F1ブラジル ライコネン、7ポイント差をひっくり返し初タイトル獲得。

 F1最終戦ブラジルGPは21日、アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェを舞台に71周の決勝レースが行われ、フェラーリキミ・ライコネンが僚友フェリペ・マッサフェラーリ)を従えて優勝。ライバル、マクラーレンフェルナンド・アロンソが3位、ルイス・ハミルトンも7位に終わったため、ライコネンが奇跡の逆転劇で初のドライバーズチャンピオンに輝いた。

 今シーズンの戦いも遂に最後の1戦となったF1サーカス。昨日から天候に恵まれているインテルラゴスの天候は決勝日も快晴、そして気温36℃、路面温度は62℃という灼熱の厳しいコンディションでの戦いとなった。
 レースがスタートし、フェリペ・マッサを先頭に1コーナーに飛び込む中、3、4番手のキミ・ライコネンフェルナンド・アロンソがフロントロウスタートのルイス・ハミルトンを1コーナーまでに交わし、それぞれポジションをアップ。一方ハミルトンは4番手に順位を落とすと、焦りが出たのか4コーナーでまさかのオーバーラン! これにより更に順位を8番手にまで下げてしまい、厳しい出足を強いられてしまう。その後、最終コーナーでジャンカルロ・フィジケラがコースオフ。フィジケラはすぐにコースに復帰するも、山本左近のライン上に割り込んだことで両者避けきれずに激しく接触。これにより左近はマシンのフロントが大破してしまい、フィジケラもリヤ部分に大きなダメージを受けて緊急ピットインするも結局リタイア。山本左近不本意な形でシーズンを終えることになってしまった。

 オープニングラップを終えてトップ8はマッサ、ライコネンアロンソマーク・ウェーバーロバート・クビカニック・ハイドフェルド、ハミルトン、ヤルノ・トゥルーリというオーダー。
 序盤はフェラーリ勢が1分13〜14秒台のファステストラップを連発していき、3番手アロンソとの差を少しづつ引き離していくが、7周目に入るとハミルトンに再びアクシデントが襲い掛かる! 明らかにトラブルを抱えたハミルトンはスローダウンを喫し、一気に18番手まで順位を落としまい、有利にいたはずのタイトル争いで一層厳しい立場に追い込まれる。一方フェラーリの2台は更にペースアップを見せ、13周目までにアロンソとの差を10秒に拡げ、フェラーリが早くも独走状態を築き始めていった。


 19周目になると4番手を走るロバート・クビカが上位陣の中で最初に1回目のピットイン。他の主な上位陣の中では20周目にマッサ、その翌周にライコネン、22周目にアロンソトゥルーリ、23周目に10番手にまで順位を挽回したハミルトンが1回目のピットインを敢行。するとハミルトンは5.8秒と素早いピットストップを行うとともにタイヤをスーパーソフトに履き替え、挽回を懸けてコースに復帰していった。31周目に入るとデビュー戦ながら力強い走りで9番手にまで順位を上げてきた中嶋一貴が1回目のピットイン。だが、一貴はここでピットイン時にタイヤをロックさせるミスを犯し、停止位置でストップしきれずピットクルーを跳ねてしまった。

 コース上ではその後レースも落ち着きを見せ始めていたが、34周目に入るとクビカが1コーナーでアロンソオーバーテイクし、彼のポジションを落とすことに。これでタイトルは少しずつライコネンに傾きかけ、レースもアイスマンに有利な展開となっていく。全車が1回目のピットインを終えた34周目に入っての順位は、マッサ、ライコネン、クビカ、アロンソトゥルーリハイドフェルドロズベルグ、デイビッド・クルサード、ハミルトンいうオーダー。マッサとライコネンとの差は2.5秒、トップと3番手クビカとの差は23.0秒とフェラーリが相変わらずのペースでレースをコントロールしていった。

 50周目に入るとマッサが2回目のピットイン。これによりライコネンがラップリーダーとなり、その間ライコネンは1分12秒台を連発しながらペースを上げていく。そして52周目になるとアロンソも2回目のピットイン。その翌周にライコネンもピットインを行い、6.4秒と素早い作業でコースに戻っていくと、ファンの視線はフェラーリ2台の位置関係に注がれることに。ここでライコネンは予想通りマッサの前、トップでレースに復帰してタイトル獲得への条件をすべて満たした。

 ライコネンはその後、ファステストラップ(1分12秒445/66周目)をマークするなど、最後まで完璧な走りを披露して、ついにトップのまま71周を走破。多くのファンに見守られながら栄光のトップチェッカーを受けた! ライコネンはこれで今季6勝目を手にし、逆転優勝で悲願の初タイトルを獲得、またフェラーリもワンツーフィニッシュという最高の形で今シーズンを締めくくるとととなった。3位アロンソ、以下4位ロズベルグ、5位クビカ、6位ハイドフェルド、7位ハミルトン、8位トゥルーリ、9位クルサード、10位中嶋一貴というトップ10だった。
 マクラーレンアロンソが3位、ハミルトンも7位にまで挽回したもののポイントは両者109点。1点差でライコネンにタイトルを明け渡してしまい、結局マクラーレンは今季はノータイトルに終わってしまった。また中嶋一貴はデビュー戦を10位でフィニッシュ。日本人ドライバーの中でもトップに輝く走りを見せてくれた。

 熾烈なチャンピオンシップ争いが展開された今シーズンのF1。ハミルトンのルーキーイヤーでの戴冠は果たされず、ライコネンの劇的な逆転勝利で幕を閉じた。果たして来年はどんな戦いが待っているのだろうか? 来季のF1サーカスは3月16日にメルボルンでスタートする。
[オートスポーツWEB 2007年10月22日]


中継を見始めたときはもう残りわずかの時間であったが、ライコネンの勇姿に感動を覚えずにはいれなかった。

最後まで“勝つ”と執念を持った者にのみ勝利の栄光は輝く。