創価学園入学式


君たちの可能性は無限大 
ベストを尽くせ! 粘り強く前へ前へ!!
冰心先生 人間にとって最も貴重なものは友情


一、大切な大切な、わが新入生の皆さん、まことに、まことに、おめでとう!
 東京校は第41期、関西校は第36期の英知光る皆さん方を、私は、なによりも心待ちにしておりました。
 皆、私が創立した創価学園に、よくぞ来てくださった。
 ありがとう!
 本当にありがとう!
 きょうは海外からの来客や交信などが続いており、どうしても出席できませんが、私の心は学園にあります。
 皆さん方一人一人と固い固い心の撞手を交わしながら、すべてを見守っております。
 皆さん方の門出を祝し、まず私は三つの言葉を贈りたい。
 すなわち、「学は人間の宝」である。
 さらに、「学は勝利の土台」である。
 そして、「学は栄光の法則」である、と。
 保護者の皆様方にも、最優秀のお子さま方を送り出していただき、心から感謝を申し上げます。
そしてまた、いつも陰に陽に学園を支えてくださっているご来賓の皆様方も、ご多忙のところ、まことに、ありがとうございます。
 ともあれ、「春だ!爛漫だ! 入学式だ!英知の新入生も満開だ! わが創価学園、万歳!」と申し上げたい。

 目の前の課題に向かつて!
 一、わが秀才、英才の集まりし学園生の真剣な努力を、世界の知性の方々も大きな大きな斯待を込めて見守ってくださっております。
 今年3月の卒業式を第1回として、女子生徒の代表に、中国の「冰心(ひょうしん)文学館」から、「冰心青少年文学賞」という意義深き賞が贈られることになりました。
 これは、「中国児童文学の開拓者」として有名な謝(しゃ)冰心先生の名を冠した栄誉です。
 この冰心先生とは、私と妻も、日本と中国で2度、忘れ得ぬ出会いを刻みました。
 冰心先生の青春時代、祖国・中国は激動の時を迎えておりました。
 その渦中で、お父さんが職場を追われるという苦難もありました。そのうえ、自分白身も体が弱かった。
 しかし、若き冰心先生は、積極果敢に学びに学んだ。英語にも真剣に挑み、習得していった。そして、近代中国の女性作家の第1号となっていったのです。
 氷心先生は、なぜ新しい時代を切り開くことができたのか。それは、常に目の前にある課題に向かって、誰よりも情熱を燃え上がらせ、勇敢に第一歩を踏み出していったからです。
 先生は朗らかに、自らの信条を書き記しておられます。
 「第一歩を踏み出せば、"困難"を1つ1つ克服することなど、ずっとたやすいことです」(萩野脩二・牧野格子共訳『家族への手紙──謝冰心の文革関西大学出版部)
 「第一歩を踏み出す勇気」──これこそが、無限の可能性に満ちた未来を開く、最大最強の力なのであります。

 「問い」が新しい「世界」を広げる
 一、また冰心先生は、作品の中で、こう綴っておられます。
 「『学問』というなかには、『学習する』ことと、『質問する』こととが入っているんだ。
 学習しようとする人は、きっと思いきって質問するものだ」(倉石武四郎訳『タオ・チーの夏休み日記』岩波書店
学ぶことは、楽しい。空き生きと「問い」を発していくことは、新しい発見を重ね、新しい世界を広げていくことなのであります。
 とともに冰心先生の才能を芽生えさせた力は、「読書」と「語学」でありました。
 私とお会いした時も、『源氏物語』を英訳で読んだことを、笑顔で語っておられました。
 特に先生は、読書の心がけとして、「良書を読むこと」を挙げておられました。
 くだらない悪書など、読んでいる時間はない。良書から学び、心を豊かに耕すことこそ、青春の特権であり、人生の宝なのです。
 どうか、皆さん方は若き創価世界市民として、読書と語学に、はつらつと挑んでいってください。
 そして冰心先生が、人間にとって最も「貴重」であると強調したのが、「友情」であります。
 この世界にあって、高い理想を実現していくのも、偉大な芸術を生み出していくのも、切磋琢磨する良き友情こそが原動力であると、冰心先生は結論しておられます。
 わが学園こそ最極の友情を結び合える学舎(まなびや)なりと、私は申し上げておきたい。

 励まし合って苦難を越えよ
 一、今、私は、一段と力を入れて、皆さん方が活躍する未来の大舞台を、世界中に開いております。
 ヨーロッパの「平和の先進国」ウクライナを代表する名門・国立キエフ工科大学のズグロフスキー総長とも、新しい対談「希望の世紀へ 生命の世紀へ」の連載を開始しました。
 「数学」そして「人工頭脳学」の最先端の大科学者であり、教育大臣も務められた指導者です。
 世界の第一級の良識の方々とともに、文明間を結びゆく対談集も、これが56点目となります。
 私がお会いする世界の一流の方々に共通していることは、何か。
 それは、「大恩ある両親への感謝」であります。つまり「親孝行の心」であります。
 「優秀」と「親孝行」は一致するといっても、決して過言ではありません。
 このズグロフスキー総長が、敬愛する父母から学んだこととして、感謝を込めて語っておられた一点があります。
 それは、"何事も簡単に成就するものではない。どんなことでも、大変な努力を払い、苦難を乗り越えてこそ、初めて可能になる"という教えでありました。
 簡単にできないからこそ、挑戦の喜びがあり、充実がある。難しい課題を乗り越えて、やり遂げた時にこそ、真の満足感を勝ち得ることができるのです。
 努力の青春は、愉快です。真剣にべストを尽くしゆく若き生命ほど、強いものはありません。
 新入生の皆さん方も、これからの3年間、また6年間、たとえ思うようにいかないことがあったとしても、へこたれたり、諦めたりしない「負けじ魂」の学園生であってください。
 明るく、たくましく、わが友と励まし合いながら、何があっても臆さないで、どっしりと粘り強く、前へ前へ進み抜いていくことです。
 そのたゆみない前進また前進のなかで、必ず、自分自身の頭も、心も、生命も、昇りゆく旭日のように燦然と光り輝かせていくことができるからであります。
 東西の学園ともに、皆さん方の勉学と錬磨の教育環境を整備していくために、私はさらに盤石に手を打っていきます。
 学園生こそ人類の希望の太陽だからです。
 私が21世紀の一切を託しゆく、わが命よりも大切な東京校の第41期生、関西校の第36期生の青春に、健康あれ! 栄光あれ! そして勝利あれ!

          2008年4月9日    創立者 池田大作