首都圏代表者会議

『師弟の大道』こそ『勝利の人生』


 一、ある日、戸田先生と、都心のお堀端を歩きながら、広宣流布の未来を展
望した。
 当時の学会には、立派な建物もなかった。私は、将来、必ず素晴らしい会館
をつくりますと申し上げた。
 先生は「大作は、言ったことは必ずやる」と信頼してくださり、本当に、う
れしそうだった。
 今、日本中に、世界各国に、会館がある。学会本部新館の建設も進んでいる。
恩師との約束は、すべて実現してきた。
 世界広宣流布の本格的な展開は、いよいよ、これからである。大事なことは
何か。「信心」の二字である。絶対に毀誉褒貶に流されてはならない。それで
は敗北の人生である。
 真剣の人を諸天は守る。その人が最後に勝つ。仏法の眼から見れば、特別な
人間などいない。全員が「広宣流布の一兵卒」であるべきだ。これから10年、
20年、30年、だれが見ていなくとも、自分は師弟の道をゆく。これが真実
の仏法者である。
◆◇◆スイスの哲学者
生きるとは絶えず勝っていくこと!

■成長を止めるな
 一、スイスで現在、ポーリング博士との友情の結晶である「ライナス・ポーリ
ングと20世紀」展が、国連の欧州本部に続いて、名門ジュネーブ大学で開催
され、反響を広げている。
〈名誉会長の友人で、ノーベル平和賞・化学賞を受賞したライナス・ポーリング
博士の思想と業績を展示。名誉会長の提案で実現した〉
 大文豪トルストイも愛読した、スイスの哲学者アミエルに、こういう言葉が
あった。
 「進まなくなった者は退く」
 「成長を止めた者はもう衰え始める」
 「生きるとは絶えず勝って行くこと」(河野与一訳、現代表記に改めた)
 世界の賢者の思想は、仏法の智慧を含んでいるものだ。日蓮大聖人の仏法の
魂は、「進まざるは退転」である。

◆◇◆登れ広宣流布の新しい山を!
進まざるは退転!
御聖訓「月月・日日につより給へ」
「今いる場所」が「幸福の都」に!!

■使命の舞台で生き生きと!
 一、生き生きと、生きることだ。広宣流布へ戦う人は、偉大な生命力がわく。
ひとたび、わが使命の舞台に立ったならば、逡巡や怠惰は負けである。絶対に、
わが魂が光っていなくてはいけない。生きて生きて生き抜いて、素晴らしい歴
史を残していくことだ。現実に広宣流布を進めている人。その人が、一番立派
である。それは婦人部である。婦人部を大事にすることだ。どこまでも仲良く、
心を合わせ、健康第一で、勝利の軍勢の前進をお願いしたい。
◆◇結成の月 婦人部の大功労を諸天が讃嘆
自分自身が希望の太陽!

■会館は福運の城
 一、6月は、婦人部結成の意義深き月である。
 きょう6月7日は、信濃町の第2女性会館(旧・創価婦人会館)がオープンして
25周年と、うかがった。
 開館式の折、私は、「この会館に集われる方々に無量無辺の功徳があふれる
ように」と真剣に祈念した。
 この"母の城"では、妻とともに首都圏婦人部の皆さま方と懇談会をもつな
ど、数々の思い出を刻んできたことも懐かしい。
 学会の会館は、そこに集う人が皆、大福運をつけ、力をつけて、勝利へ、勝
利へと向かっていく"幸福と平和の宝城"である。管理者の方々、守る会の皆
さま、牙城会、創価班、白蓮グループのメンバーをはじめ、全国の会館を守っ
てくださる皆さま方に、厚く御礼申し上げたい。
 ともあれ、「月月・日日につよ(強)り給へ」(御書1190ページ)との御聖訓
通り、全国各地で、わが尊き同志は、力強く広宣流布の前進を加速させている。
 日蓮大聖人が、また三世十方の仏菩薩が、どれほど賞讃しておられることか。
功徳は計り知れない。

