海外・九州・東北代表協議会<下>



一、何のための人生か。何のための信仰か。
 何のため――その一点を忘れない人生は強い。美しい。
 我らの究極の目的は何か。それは人間革命であり、世界平和である。
 目的を忘れると、人間は堕落する。敗北の人生の道に入ってしまう。
 使命の道、勝利の道を歩み抜くのだ。時には希望の歌を歌い、勇気の舞を舞
いながら、ともに愉快に励まし合って、素晴らしい人生を生き抜いていただき
たい。

■「事実」を世界へ
 一、先日の本部幹部会で、アメリカ・オハイオ州のウエストチェスター市に、
光栄にも「DAISAKU IKEDA(ダイサク・イケダ)の森」がオープンし、記念の
式典が行われたことを紹介した。
 この"IKEDAの森"が、39万坪の広大な「アメリカの声」公園の中にあると
申し上げたところ、何人かの方から質間が寄せられた。
 「その『アメリカの声』公園という名前の由来について、もっと詳しく教え
てほしい」ということであった。
 「アメリカの声」とは、長年にわたり世界中に発信されてきた、アメリカ政
府の海外向けラジオ放送「VOA(Voice of America)」のことである。この「ア
メリカの声」というラジオ放送が開始されたのは、第2次世界大戦中の194
2年2月24日。ドイツや日本をはじめ、ファシズムの嵐が、世界に吹き荒れ
ていた時代である。
 とくにナチスは早くから、国外向けの短波放送の大規模な送信設備を開発。
ヨーロッパの近隣諸国から、北中南米、アジア、アフリカ、豪州まで、嘘や謀
略をもって宣伝戦を展開した。
 こうしたファシズムのデマ宣伝に対抗するため、ルーズベルト大統領の指揮
のもと、アメリカは、世界に向けた本格的なラジオ放送を開始することを決定
した。
 しかし、世界のすみずみにまで電波を発信するには、アメリカで使用されて
いた施設では、あまりにも電波の出力が弱く、不十分であった。
 そこで、技術者たちは総力をあげて、ナチスを上回る施設の開発に取り組ん
だ。
 そして、世界で最強の出力を誇る、海外短波放送の発信基地を完成させた。
 その場所が、現在の「アメリカの声」公園なのである。
 今回、"IKEDAの森"開設の記念式典が行われた「アメリカの声」博物館は、
まさにその施設を記念として保存し、残したものである。
 当時、アメリカの連邦通信委員会の委員長、ダール氏は、発信基地の意義を、
こう語っていた。
 「この施設は、ラジオという大砲であり、重砲である。世界のどこであろう
と、敵の嘘やデマに対して、事実という爆弾を投げつける戦いの武器である」
 この嘘やデマを打ち破る「声」は、40以上の言語で発信され、地球の至る
ところへ響き渡った。
 そして、ナチスの陰謀を打ち砕き、幾多のレジスタンス(ファシズムヘの抵
抗運動)の闘士に、力強い励ましを発信し続けていったのである。
◇◆声は大砲! デマを打ち砕く
  我らの声は正義の声
  アフリカのことわざ 真実が出れば嘘は身を引く

■力強く語られた民衆の声が最強
 一、「アメリカの声の父」と呼ばれる劇作家のロバート・シャーウッド氏は、
かつて毅然と言明した。
 「人類には、すべての独裁者より、もっと強力な、新しい決定的な力がある。
それは、力強く語られた言葉によって啓発された民衆の思想の力である」
 悪逆なデマとの戦いは、人類史の永遠の課題であるといっても過言ではない。
 それには、デマを圧倒しゆく勢いと気迫と執念をもって、正義と真実の声を
発信し続ける以外にない。
 声が邪悪を倒す。声が時代を動かす。
 仏法は「声仏事を為す」(御書708ページ等)と説く。声が世界を変えて
いくのである。
 御聖訓には、「一匹の師子王が吼えれば、百匹の師子の子は力を得て、諸の
鳥や獣は皆、頭が七つに割れる。法華経は師子王のようなものである。一切の
獣の頂に立つ」(同1316ページ、通解)とある。
 また、こうも記されている。「彼等は野干(=キツネの類)のほう(吼)る
なり日蓮が一門は師子の吼るなり」(同1190ページ)
 真実を勇敢に語り、師子吼し、叫ばなければ、日蓮門下とはいえないのであ
る。
 「創価の声」は「師子王の声」である。
 それは、正義の陣列の威光勢力を限りなく倍増し、そして邪悪の陰謀をこと
ごとく粉砕していく根本の力である。
 御聖訓の通り、いよいよ「声を惜しまず」「声を張り上げて」「大音声を出
して」、創価の声の勝利の金字塔を打ち立ててまいりたい。
 インドのネルー初代首相は語った。
 「真に偉大な人とは、特定の国だけではなく、全世界のためのメッセージを
持っている」
 ニューヨークでのスピーチの中の言葉である。
 我らも語り抜きたい。人類のため、人間主義の勝利のために!
 大聖人は、門下の四条金吾に仰せである。
 「日蓮もまた、(正法の力を根底に)この日天子を頼みとして、日本国に立
ち向かって数年になる。すでに日蓮は『勝った』という気持ちである」(御書
1146ページ、通解)
 打ち続く大難を乗り越えての勝利宣言と拝せよう。仏法は勝負である。断じ
て、勝利の証を示しきることだ。

