台湾・北海道・ドクター部合同協議会 下


◆◆◆《誠実》が友の心を開く
   《対話》が歴史を動かす
◆◆「幸福の大城」築く台湾SGI


 一、「対話」が人間を結ぶ。「対話」が歴史を動かす。
 この信念のままに、私は世界を駆けた。平和のために。不信や偏見の壁を打
ち破りながら。
 ソ連にも、中国にも、友好の橋をかけた。キューバにも、文化交流の道を広
げた。
 私は一庶民である。しかし、何も恐れない。大誡実で心を開き、平和を厳然
と訴えてきた。
 「声仏事を為す」(御書708ページ)である。
 正義を語った分だけ、社会ら変わるのである。


 一、きょうは、「仏法即社会」の大前進を続ける台湾SGI(創価学会イン
タナショナル)の林?(リンツァオ)理事長、林廷鋒(リンティンフォン)区長
も参加しておられる。
 台湾の同志は、本当によく頑張ってこられた。
 11回連続となる「社会優良団体賞」の受賞は、歴史に輝く快挙である。最
大にお祝い申し上げたい(大拍手)。
 このほど、私が代表して受章した台北市の名誉市民称号をはじめ、私どもに
贈られた数々の顕彰も、すべて同志の皆さま方に対する絶大な信頼と賞讃の証
である。
 世界の模範である。素晴らしい前進である。
 中国文化大学の「池田大作研究センター」の開設についても、関係者の方々
に、あらためて御礼申し上げたい。
 御聖訓には、「智者とは世間の法より外に仏法を行ず」(御書1466ペー
ジ)と仰せである。
 仏法の正しき軌道をまっすぐに進んでこられた台湾の友を、私は心から讃嘆
申し上げたい。
 中国革命の父孫文は革命闘争のさなか、「衆志は城を成す」と訴えている。
台湾の同志は、異体同心の「志」によって、社会から讃えられる、平和と幸福
の「大城」を築きあげられた。
 フランスの大哲学者アランは、つづっている。
 「魂の力というものは結果によって立証される」(串田孫一中村雄二郎訳)
 皆さまの偉大なる魂の闘争が、今日の台湾SGIの大発展に結実したと私は
確信してやまない。

■「健康の世紀」を
 一、また、このたびはドクター部の「健康推進医学者会議」の発足、おめで
とう! (大拍手)
 「生命の世紀」「健康の世紀」「医学の世紀」の最先端を進みゆく尊き陣列
に、世界の友も喝采を送っている。
 ドクター部の健闘は、まことに素晴らしい。
 昨年、ドクター部員が講師を務め、全国5400会場で行われた「健康セミ
ナー」「仏法セミナー」には、56万人もの方々が参加した。各地域から、深
い感謝と感銘の声が寄せられている。
 ドクター部の連帯は、世界に広がっている。台湾でも、ドクター部ならびに
芳杏会(ほうきょうかい=看護師のグループ)の皆さんの活躍が目覚ましい。
 ご存じのように、今年は台湾などで新型肺炎(SARS)が猛威をふるい、
残念ながら、多くの市民が犠牲となった。
 そのなかで、台湾のドクター部と芳杏会の皆さまは、懸命に治療と予防に献
身された。薬王菩薩のごとき尊き行動は、医療の現場から、地域社会から、最
大に賞讃され、感謝されている。
 スペインの哲学者オルテガは述べている。
 「人間なくしては使命は存在しないが、今われわれはこうつけ加えてもよい、
すなわち使命なくしては、人間は存在しないと」(会田由訳)
 皆さまこそ、「一騎当千」「一人当千」の偉大な使命と力をあわせ持った方々
である。どうか、その使命を一段と深く自覚していただきたい。