◆◇世界の憧れ! 和楽の奄美

奄美の日・40周年
 一、きたる6月22日は、「奄美の日」。昭和38年(1963年)、私が奄
美大島を初めて訪問して、「奄美支部結成大会」が行われた日である。
 東京から同行した幹部に、私は言った。
 「指導をするという発想ではなく、奄美の同志から、信心を学んで帰ること
だ。奄美の方々こそ、命がけで広布の道を開いてきた大功労者である。
 奄美の友と接して、本当の信心、本当の戦いと本当の苦労を知ってもらいた
い」
 それから、ちょうど今年で40年となる。先駆の大九州にあっても、奄美
者県の広宣流布の拡大は、ひときわ輝きわたっている。
 奄美の友は、学会に対する誤解から学会員というだけで村八分にあうなど、
筆舌に尽くしがたい苦難を乗り越えながら、全国、いな全世界の模範と仰がれ
ゆく「地域友好の連帯」を築き上げてこられた。
 現在の健闘もまた、目覚ましい。聖教新聞も、過去最高の拡大である。入会
希望者も、毎日のように誕生している。
 うれしいことに、広宣流布の進展とともに、地域も大いに栄えてきた。
 今年は、戦後、アメリカによる軍政下に置かれた奄美群島が、日本に復帰し
て50周年でもある。
 この節目にあたり、民音の招きによる「ロシア民族歌舞団」の奄美公演が7
月に行われる。
 奄美は沖縄とともに、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産の候補地
にもなっている。
 〈鹿児島県のトカラ列島奄美諸島から、沖縄県沖縄本島宮古八重山
島までの南北約1000キロにわたる「琉球諸島」が候補地〉

■幸福の宝島よ!
 一、日蓮大聖人は、過酷な流罪の地である佐渡の島にあって、「私たちが住
んで法華経を修行する場所は、どこであれ、常寂光の都となるであろう」(御書
1343ページ、通解)と仰せである。
 目の前の現実を離れて「どこか」に行けば幸福になれる――決して、そんな
ことはない。自分の心がどうかで決まる。
 今、自分がいるこの場所こそが、自身の仏道修行の場なのだと決意し、挑戦
すれば、そこが「寂光の都」となる。「幸福の都」と輝いていく。
 健気な奄美の友は、この御聖訓のままに、わが地域を「本有常住の常寂光土」
と光り輝かせながら、沖縄と一緒に、「世界で最初の広宣流布の地帯」を目指
して、大行進されている。
 世界の憧れの、幸福と和楽の宝島・奄美に栄光あれ! 勝利あれ! と、私は
心から祈っている。

◆◇未来の宝を育成! 
 香港の教育者が語る
○ 子どもをほめる
○ 子どもを信ずる
○ 愛情と忍耐をもつ
○ 子どもとの約束を守る
○ 大人が高い志をもつ
○ 家庭と学校が協力

■高等部の結成記念日おめでとう
 一、きょう(6月7日)は、高等部の結成記念日でもある。未来の人材に、一
段と励ましを贈りたい。
 私が世界のSGI(創価学会インタナショナル)の友や、教育者の方々と対話した
『母と子の世紀』の中国語版が、9月に香港の天地図書から発刊される。
 これには、香港を代表する著名な女性教育者・趙鈞鴻博士が、素晴らしい序文
を寄せてくださった。
 趙博士は、40年にわたり幼児教育に尽力され、香港政府初の「傑出教育家」
に選ばれた方である。
 博士は、本書を高く評価してくださり、そのポイントとして、次の8項目を
挙げてくださった。
 1「子どもをほめること」――それぞれの年齢に応じて、成し遂げたことを
ほめ、励ましを贈るべきだ。それが子どもたちを、さらに成長させる原動力と
なる。
 2「子どもを信ずること」――子どもたちの能力を信頼し、子どもたち自身
の力でできることであれば、そのまま、やらせてみる。これが、子どもたちの
自信を強める。
 3「愛情をもって、子どもに接すること」――愛情に包まれて育てば、他者
を思いやる心も育てることができる。
 4「忍耐力をもって、子どもと接すること」――子どもたちの心の世界を理
解するためにも、忍耐力をもって、子どもの話に耳を傾けなければならない。
 5「子どもとの約束を守ること」――約束を守ることは、大人と子どもの信
頼関係の基盤である。
 6「しっかりとした意志をもって、子どもと接すること」――教育には、ま
ず確かな哲学が必要である。
 7「子どもに尽くしていこうという心をもつこと」――教育者にとって、教
育は一生の使命である。自分の名誉や利害のためではない。高い志をもって、
教育のために尽くしていくことだ。
 8「家庭と学校が、よく協力すること」――その協力から、教育の効果を高
める最良の方法が生まれる。

