創価教育代表者会議 上

偉大なる 指導者出でよと祈りつつ
  我は決意の創大建てなむ
 開学の3年前に未来を見つめて


 一、ご苦労さま!
 創価教育の原点は、初代会長・牧口先生であり、第2代会長・戸田先生である。
 お二人は、命をかけて国家主義と戦い抜かれた。創価教育には、世界平和への悲願が込められている。
 「権力に民衆が苦しめられた歴史」を「民衆が王者となる新時代」へ大転換させる、創価教育の使命は、ますます重い。

 「不二」の君よ!
 一、創価大学関学のころ、私は、教員・職員・学生が一体となって、一人一人が「創立者」の自覚と誇りで、理想的な学府の建設をと訴えた。
 草創の創価学園では、「未来に羽ばたけ 君と僕」と歌に綴った。
 その「未来」は、今である。
 今再び「創立者」の自覚で立ち上がるのだ。
 人間の社会には、嫉妬もある。忘恩もある。私利私欲が渦巻いている。
 だからこそ、冷酷無残な現実を打ち破り、勇敢に信念を貫くのだ。人間を信じ抜く心を、身をもって教える。正義を満天下に打ち立てる──そこに教育者の魂があり、師弟の勝利が輝きわたるのだ。
 「君と僕」の心が不二ならば、何も恐れるものはない。
 創価教育さえ盤石ならば、平和の大道が絶えることはない。未来は明るい。
 今こそ、固く団結し、全生命を奮い立たせて、永遠の大発展の土台を、私とともに、完璧に築いていただきたい(大拍手)。
 一、きょうは、わが創価大学創価女子短期大学、アメリ創価大学、そして創価学園の代表の皆様方が集われた。
 じっくりと語り合うことができ、これほどうれしいことはない。
 「対話は、知的活動を活発にし、行動を起こす」
 ロシアの著名な哲学者であった、モスクワ大学のロジェストベンスキー教授の言葉である。
 青年のため、未来のため、社会のため、世界のため、創価教育の発展のために、きょうも、生き生きと対話を繰り広げたい(大拍手)。
 一、先日、わが創価女子短期大学の学生たちが、はつらつたる歌声を聞かせてくださった。
 まさしく、新しい時代を告げる希望の声の響きとなった(大拍手)。
 〈5日、創立者夫妻の前で、短大生の代表が、山本伸一作詞の短大歌「誉(は)れの青春」を大合唱した〉
 時代の変化で短大の存在意義が見直される中、わが創価女子短期大学の堂々たる発展の姿は、本当に素晴らしい。
 毎年、立派な人材が、数多く社会へ雄飛している。地域の希望となり、各界からも大きな期待が集まっている。
 女性の時代である。聡明な女性の声が、社会を変える。平和と文化の世界を花開かせていく。
 創価女子短大は、女性教育の模範の城として、さらに一層、光り輝いていっていただきたい(大拍手)。

 何のための知識
 一、イギリス19世紀の哲学者ジョン・スチュアート・ミルは語った。
 「大学はすべての知識を、人生にとって価値あるもの、即ち、われわれ各人が人類のために実際に役立つ人間になることと人類そのものの品性を高めること、つまり人間性を高貴にすることという二重の目的を達成するための主な手段として、提供しなければなりません」(竹内一誠訳『ミルの大学教育論』御茶の水書房
 含蓄の深い大学観であり、教育観である。
 うれしいことに、わが創価大学は、まさしく「人類のために実際に役立つ人間」を育て、そして「人類そのものの品性を高める」人間教育の最高学府として、全世界から深く広く信頼を寄せられる時代に入った。

 偉大なる
  指導者出よと
     祈りつつ
   我は決意の
    創大建てなむ

 私は、創大が関学する3年前の5月3日、新しき人材育成の学府の未来を展望した。その思いを和歌に留めた。〈和歌は現在、創大本部棟で特別展示されている〉
 創大の開学は、創価教育の父・牧口常三郎先生の生誕100周年にあたる、1971年(昭和46年)のことであった。
 創価大学の大興隆を、牧口先生も、また戸田先生も、いかばかり、お喜びくださっていることか。

