モンゴル国立教育大学名誉教授称号授与式


【池田SGI会長の謝辞】
 一、心より尊敬申し上げるジャダンバー学長、プレブオチル副学長、アルタンザヤ国際部長。
 「教育の世紀」を開きゆかれる「青年の大国」にして「平和の先進国」である貴・モンゴル国より、本当にようこそ、お越しくださいました。
 私が大切にしてきた、貴国の大文学者ダムディンスレン先生の崇高なる叫びがあります。
 それは──
 「教育とは山の頂上のごとし。
 山に登るには、体を鍛える。
 教育を会得するには、智慧を磨くことだ。
 頂上に達すれば、
 周りの素晴らしい景色がはっきり見える。
 教育を会得すれば、
 すべてのものの理が、よくわかる」と。
 この精神の山頂の高みを、世界に、人類に、晴れ晴れと示しゆく「人間教育」の最高峰こそ、貴・モンゴル国立教育大学なのであります。
 その貴大学から賜りました名誉博士号の称号ほど、尊く厳かな栄誉はございません。
 半世紀を超える貴大学の崇高な歴史と伝統を深く生命に刻みつつ、厳粛に拝受させていただきます。
 誠に誠に、ありがとうございました。

教育の発展は教育者から
学長 「学生は客体ではなく主体なり!教員と一体の成長が大学の財産」

 「最高の富」とは
 一、「教育の発展は、まず教育者から始めよ」
 これは、貴大学の偉大な創立者であられるマシライ先生の高邁なる信念であります。
 「一人」の真正の教育者を育て上げることが、どれほど大いなる価値を創造していくことか。
 これは、私たちの創価教育の創始者である先師・牧口常三郎先生、恩師・戸田城聖先生の展望でもありました。
 貴国の格言には、「弟子の姿によって師匠の人物を知る」とあります。
 その意味において、創価教育の77周年の佳節に、貴大学からの教育の栄冠を両先生に捧げさせていただけることは、私の無上の喜びなのであります。
 一、貴国の英知の箴言には、「最高の富は教育なり」とあります。
 この「最高の富」をつくり出されゆく貴大学が、四つの研究室、8人の教員、212人の学生から出発されたのは、1951年のことであります。
 そして貴大学は、この半世紀にわたって、6万人を優に超える教育貢献の逸材を、澎湃として育成してこられました。
 まさしく、モンゴルの教育者養成の母なる大地こそ、貴大学なのであります(大拍手)。
 なかんずく貴大学は、1990年の民主化後の貴国の「教育改革」を厳然と牽引してこられました。現在、中等教育機関の教員の80パーセント、さらに校長職の70パーセントを、貴大学出身の教育者が堂々と担い立っておられるとも伺っております。
 とりわけ、ジャダンバー学長の英邁なリーダーシップのもと、世界の幾多の大学と、教育・学術交流を一段と拡充してこられたことも、よく存じ上げております。
 貴大学、さらに貴国の学術・教育界を大発展に導かれゆく学長のご功績は、ユネスコユニセフからも絶讃されているところであります。
 学長は、ご自身の教育哲学を語られました。
 「学生は客体ではない。学生こそが主体なり」
 そして「学生と教員が対等となり、一体となって活動してこそ、ともに発展していける。学生と教員の成長こそが、わが大学の財産である」と、明快に宣言されているのであります。
 わが創価大学の精神もまた同じであると、私たちは心からの共鳴と賛同を表したいのであります(大拍手)。

モンゴルの作家
山の高みと人間は比ぶべくもなし されど人間の希望は大山より高し

 慈悲深くあれ!誠実であれ!
 一、ジャダンバー学長が掲げておられる素晴らしき「四つの原則」も、私は感銘深く伺いました。
 それは──
 第一に、慈悲深くあること。
 第二に、誠実であること。
 第三に、信念を持つこと。
 そして第四に、相手の話をよく聴くこと──であります。
 私も、まったく同じ信条で行動してまいりました。
 とくに、教育の世界において、青年を思い、学生を思う「慈悲」があれば、「智慧」は尽きることなくわいてくることを、私は実感してきた一人であります。
 一、貴大学の卒業生であられる、大作家ロドンギーン・トゥデブ先生が、世界最高峰のエベレストを制覇しゆく挑戦と勇気を謳い上げた人間讃歌が、私は大好きであります。
 「山の高みと人間とは比べようもない。
 しかし、人間の希望と夢は
 大山よりも大きく
 その高みよりも高い」と。
 人間教育とは、若き生命の宇宙大の可能性を引き出しながら、限りなき理想の高みへと、共々に登攀しゆく、最も勇敢にして、最も荘厳な偉業ではないでしょうか(大拍手)。

 「建国800周年」を国連が祝福
 一、貴国は、昨年、晴れ晴れと、建国800周年の佳節を迎えられました。
 これに先立つ第60回の国連総会(2005年11月)では、貴国の800周年を祝い、「自然と調和し、繊細な生態系のバランスを保つことを可能にする環境保全の価値観」「何千年もの間、幾多の思想の往来を成し遂げ、世界の諸文化の懸け橋を担ってきた史実」等と、貴国の素晴らしさを宣揚する宣言が決議されたことも、記憶に新しいところであります。
 さらに、ユーラシア大陸の心臓部に位置する貴国が、国連より「非核兵器国」と承認されていることも、世界平和への大いなる光明であります。
 わが創価大学の創立は、貴国と日本が国交樹立する前年の1971年でありました。
 その開学当初から、創価大学では、いち早く、モンゴル語の講座を開設し、貴国との学術・教育の交流を展望してきたのであります。現在も、モンゴル語を学ぶ英才たちが、弁論大会を毎年の恒例行事として活発に開催しております。
 バガバンディ前大統領、そして、エンフバヤル大統領を、この創価大学のキャンパスヘ、お迎えしたことも、誉れの歴史であります。

 モンゴルの名は「勇敢なる人」
 一、ともあれ、人類は、新たなる人間復興の「教育ルネサンス」を待望しております。
 私たちは、貴国の奥深き平和と共生の英知に真摯に学びながら、世界市民教育や環境教育、そして文明間の対話を、さらに力強く推進してまいりたい。
 貴国の「モンゴル」という名前には、「勇敢なる人」、さらにまた「永遠なる炎」という意義が込められていると学びました。
 本日より、私も、誇り高き貴大学の勇敢なる一員とさせていただき、尊敬するジャダンバー学長はじめ諸先生方と共に、「教育ルネサンス」へ、永遠なる炎を燃え上がらせていく決心であります。
 一、昨年、貴大学の「創立55周年」を記念して作成された歌は、誠に素晴らしい。
 その一節には、こう高らかに謳い上げられております。
 「世の子弟を覚醒へと導き
 燃える心を達観へと引き上げ
 比類なき運命を私に授けた
 比類なき大恩ある私の学舎よ」
 この比類なき「教育の大城」である、母校の永遠のご興隆を、心よりお祈り申し上げ、私の御礼のあいさつとさせていただきます。
 イフ・バヤルララー!(誠に、ありがとうございました)(大拍手)。