■「使命を果たすために生きる」
 一、趙博士は、『母と子の世紀』から「使命を果たすために生きる」という
メッセージを読みとってくださったという。
 「私たち教育に携わる人間が、常に教育を自らの使命ととらえ、誠心誠意、
その中で戦う。そうしてこそ、教育の楽しさを自分のものとすることができ、
未来に生きる人材を育成することが可能となるだろう」こう、博士は言ってお
られる。
 私は、この場をお借りして、実際の教育現場で奮闘しておられる、教育本部
の先生方を心から讃えたい。また、未来部の育成に真剣に取り組んでくださっ
ている「21世紀使命会」の皆さま方にも、深く感謝申し上げたい。

◆◇◆新聞が時代を変える
聖教の拡大が広布の拡大
ジェファソン 人間を道徳的にする最良の手段
孫文 人々の心に理想を吹き込む

■「聖教新聞の体験談に感動」
 一、今、婦人部の皆さま方をはじめ、全国の同志が、聖教新聞の拡大に全力
で取り組んでくださっている。「聖教の拡大」は即、「広宣流布の拡大」であ
る。婦人部の皆さま、新聞長の方々、聖教新聞を配達してくださる無冠の友を
はじめ、すべての皆さまの気高いご尽力に最大に感謝申し上げたい。
 聖教新聞は、日本第3位の発行部数の新聞として、大きな注目を集めている。
 先日も、ある識者の方から、「10年間にわたって聖教新聞を購読し、そこ
に掲載される体験談を読み続け、調べてきて、『これは全部、本物だ』と確信
しました」という声が寄せられた。
 一、歴史を見ても、時代の変革期には、常に新聞があった。「もし新聞がな
かったらフランス革命は起こらなかったであろう」とは、フランスの文豪ユゴ
ーの至言である。
 インド独立の父マハトマ・ガンジーも、非暴力闘争を振り返って、?もし新聞
がなかったならば、不可能だったであろう?と語っている。
 ガンジーは、トルストイにも、自らの論説を掲載した新聞(「インディアン・
オピニオン」)を送付していた。トルストイが、その紙面を通して、ガンジー
非暴力運動への理解を深めたことは有名な歴史である。
 思えば戸田先生も、聖教新聞を、インドのネルー首相、中国の周恩来総理、
フィリピンのマグサイサイ大統領などアジアの10人の指導者に送っていかれ
た。
 その心を心とし、私は、聖教新聞を軸に、世界に知性のネットワークを広げ
てきた。
 「世界市民は新聞を読むことから生まれた」(田才益夫訳)とは、チェコの作
カレル・チャペックの言葉である。
 聖教新聞は、21世紀の世界市民の新聞である。
 一、アメリカの第3代大統領トマス・ジェファソンは、新聞とは「人間を理性
的、道徳的、そして社会的存在へと改良する最良の手段である」と論じている
(『新版ジャーナリズムを学ぶ人のために』世界思想社刊所収、大井眞二「メデ
ィアの自由の歴史」から)。
 また近代中国の民主革命の父孫文博士は、「新聞は、人々の心に理想を吹
き込む」との信念であった。
 さらに、孫文博士の夫人で、?穎超先生の同志でもあった宋慶齢(そう・けい
れい)女史も、「強くて勇敢な新聞界は、自由と正義に有利な世論の潮流を起
こすために、ひじょうに多くの活動をすることができる」(仁木ふみ子訳)と強
調していた。
 そして、私も対談集で論じた、キューバ独立の闘士ホセ・マルティも、「新
聞の使命は、教育と創造にある」と訴えた。
 正義の言論・聖教新聞は、こうした世界の知性の理想を担う人間主義の新聞
である。素晴らしい読者の方々にお応えできるよう、さらに、さらに充実させ、
発展させていきたい。