皆が「創立者」の自覚で立て

少子化の時代を生き残る鍵──
建学の精神を永遠に守れ
前国連事務次長 創価教育は人間性を育み、正しい価値観を教える

 心の冷たい小才子になるな (※小才子=〔「こざい」とも〕小才(少しの才知)の利く者)
 「世界の知性も、わが「創価教育」に大いなる希望を見いだしている。
 現在、私が対談を進めている国連のチョウドリ前事務次長も、こう語ってくださった。
 「現代の教育制度は、多くの知識を学生に教えますが、人間性を育むことができていないのではないでしょうか。
 教育機関によって、『頭』はいいが『心』の冷たい"ロボット"のような人間が生み出されているとしたら、じつに悲しむべきことです。
 その点、私は『価値創造』を教える創価教育の卓越性に注目しています。
 創価教育の考え方を、世界に広めていくべきです」
 〈チョウドリ前国連事務次長と名誉会長の対談は、月刊誌「潮」の5月号から連載の予定〉
 チョウドリ前事務次長は、アメリ創価大学でも記念講演をしてくださっている。学生たちと深い交流を結んでくださり、感謝にたえない。

チョウドリ前事務次長は、こうも語られている。
 「創価大学に入学するには、高倍率の試験に合格しなければならないことを伺いました。
 定員割れの大学が増えている現在にあって、驚くべきことです」
 「教育で正しい価値観を教えていくことは、将来にとってじつに大事なことなのです」
 こうした世界からの期待に応えるごとく、創価大学のキャンパスには、新時代の建設の槌音が力強く響いている。
 いよいよ、この4月からは「教職大学院」が開設される(大拍手)。
 今回、全国から最優秀の英才が志願してくださった。ここから、創価教育の真髄を体した先生方が、さらに陸続と躍り出ていくことが、楽しみでならない。
 一、卒業生や来客の方々は、訪れるたびに見違えるはど大発展を続ける創価大学の景観に、感嘆の声をあげておられる。
 このたゆみない建設と前進の息吹の中で、新世紀の指導者群が力強く成長している。創立者として、何よりもうれしい。
 全力で、第2期の大学建設に取り組んでくださっている山本学長はじめ教員の先生方、職員の方々、さらに支援してくださっている皆様方に、この席をお借りして深く感謝申し上げたい。
 また、アメリ創価大学を支えてくださっている、すべての方々に、心から御礼を申し上げたい。
 創価大学は、世界に開かれ、人類と友情を結ぶ大学である。
 先日、光栄なことに、北京大学で、私の傘寿(80歳)を記念する学術シンポジウムを盛大に行っていただいた。
 北京大学には、私もこれまで7度訪れており、北京大学創価大学の交流が日中に教育の「金の橋」をかけてきた。
 あらためて、最大の謝意を述べさせていただきたい(大拍手)。

アメリカの識者
 創価人間主義思想は無智と偏見に立ち向かう新たな人類意識を覚醒

 教育こそ喜び
 一、中国の思想家・孟子は「天下の英才を得て教育すること」を、君子が最も楽しみとする一つとして挙げていた。
 人生において、社会貢献、人類貢献の有為な英才を育てる喜びに勝るものはない。
 創大生も、短大生も、真剣に学び、実力をつけている。各種の試験においても、就職においても、研究においても、目を見張る成果を収めてくれている。
 学術・研究に優れた学生に贈られる、創大の「ダ・ヴインチ賞」についても、選定する先生方から、"優秀なメンバーが多すぎて絞りきれない"という、うれしい悲鳴をうかがった。本当に頼もしい限りだ。
 他の名門校などにも進学できるところを、あえて創大、短大に送り出してくださった、ご両親やご家族の方々に、お子様方の立派な英姿を喜んでいただくことが、私と妻の切なる祈りである。

