感動しました」(「パンプキン」2005年8月号)

 幸福のために 
 一、教育研究で著名な米トレド大学のデール・スナウアート博士も、「創価教育」の実践を高く評価してくださっている。
 博士は、こう語っておられる。
 「すべての人間は、幸福を求めて生きる存在です。充実と繁栄を求めているのです。
 しかし現在の教育は、"幸福のための教育"という視点を、まったく忘れてしまっています。
 その意味で、"他人の不幸の上に、自らの幸福を築いてはならない"とのSGI会長の教育のメッセージは、大変に深い内容をもっています。
 すなわち、自身の幸福とは、他人の幸福と孤立して達成できるものではない、ということを教えられているのです。
 こうした思想をもってすれば、完全なる教育を築くことができるでしょう。そして、創価教育においては、それが実際に行われているのです」
 ともあれ、一人一人を大切にしゆく、一日また一日の学会活動は、究極の「人間教育運動」でもある。
 人々に希望を送り、社会に平和を創造する──これほどの大聖業はない。どうか、誇りも高く前進をしていただきたい(大拍手)。

ドイツの文豪ヘッセ 苦悩が人を強く鍛える

 勇気を出せ! 
 一、戸田先生は叫ばれた。
 「青年部の諸君は、一人一人が師子となって、千万の敵と戦い、勝利する者である。これが本陣の青年である。青年が歴史を変えよ!」
 「青年の時代だ。青年に一切を託す。
 青年は死にものぐるいになって、勝ち抜く力をつくりあげよ!」
 当時、私は青年部だった。すべて、先生のおっしゃる通りに戦った。
 口先の決意や言葉だけではない。実践したのである。行動し、結果を出したのである。
 また、先生はこう語っておられた。
 「青年時代の歴史が最も大切なのだ。青年は、本部の源流に直結していかねば、大いなる成長はない」
 この「学会本部の源流に直結」とは、「広宣流布の師匠に直結」ということだ。
 師匠を求め、師匠の指導を命に刻んで戦う。そこにこそ、本当の信心の成長があるのだ。
 また、先生は戒(いまし)めておられた。
 「悪人は叩き出すのだ! そうでなければ、学会が蝕まれてしまう。信心とは、邪悪への攻撃精神である」
 学会を自身の欲望や野心のために利用しようとする人間は、絶対に許してはならない。青年が、先頭に立って、こうした輩とは戦え!──これが先生の厳命であった。
 ドイツの文豪ヘルマン・ヘッセの言葉を、皆様に贈りたい。
 「悩みから力がわき、健康が生まれる」「悩みは、(人を=編集部注)ねばり強くし、鍛える」(高橋健二訳『若き人々へ』人文書院
 悩んでこそ、本当の力かつく。押しつぶされそうな苦悩を乗り越えてこそ、人は本当に偉大になれるのだ。
 ドイツの思想家フィヒテは叫んだ。
 「然し勇気を出せ!勇気さえ残っているならば、ほかの何物が失せても構わぬ」(宮崎洋三訳『人間の使命』岩波文庫、現代表記に改めた)
 勇気だ。勇気で道を開くのだ。青年ならば!
 若き諸君が雄々しく立ち上がり、新たな大闘争の火ぶたを切りゆくことを、私は心から念願している(大拍手)。    ((下)に続く)