■アフリカの世紀を女性がリード
 一、本日は、うれしいことに、21世紀の大陸・アフリカからも代表をお迎
えしている。
 アフリカの広宣流布の進展は、じつに見事である。現在、アフリカ大陸には、
41カ国・地域でメンバーが活躍し、社会の繁栄と平和に大いに貢献されてい
る。
 このアフリカSGI(創価学会インタナショナル)でも、女性リーダーの健
闘が、ひときわ光っている。
 トーゴSGIのイダ・アジェビ理事長は、産婦人科のドクターで、女性地位
向上団体の役員も務めておられる。
 フランスで入会され、トーゴの一粒種として奔走。この20年間で1000
人のスクラムを築き上げられた。その8割近くが青年である。
 地域活動においても、絶大な信頼を勝ち得ておられる。トーゴでは、近く記
念の総会が行われる。おめでとう!
 また、南アフリカSGIのローレン・ブレイスウェイト理事長は、会社役員
を務める弁護士である。彼女のリーダーシップにより、2001年に法人を取
得。
 昨年は、会館がオープン。国連主催の環境開発サミットでもSGIの展示が
大成功であった。
 カメルーンSGIのディコンゲ・クレール本部長も女性。首相府の経済課長
である。その重責を担いながら、愛する祖国の広宣流布に全力で取り組んでお
られる。
 そして、ここに出席のケニアSGIのオダリ・マスミ婦人部書記長は、ナイ
ロビ大学文学部で教壇に立つ。さらに弁護士の資格も取得された。わが誉れの
創価大学の出身である。
 いよいよ、「アフリカの世紀」が始まった。
 その偉大なリーダーの皆さま方の足跡は、広宣流布の栄光の大叙事詩として、
永遠に謳われゆくにちがいない。
◇◆若き友の可能性信じ抜け 自分以上の大人材に
  アフリカのことわざ
橋を架けよ! 希望のあるところ道はある

■千も一から
 一、アフリカのことわざは、まことに含蓄深い。
 たとえば――。
 「希望のあるところ、道はある」
 「千は一から始まる」
 「壁を築くより橋を架けよ」
 「森の王者であるライオンでさえ、己の身をハエから守る」
 「真実が明らかになるとき、嘘は身を引く」
 さらに、「ケニア建国の父」として名高い、ケニヤッタ初代大統領の言葉に
もこうある。
 「私たちが主張しているのは、正義が証明されることと、不正義が正される
ことであります」
 まさに、破邪顕正の言論戦である。
 〈SGI会長には、「建国の父」の名を冠した国立ケニヤッタ大学から名誉
人文学博士号が贈られている(2002年5月18日に学位授与式)。さらに、
東アフリカの名門・ナイロビ大学からも、名誉文学博士号が贈られている(9
2年12月22日に学位授与式)〉
 一、現在、私は、モスクワ大学のサドーヴニチィ総長と、教育をめぐる新し
い対談を続けている。
 〈『学は光――文明と教育の未来を語る』。「創価新報」に連載中〉
 そのなかで、私たちは「教師は学生を尊敬すべきである」という点で、深く
一致した。
 世界的な数学者の総長は、こう語っておられる。
 「目の前に座る未完成の学生の中に、将来大きく成長するであろう可能性を
信じる心、知識や行動すべてにおいていつか必ず自分を超える偉大な人物にな
ると信ずる心、池田博士のおっしゃる『学生に学ぶ心』――これが教師の学生
に対する尊敬と信頼なのだと私は考えます。もしも、この心が教師の中になけ
れば、いかなる博学の講義も指導も、なべて教育の力とはなりえないでしょう」
 総長の着眼は鋭い。
 青年の可能性を信じ抜け!――すべての教育者が、いな全指導者が、心に刻
むべき言葉ではないだろうか。
 オックスフォード大学教授として芸術教育に携わった、イギリスの思想家ラ
スキンは語った。
 「真の教育の目的は――人々に善事を行なわしむるばかりでなく、そのこと
に喜びを感ずるようにさせることである」(北御門二郎訳)
 心から納得できる人間学である。
 さらにラスキンは、こうも主張している。
 「学問がいつかは宗教と敵対するようになる、と考えるのはおかしい。見栄
だけの学問なら、単に宗教ばかりでなく、真理にも敵対する。真の学問は宗教
に敵対しないのみか、常にそれに協力する」(同)
 深く胸に刻み、思索すべき言葉だと思う。
 一、きょうは、大発展を遂げているポルトガルからも、同志がお越しくださ
った。
 かつて、大航海時代を開いた勇敢なポルトガルの先人を讃えながら、作家ツ
ヴァイクは語った。
 「たった一人の人間でもその小さな無常の生命によって、数百世代もの人々
のたんなる希望の夢にすぎなかったことを、一つの現実に、不朽の真実に作り
変えることができる」(関楠生・河原忠彦訳)
 皆さま方こそ、幾百代もの希望の夢を叶えゆく、栄光の「一人」なのである。
◇◆父 ネルーから 娘 インディラへ
    勇敢であれ あとは結果がついてくる