 「やるぞ」と決めれば、うまくいく
 「19世紀から20世紀にかけて活躍した「科学的管理の父」テイラーは論じている。
 「制度の変革をなすに当たり、試みにやって見たことは必ず失敗し、きっと『やる』と決めたことは必ずうまくいくものである」(上野陽一訳・編『科学的管理法』産業能率短期大学出版部)
 一念の偉大な転換が万事を決していく。万般に通ずる道理である。
 〈管理学の分野では、これまで創立者にタイの国立メージョー大学と台湾の雲林科技(うんりんかぎ)大学から「名誉管理学博士号」が贈られている〉
 ともあれ、急速な少子化の進展に伴い、いずこの大学も、永続的な発展のために、懸命に変革の努力を重ねている。
 そのなかで、確固たる建学の精神、教育の理念というバックボーンの重要性が、さまざまに指摘されるところだ。
 乱世であればあるほど、揺るぎない信念と哲学を持ったところが強い。勝ち抜けるのである。
 「実際、どうして宗教と教育を、切り離すことができようか。
 宗教心の伴わない知識は知識ではない。
 それは、内面的あるいは外面的の理論的能力あるいは他の技能的能力が発達したものではあるかもしれないが、人間の魂を育てる力ではない」(宇山直亮訳『歴史の生命』日本教文社
 これは、イギリスの歴史家カーライルの言葉である。
 人間をつくる。精神を豊かにする。そのためには、生命を深く洞察した哲理が不可欠であろう。

分断と戦え団結で勝て 全人類を友情で結べ

 創造者たれ
 一、時流に右顧左眄(うこさべん)するのではない。周囲に流される、信念なき自分であってはならない。
 確かな原点に立脚して、わが使命の道を断固として歩みながら、新しい時代の流れを創り起こしていく決心で進みゆくことだ。(※右顧左眄=まわりの情勢や周囲の思惑・意見を気にして、なかなか決断できないでいること)
 「人間は『批判する者』と『創造する者』とに分けられる」とは、ロシアの大芸術家ニコライ・レーリッヒの至言である。
 「創価」すなわち「価値創造の哲学」を掲げた私たちは、嫉妬と悪意に満ちた批判を敢然と打ち破りながら、誇り高く歴史を創造し、文明を創造していきたい。

 人間の可能性を開発せよ!
 一、今年の秋、東洋哲学研究所とボストン21世紀センターは、アメリカ随一の名門女子大学として知られるウェルズリー大学と、「女性」「人権」「環境」をテーマにシンポジウムを開催する予定となっている。
 〈2000年11月、ウェルズリー大学に本部を置く「教育変革プロジェクト」から創大創立者に「教育変革貢献賞」が贈られている〉
 かつて、同大学のカザンジン宗教・精神生活学部長とは、私も有意義な語らいを刻んだ。
 教授は、こう語ってくださっている。
 「ヒューマニズムに視点を置く"教育"と、ヒューマニズムに視点を置く"仏教"の思想とは、人間の可能性を開発するという一点において、共通するものがあります。SGI(創価学会インタナショナル)は、この二つの大いなる"思想の潮流"が流れ込む"大海"を築いてこられました。
 宗教であれ、教育であれ、狭い裾野しか持たなければ、それは人類のすべてが共有できるものとはなりません。
 その意味において、SGIの人間主義の思想は、教育哲学と仏教哲学を兼ね備えたものであり、世界の人々が無知と偏見に立ち向かうための新しき"人類意識"を目覚めさせるものです。
 仏教と教育が出あい、世界に新たな英知を提供していく、SGIのような運動は、じつに重要な意義を持っていると私は思っております」
 深いご理解に感謝したい。カザンジン教授は、これまで、全米の350の大学にネットワークを広げる「教育変革プロジェクト」を主宰し、教育改革のために長年、努力を重ねてこられた。
 そして、真の教育改革のためには、教育に「倫理」と「精神性」を取り戻すことが不可欠であると訴えてこられた。
 人類を分断する動きと戦い、慈愛と信頼の光を生き生きと広げゆく、平和のリーダーを育てるのが、創価教育の使命である。世界の良識の信頼に、私たちはこれからも誠心誠意、応えてまいりたい(大拍手)。
    (下に続く)