創価教育協議会


創価大学は新世紀の「教員革命」の模範に


「教師」が光れば「学生」も輝く

 一、少子化の時代である。どの大学も、生き残りをかけて必死である。
 そうしたなか、わが創価大学は、多くの皆さんのおかげで、あらゆる点で全
国トップクラスとなった。
 大学は、学生のためにある。私も、いよいよ教育に人生を捧げていく決心で
ある。
 大胆に、また真剣に、「大学革命」「教員革命」の模範を築いていただきた
い。
 〈全国の大学生を対象としたリクルート社の2000年の調査では、「留学
生を多く受け入れており、国際交流が盛んである」「海外留学ができる機会が
多い」など、創価大学は学生の満足度の高さで全国有数。
 また、本年度から工学部に環境共生工学科が新設された。明年4月の開学に
向けて法科大学院も準備が進む。本年度の受験者数の増加率は全国屈指であっ
た。さらに通信教育部は、在籍者数、卒業率、ともに日本一である〉
 一、先月(19日)、ウズベキスタン共和国作家同盟のオリポフ会長が創大
に来学された。
 詩人である会長は、大統領顧問も務める。
 ウズベキスタンは1991年に独立。会長は、新しい国歌を作詞し、国を代
表する文化人として知られる。
 〈オリポフ会長は、池田名誉会長の著作をウズベク語に翻訳し発表。創大訪
問の喜びを語り、創立者の哲学者・思想家としての功績を高く評価している〉
 このオリポフ会長のウズベク語の詩集を、創大出身の方が訳してくださった。
その中に「対話」と題する一詩があった。
 「人と人との出会い この世で最高の手段こそ対話。幾人かの人と話してみ
なさい。
 しかし、そこには、すり替えられたデマや偽りもあるだろう。
 あなたに懇願しよう。おお親愛なる友よ。
 君との出会いこそ、私を喜びに満たしてくれる。
 この世にどれほどの嘘があろうとも
 私には関係ない。
 ただ、真実だけを話そうではないか」
真実を語り合う友がいる。人生にとって、これほどの幸福はない。
 創大生、短大生の皆さんは、美しい武蔵野の自然に包まれ、世界の友と出会
創価大学のキャンパスで、生涯の宝の友情を、幾重にも結んでいただきたい。

■世界一の大学へ
 一、平和を見つめる対話――今年は、トインビー博士との2年越しの対談を
終えて30年である。〈1972年5月と73年5月。ロンドンで、延べ10
日間、40時間の語らいになった〉
 73年、ヨーロッパから帰国し、7月の第2回滝山祭で、「スコラ哲学と現
代文明」と題して講演を行ったことも懐かしい。
 この折、講演に出席した学生の方々も、皆、立派に成長しておられる。
 今や創大は、「未来の世界文明」の開花を一歩一歩、準備し、地球規模で英
知の逸材を送り出している。こんなうれしいことはない。
 創大での講演を一つの起点として、翌74年、私はカリフォルニア大学ロサ
ンゼルス校で講演。さらに、75年は、モスクワ大学で講演した。
 これまで海外の大学や学術機関で行った講演は、31回となっている。
 イギリスでは、オックスフォード大学やケンブリッジ大学グラスゴー大学
を訪れた。約550年の歴史を誇るグラスゴー大学の壮麗な学位授与式は、ま
さに圧巻の名画であった。〈名誉会長に名誉博士号が贈られた〉
 いずれも、学問と人材育成の深き伝統が薫る学府であった。わが創価大学
「世界一の大学」を目指し、"第2期"の建設へ進んでまいりたい。

◆◇トインビー博士「人生の目的は行動」
◆◇平和のために人間教育を

■人生とは行動!
 一、トインビー博士は語っている。
 「人間の生活においては、至高の善は人との交情である」と。
 若い私を、深く信頼してくださった大学者の温かな心は、胸から離れない。
 人類史を大きなスケールでとらえ、国際問題の分析にも英知のかぎりを注い
だ博士は、こうも語っている。
 「『科学的』な人間事象研究が価値あるものである、と心の底から信じてい
たし、今でもそう信じている」
 しかし、「『科学的』な研究は、それを越えた目的を追求するための不可欠
の手段ではあるかもしれないが、その本質からして、それ自体で一つの目的に
はなり得ない」という。
 それは、なぜか。「人生の究極の目的は研究ではなくて行動だからである」
 博士は、こう断言された。〈博士の言葉は、社会思想社刊『回想録?』山口光
朔・増田英夫訳から〉
 2度の世界大戦で多くの友人を失い、原子爆弾の出現を目にした博士は、"人
類のために、平和のために何ができるか"と常に自身に問いかけておられた。
 こうした人生観のうえからも、博士は、私どもの人間主義の行動と対話に最
大の信頼を寄せてくださったのである。
 「人類の平和を守るフォートレス(要塞)」たる創価大学の使命は、いやま
して大きい。

■「教師は自らの胸に問え」と
 一、フランスの大化学者として有名なパスツールは、ロシアの最高峰・モス
クワ大学から名誉称号を受けている。〈名誉会長には、同大学の名誉博士と名
誉教授の両方の栄誉が贈られている〉
 パスツールは優れた教育者でもあった。教師の役割について、こう考えてい
た。
 「私は、すべての教師が教室に入る時に、『今日、どのようにして生徒たち
の知性と心を昨日よりも高めようか』と、静かに自らに問うてみることを期待
する」(持田勲・持田明子共訳)と。
 知識をただ押しつけようとする傲慢さなど微塵もない。心と知性を高める
――人間をつくる芸術こそ教育である。
 さらにパスツールは言う。
 「若者たちは、自分たちが教えを受ける教師の光輝に駆りたてられ、鼓舞さ
れるものだ。青年に神聖な火を伝えるためには、自分自身が聖なる火に充ちて
いなければならぬ」(同)
 まず教員が、自分自身を磨かなければならない。心に知性と情熱の火が燃え
ていなければいけない。魅力ある講義でなければ、何より学生に申しわけない。
 深い学識とともに、思いやりがあり、人格の光る、名教員であっていただき
たい。

■「活発な質問、目の輝きに感銘」
 一、創価大学の教授の方から報告があった。
 海外で、ある企業の社長を務めた方が、先月、創大で講義を担当してくださ
った。そして、創大生の聴講する姿勢に感動し、翌日、さっそく声を寄せてく
ださったというのである。
 その方は当日、2時限、講義をされた。そして、聴き入る学生の目の輝きに、
思わず熱が入ったという。
 終わった際も拍手が鳴りやまず、創大の人間教育の素晴らしさに感銘を受け
たそうである。
 また、質問も活発で、終了後も、数人が残って立ち話をし、二人の学生が出
口まで見送ってくれた。このような学生に接することは、講師冥利に尽きると
感じた。そして、創大での講義は、忘れ得ぬものになりましたと語っておられ
たということであった。

■学生第一で!
 一、社会の盛衰のカギは、教育にある。平和の世紀を築くのは、教育である。
 多くの世界の識者が、創大生を「人類の宝」と讃え、期待している。
 わが創価大学は、一段と「学生第一」の伝統を輝かせてまいりたい。今がチ
ャンスである。心を合わせて、人間教育に全魂を注ぎ、世界平和の人材を輩出
していただきたい(大拍手)。
(2003・7・2)