■患者こそ「君主」、国民こそ「君主」
 一、私は世界の医学者と対話を重ねてきた。
 世界的な心臓外科医でヨーロッパ科学芸術アカデミーの会長であるウンガー
博士とも、対談集の発刊に向けて意見の交換を続けている。
博士は言われていた。
 「私の言う『医師』と一は、全体性に立った人格の光る医師です。人間性
かな医師です。そして、何が重要で何が重要でないかを見極める、バランス感
覚のある医師でなければなりません」
 「(名医とは)『患者さんのために仕事をする人』だと思います。昼夜を分
かたず、患者さんのために働き、患者さんを擁護する人だと言えるでしょう」
 簡潔にしで本質を突いた洞察である。
 また、「『大臣(ミニスター)』の語源も『奉仕する者』の意味です」「同
じように、患者という『君主』に奉仕するのが、医師の役目であり、目的です」
とも語っておられた。
 指導的立場にある人間は、人々に奉仕するのが第一の責務である。
 博士の言葉を借りるならば、「政治家にとって、国民は君主である」「聖職
者にとって、信者は君主である」「教育者にとって、学生は君主である」とも
言えよう。
 民衆こそ「主人」であり、指導者は「奉仕者」なのである。その「主客」が
転倒し、逆転するところに、腐敗や堕落の元凶がある。
 戸田先生は、水滸会の会合で語られていた。
 「議会政治が始まったころ、明治時代の政治家は、自己の財産を投げ出して、
日本の政治に尽くした国士が多かった。現在は私利私欲を第一に考えるものば
かりだ」
 「"国家の金を自分の金と思っている"というのが今の政治家だという。政
治が乱れてはいけない。しかし、そのような悪い政治を作るのは、民衆にも原
因がある。だから政治屋は、民衆をどうだますかということが問題になってい
る」
 悪い人間にだまされないためには、民衆が聡明になり、強力に連帯していく
以外にない。
 ウンガー博士は強調されていた。
 「社会の安定と平和のためには、庶民全員が積極的に社会活動に参加してい
かねばなりません」
 社会のため、地域のために尽くす日々の学会活動は、平和と安定のために不
可欠の行動である。大いなる誇りをもって取り組んでまいりたい。

■心を癒すにはまず「聞く」こと
 一、ノーベル平和賞を受賞した「核戦争防止国際医師の会」の共同創設者で
あるラウン博士(ハーバード大学名誉教授)との対話も懐かしい。
 博士は「癒しの芸術」としての医療を呼びかけた。医療は「聞く芸術」とも
述べている。
 かつて、こう語っておられた。
 「ある統計によると、アメリカの医師は、患者が話を始めてから、たった1
8秒で話をさえぎってしまうといいます」
 「人の心を知るには、何よりも心から謙虚に接しなければなりません。
 細心の親切心をもって接し、自己防衛的になる必要はないと安心させてあげ
ることです。それを通して友情が結ばれれば、真の心の交流の道が開かれてい
くのです」
 まったく同感である。
 創価の同志は、友の幸福と健康を願いながら、心を開く対話を、真剣に誠実
に、そして粘り強く積み重ねている。
 ここにこそ、壮大なる「対話の芸術」の広がりがあることを、私たちは誇り
としたい。
 とりわけ、女性の活躍は素晴らしい。きょうは女性医学者の代表も出席され
ている。
 私が対談集『健康と人生』(潮出版社)を発刊した、モントリオール大学の
シマー前学長は、「コミュニケーションが上手な女性医師が多くなれば、患者
と医師の関係も、もっとスムーズになるでしょう」と言われていた。


◆◆社会に貢献してこそ健康に! 生命が躍動! 

■忙しいなかで人材は育つ
 一、対談集では、「健康」の定義も論じ合った。
 ある定義によれば、健康とは「肉体的に、情緒的に、精神的に、社会的に、
環境に対応していく持続能力」とされる。
 すなわち健康とは、単に「病気でない」という消極的な状態を言うのではな
い。生き生きと、ダイナミックに環境に働きかける生命の躍動のなかに健康の
内実があると捉えるのである。
 「幸福の第一条件は健康である。健康のためには、活動を第一とする。活動
は価値創造(創価)の活動でなければならない」とは、牧口先生の達見であっ
た。
 戸田先生は言われた。
 「人材を輩出するには、いそがしいことが大事だ。そうすれば組織が若返る。
その中で人材が養成されるのだ」
 広宣流布へ戦えば、健康になる。健康になるための活動なのである。

