ブラジル・インガ大学「名誉教授称号」授与式

池田博士は人類の真の師匠 平和を叫び智慧を開く人


 ■オリベイラ理事長の授賞の辞  
 心より尊敬申し上げます池田大作博士!
 国境を超え、より正しく、友愛に満ちた平和な世界のために、池田大作先生がブラジルSGI(創価学会インタナショナル)によって推進してこられた、傑出した業績を讃え、ここに顕彰できますことは、望外な喜びであり、栄誉なことであります。
 博士は、「真の師匠」として、崇高なる人間性の模範であることは疑いの余地がありません。 師匠とは、時代とともに歩みを運び、平和を呼びかけ、人を結び、智慧を開かしめる人を指すからです。
 師匠とは、手を差し伸べ、語りかけ、生命の旅へと歩みを運ばれる人です。
 知識を与えるだけの人を師匠と呼ぶのではなく、弟子の知識を芽生えさせる人を師匠と呼ぶのであります。
 鳴呼、池田先生の──ただ「一人」の生命の尊厳と人権のため、教育の振興と文化の興隆のため、平和への幾たびもの"戦い"──。
 貴方の天命は、何と多くの人々の心を呼び覚ましてこられたことでしょうか。
 貴方の道のりは、どれほど壮絶なものでありましょうか。
 しかし、それを耐えしのんでこられた貴方の姿は、何と雄大で尊貴なことでしょう。
 すべての人々の眼を見つめ、幸福にしゆく偉大なる池田先生の世界は、より歓喜に満ちていくことでしょう。
 貴方の幸福は広がり続けます。なぜなら常に皆に良い結果を分け与えることこそが、貴方の人生であるから──。
 池田先生は偉大で高貴な方です。なぜなら貴方の峻厳なる戦いは、日々、私たちの心を磨いてくださるからです。「一人」の人間を徹して励ますことが、生命の偉大な教訓であり、そのことを学ぶという大いなる喜びを、私たち人類に与えてくださるからです。
 インガ大学のすべての人の名において、池田博士に最高の形で、この栄誉をお受けしていただきたく存じます。貴方はそれにふさわしい方であります。
 ここに重ねて深い敬意と敬愛と共感の意を表すとともに、何よりも池田博士の荘厳なる行動への私たちの永遠の感謝の意を表明いたします。
      (要旨)
         

■SGI会長の謝辞  
 一、ブラジル文学アカデミーのアシス初代総裁は高らかに謳いました。
 「真の友情にこそ、幸福がある」と。
 いま、私は、信義に厚き貴国の方々と、真の友情を結び得た幸福を、噛みしめております。
 世界が目を見張る貴国の大発展を牽引される、各界の指導者の先生方。わが創価大学へ、本当にようこそ、お越しくださいました。
 うれしいことに、ブラジルと日本を黄金の橋で結ばれるパラナ州の経済友好使節団の皆様方との交流の歴史も、今回で35回を刻むとうかがいました。
 この両国の貴き橋渡しを「いつもいつも変わらぬ友情の心で果たしてくださっているのが、私の最大に尊敬申し上げる、アントニオ・ウエノ先生(パラナ日伯商工会議所会頭)であられます。
 私は、何よりもまず、ウエノ先生のご厚情に、あらためて心から御礼を申し上げたいのであります。
 決然と昇りゆく旭日のごとく、「生命の世紀」を照らしゆかれる最先端の英知の殿堂より、意義深き第1号の名誉教授の称号を賜りましたことは、私の最高無上の光栄でございます。
 まことにまことに、ありがとうございました。