■グループこそ広布の原動力
 一、今年は、婦人部の最前線の組織である「グループ」が発足して25周年。
全国のグループ長の皆さま方の大活躍こそ、創価学会の前進の原動力である。
 一つ一つのグループ――それは一見、目立たない舞台かもしれない。大集会
のような喝采もないであろう。しかし、少人数だからこそ、一対一で心ゆくま
で語り合い、伸び伸びと友情を広げていける。深い信頼の絆を結びながら、偉
大なる広宣流布の歴史をつづっていくことができる。その大切な核となるのが
グループ長の皆さま方であられる。
 少人数での励まし合いが、いかに重要か。大聖人は、繰り返し、門下に示し
ておられた。
 神奈川、そして首都圏婦人部の先達ともいうべき日眼女(四条金吾夫人)への
御手紙にも、「この手紙は、藤四郎殿の夫人と常に寄り合って御覧なさい」(御
書1114ページ、通解)と仰せである。 彼女たちは、「1000人のうち9
99人は退転してしまった」(同907ページ、通解)と言われる大弾圧のなか
で、命も惜しまず、毅然と信仰を貫いていた。
 日眼女に対し、大聖人が佐渡から送られたのが、有名な「同生同名御書」で
ある。
 「人の身には、同生と同名という二人の使いを、天は、その人が生まれたと
きからつけておられ、(この二人の神は)影が身に随うように、寸時も離れず、
その人の大罪・小罪・大功徳・小功徳を少しもおとさず、かわるがわる天に昇って
報告していると、仏は説いておられます。このこと(=日眼女が夫の四条金吾
佐渡までつかわせたこと)は、すでに天も知っていることでありましょう。まこ
とに、頼もしいことです」(同1115ページ、通解)と女性門下の真剣な信心
を最大に賞讃しておられるのである。
 あの地でも、この地でも、わが同志は、広宣流布のため一心不乱に祈り、そ
して戦い続けている。
 たとえ、だれがほめなくとも、蓮祖が讃嘆なされている。たとえ、だれが知
らなくとも、無数の諸天が見守っていることは間違いないのである。

■正義の声を! 勇気凛々と!
 一、仏法の賞罰は、あまりにも厳しい。尊き皆さまの命には、大地よりも厚
く、天空よりも高く、大福徳が積まれている。
 激戦を勝ち越えゆく友の生命は、なんと尊貴な光を放ちゆくことか。大聖人
は、「師子の声には一切の獣・声を失ふ」「日天東に出でぬれば万星の光は跡
形もなし」(同1393ページ)と仰せである。
 ともあれ、自分自身が師子となって、正義の声を勇気凛々とあげることであ
る。そしてまた、自分自身が希望の太陽となって、闇を打ち破っていくことで
ある。

■教学で勝て!
 一、信心を深め、揺るぎない勝利の人生を築くうえで、「教学」が大事であ
る。皆が連携して、がっちり力を合わせて、教学の研鑽に取り組んでいただき
たい。
 勝つか、負けるか、人生は勝負である。教学は、何ものにも負けない理論の
力であり、慈悲の光である。偉大なる理性と、偉大なる感情が融合してこそ、
真に優れた人間となる。それが仏の境涯である。
 いくら頭がよくても、「人を救おう」とは考えず、「自分は偉い」と慢心を
起こすようでは、理性と感情が合致していない。それでは勝利の人生を飾るこ
とはできないであろう。
 人間、だれもが、生老病死をまぬかれない。しかし、広布へ戦い、妙法を唱
えるならば、自分も、友も、亡くなった人の生命までも、希望の方向へ、幸福
の方向へと向けていける。ここに仏法の追善の法理もある。これほど素晴らし
いことはない。
 妙法の世界は、おとぎ話のようでありながら、すべて真実である。法華経
御書に仰せの通りである。永遠の幸福と勝利の軌道なのである。

友人葬を支える儀典部に感謝!
 一、学会の友人葬について少々、語っておきたい。
 友人葬は、今や、時代の最先端として、深く、広く、定着してきた。
 葬儀革命、宗教革命のモデルとして、社会の各界から賞讃と共鳴が集まって
いる。
 「学会員ではないが、友人葬でお願いしたい」という要望の声も少なくない。
友人葬に感銘して入会する方も増えている。
 仏の尊い仕事を執り行ってくださる全国の5万人の儀典部の方々を、私は心
から讃嘆申し上げたい。

■不可能との戦い
 一、先月、世界最高峰のエベレスト初登頂50周年を迎えた。〈初登頂は1
953年の5月29日〉
 ネパールでの記念の祝賀会には、エベレスト山頂に前人未踏の第一歩をしる
したヒラリー卿も出席された。
 ヒラリー卿とは、わがネパールSGIの代表もお会いしている。
 そのヒラリー卿は言った。
 「とても登れないよ、と頂上はいう……。不可能? 人間の精神にとって不
可能なのか? そこで戦いはまじえられるのだ。山の防戦と危険に立ち向かう、
登山家の熟練をためす戦いが」(白川義員著『ヒマラヤ』小学館刊所収のヒラリ
ー卿の特別寄稿から)
 21世紀の広宣流布の新たな山へ、さっそうと、勇敢に登りゆくことを約し
合って、私のスピーチとしたい。
 きょうは、本当にありがとう! お会いできなかった皆さまに、どうかよろ
しくお伝えください。
 また、お会いしましょう! (大拍手)
(2003・6・7)