 一、イギリスの歴史家トインビー博士は、「挑戦」に「応戦」するなかで文
明が成長していくことを示された。
 一次元から論じれば、「健康」とは、人間や社会の諸問題に立ち向かう「応
戦」の力が発揮された状態といえよう。
 私たちが進める立正安国の広宣流布の闘争は、「人間の健康力」「社会の健
康力」「文明の健康力」を強めていく運動なのである。

■満々たる生命力で前進! 
 一、日蓮大聖人の仏法は「妙の三義」を説く。
 「開く」義。「具足・円満」の義。「蘇生」の義。これが生命の特質であり、
仏の特質にほかならない。
 それを敷衍(ふえん)すれば、「蘇生」とは身体が常に新しい局面に対応す
る発動性・創造性をそなえていることに通じよう。
 「具足・円満」は身体をダイナミックに調和させる全体性・統合性の働き、
さらに「開く」とは、生命に潜在的にそなわる力が開かれ、環境に働きかける
能動性を発揮していくことに通ずる。
 この生命の本然の可能性を解き明かしたのが妙法である。その可能性を最高
最大に発揮し、開いていく方途こそ御本尊への唱題であり、学会活動なのであ
る。
 「生命力の弱い者は、強いものに負ける」とは戸田先生の指導であった。私
たちは、強き信心で日々、生命力を満々とたぎらせて前進したい。

■広布に生きる福徳は永遠
 一、法華経の薬王品には、師匠(仏)と法華経の恩に報いるために、自らの
生命を捧げる薬王菩薩の闘争がつづられている。
 戸田先生は、妙法のために戦い、牢獄で殉教された牧口先生を偲び、こう言
われた。
 「先生は、法華経のために身命をなげうったお方である、法華経に命を捧げ
た、ご難の見本である。先生の死こそ、薬王菩薩の供養でなくて、なんの供養
でありましょう」
 これが、戸田先生の大確信であった。この崇高な師弟の精神に連なる私たち
であることを、忘れてはならない。
 薬王品にはまた、妙法を受持し、広布に生き抜く功徳が説かれている。
 「福徳は、無量無辺である。それは火も焼くことができず、水も流し去るこ
とができない。汝の功徳は、千の仏が、ともに説かれても、説き尽くしてしま
うことはできない」「百千という、もろもろの仏は、神通力をもって、ともに
汝を守護してくださる」
 法華経の行者を、諸仏・諸天は必ず守る。広布に生き抜く皆さまの福運は無
量であり、その福徳は永遠である。
 薬王品の釈尊の言葉を、大聖人は何度も引いておられる。「我が滅度の後・
後の五百歳の中に閻浮提に広宣流布して断絶せしむること無けん」(御書50
5ページ等)との有名な文である。
 この経文の通りに、日蓮大聖人の御遺命のままに、末法万年尽未来際の広宣
流布のために戦っている、ただ一つの団体が創価学会である。
 広布を担う皆さまは、この地球上で最も尊貴な指導者である。これを自覚す
るならば、喜びと力は倍増する。
 仏法では、この世界は「娑婆世界」であると説く。苦悩が充満した「耐える
世界」である。
 そのなかで広宣流布のために戦う福徳は子孫末代をも包む。これが仏法であ
る。幸福になる真髄の道はこれしかない。
 功徳は、現実に目に見える場合もある。すぐには目に見えない場合もある。
しかし「冥益」は厳然である。

■勇気と希望を「電光石火」で! 
 一、戸田先生は「学会において最前線が動いたならば、本部がピリッと感ず
るようでなければならない」と厳しかった。
 どうすれば、皆が一番力を発揮できるか。やりやすくなるか。どうすれば、
苦難に挑み戦う友に、勇気と希望を贈っていけるか――。
 そこに心を砕き、真剣に祈り、電光石火で手を打つのが、リーダーの責務で
ある。
 この一点を確認しあって、私のスピーチを結びたい(大拍手)。
(2003・10・4)