新たな100年を『教育の世紀』に
インガ大学の理事長
 「すべての学生に満足と自身を送りたい 知性の光が新しい人生を誕生させる!」

 人間に奉仕せよ 
 一、傑出した大医学者であり、大教育者であられるヒカルド・オリベイラ理事長のリーダーシップのもと、貴インガ大学は、21世紀の医療を担い立つ逸材を育成されている、人類の希望の学府であります。
 貴校が掲げておられる「ウニンガ(インガ大学)の使命」には、明快に謳い上げられております。
 すなわち、「社会的人間としての『理性』と『行動』に基づき、現在の視点から『医療』と『教育』の未来を展望し、描いていく」と。
 この貴大学の理念に、あの西洋医学の父・ヒポクラテスが行った宣誓にも相通ずる、真撃な責任感と高邁な倫理性が凝結していると感ずるのは、私一人ではないでありましょう。
 思えば、20世紀最大の歴史学者トインビー博士は、35年前に開始した、私との対談のなかで、医師によって行われてきた「ヒポクラテスの宣誓」を、すべての知性が行うべきであると強調されておりました。
 博士は、「いかなる職業であれ、新たに知的職業に就く者はすべて、自分の専門的な知識や技能を、人間同胞の搾取に向けることなく、彼らへの奉仕に用いる旨を誓うべきでしょう」と力説してやまなかったのであります。
 私は、貴校にみなぎる「人材育成」の確固たる哲学と大情熱を、わが生命に刻みつけながら、誉れあるウニンガの一員とさせていただきます。
 きょうは、懐かしい、大切なブラジルSGIの同志も出席してくださっており、この栄誉を共に分かち合わせていただきたいと思っております。
 一、私の大好きな、医師でもあった貴国の大作家ギマランエス・ローザの言葉に、こうあります。
 「勇気とは、心をはずませるものなのである。勇気がなければ心臓は正しく鼓動しない」(中川敏訳「大いなる奥地」、『筑摩世界文学大系83』所収、筑摩書房
 そして、「勇気が勇気を育てる」と(同)。
 さらにまた、貴国の独立の大英雄で、歯科医療に携わる先人でもあったティラデンテスの信念の叫びには、「自分自身の苦悩を、もっと大きな民衆の苦悩と重ね合わせたとき、解放という考えが私の心を捉えたのです」とありました(シッコ・アレンカール、ルシア・カルピ、マルクス・ヴェニシオ・リベイロ著『ブラジルの歴史』東明彦他訳、明石書店)。
 私が交友を結んできた貴国の知性の方々には、共通して、こうした民衆への同苦の精神と、勇敢なる行動の魂が脈打っております。
 10年ほど前、貴国で社会貢献する私の友人たちが、事実無根の記事で中傷されたことがあります。
 この時、一人の教授が、即座に抗議の声を上げ、正しき友を厳然と擁護してくださいました。それは、まことに電光石火の行動でありました。
 この信念の大学者の叱咤を受けて、そのメディアも、直ちに真実を確認し、謝罪と訂正の記事を掲載したのであります。
 正義の言論闘争というものは、かくあるものかと、私は深く感嘆いたしました。その方こそ、本日、お迎え申し上げた、フランシスコ・タン教授であられるのであります(大拍手)。

 パラナ州は「世界市民」のモデル 
 一、現在、私は、貴国を代表する世界的な天文学者のモウラン博士と、対談を連載しております。
 そのなかで私たちは、ブラジルの天地が、地球という惑星にとって、どれほど豊富な生命の多様性の宝庫であるか。そしてまた、人類文明の未来にとって、どれほど尊貴な共生の智慧の宝庫であるかを、縦横に語り合ってきました。
 この貴国との深き縁を結び得たことは、日本にとって、かけがえのない宝であります。
 なかんずく、貴パラナ州は、貴国の繁栄と共生の先進地であるとともに、15万人を数える日系人の方々が活躍される、日伯友好の象徴ともいうべき大地であります。
 これほどの友好と信頼を築かれるまで、日系移民の先人の方々に、筆舌に尽くし難いご苦労があったことは、申し上げるまでもありません。
 その気高き開拓と貢献の足跡こそ、島国根性の日本に、開かれた世界市民の心、人類融合の精神を示しゆく、最も貴重なモデルであると、私は思ってまいりました。
 明年、貴国では、「日本移民100周年」の大佳節を、晴れ晴れと飾りゆかれます。
 私自身、大恩ある貴国への恩返しのために、人類史にとっても重要な意義を持つ、この100周年を、最大に祝福申し上げたいのであります。
 一、貴大学のオリベイラ理事長は、誇り高く宣言されました。
 「インガ大学で学び、自身の歴史を方向づける学生一人ひとりに、『すべてに価値があった』との満足と自信を贈りたい。そこにこそ、まさしく汝自身の地平線を『知性の光』で輝かせながら、新しい人生を誕生させることができるからだ」
 きょうより私は、尊敬する皆様方と深く心を通わせ、新たな100年へ、両国そして世界の青年のために、「生命の世紀」「教育の世紀」の希望の地平線を一段と開いてまいる決心であります。
 わが生命の母校となったインガ大学の万代のご発展、そして敬愛してやまぬパラナ州の万年のご隆盛を心より祈りつつ、私の謝辞といたします。
 ムイト・オブリガード! まことにありがとうございました(大拍手)。