■「もうだめだ」なんて思うな
 一、フランスの思想家ヴォーヴナルグ(1715〜47年)は言った。
 「絶望は、最大の過ちである」
 彼は軍人だった。怪我をして、病気がちの体になった。そのなかで「文学」
に生きる道を見いだしていったのである。
 「もうだめだ」「私にはできない」――そう決めつけるのは、人生最大のま
ちがいである。
 インドのネルー初代首相は叫んだ。
 「臆病は、暴力にまさる悪である」
 臆病が悪を野放しにする。それは卑怯だ。保身である。正義の心を破壊する。
ウソはウソ、デマはデマと、断じて真実を叫ぶことだ。
 首相が、娘のインディラに送った手紙には、こう綴られている。
 「勇敢であれ! そうすれば、あとはすべてがついてくる」
 娘も後に首相となった。
 勇気が心にみなぎっている人間、勇気が背骨を貫いている人間――その強さ
がなくてはならない。勇気と慈悲は表裏一体である。勇気がなければ正義もな
くなる。勇気こそ仏法の真髄なのである。

■任用試験に臨む友を応援!
 一、現在、英訳御書の翻訳・編集作業も着実に続けられている。
 世界広宣流布の土台となる大事業である。永遠に残る聖業である。関係者の
皆さまに深く感謝申し上げたい。
 日蓮大聖人の仏法は、全人類の希望である。
教学部任用試験に臨む皆さまの健闘を、私は心から祈っている。

■九州よ模範たれ
 一、建治2年(1276年)7月26日、大聖人は「報恩抄送文」にしたた
められた。
 「この法華経は、釈尊の在世よりも釈尊の滅後に、また正法時代よりも像法
時代に、さらに像法時代よりも末法のはじめに、次第に怨敵が強くなり、弘め
ることも困難となるのである。このことさえ、よく心得ておられるならば、日
本国においては、この日蓮以外に法華経の行者はいないことを、だれもがわか
るのである」(御書330ページ、通解)
 濁りきった悪世において、法を弘めゆくことが、どれほど難事中の難事であ
るか。三類の強敵との闘争がどれほど熾烈であるか。
 その中で、蓮祖に直結し、御書の仰せ通りの難を受けながら、現実の社会と
世界へ広宣流布を遂行しているのは、学会しかない。三代にわたる創価の師弟
以外にない。
 この究極の正義に連なりゆく使命と福徳を自覚すれば、無量の力が出ないわ
けがない。仏意仏勅の学会を守れば、自分自身が諸天善神から守られるのであ
る。
 断固として祈り、断固として戦おう!
 結びに、
 堂々と
   世界に光らむ
        創価かな
と句を贈り、記念のスピーチとしたい。
 きょうは遠くからご苦労さま!
 とくに九州は本当によく頑張った。素晴らしい九州になった。知性と人格光
る優秀なリーダーが陸続と躍り出ている。新しい歴史を、思う存分、つづって
いただきたい。
 どうかお元気で! ありがとう! (大拍手)
(2003・7・26)