つれづれの詩(うた)

        池田 大作

誰人たりとも
最後の審判の日が
必ずやってくる。
人生は
その審判によって
勝者か
敗北者か
明確に決まる。
ともあれ
最終章の人生の一日は
その意義は
一年にも二年にも
通ずるであろう。
君は
一歩一歩と
険しい山を登りきり
嵐のように
栄光の喝采(かっさい)をあげる
勝利者だ。
我らを軽んじた
多くの罰に
追いかけられながら
苦吟しゆく
哀れな姿よ! 
彼らは
復讐も失敗。
諸天の神々が
高笑いしながら
彼の卑しさを
罵倒(ばとう)している。
勝利の我らは
大声をあげながら
朗らかな冗談を言い合い
新たな希望に向かって
楽しそうに
それは楽しそうに
おとぎの国の話を
語り合っている。
ある友は
立ち上がり
熱っぽく
歌を歌い始めた。
人生は
毎日が戦争だ。
大勢の人間が
自由競争の中で
勝ったり負けたり
泣いたり笑ったり
明け暮れている。
しかし
人間 誰しも
究極の幸福だけは
勝ち取るべきだ。
人生の最終の日々を
愉快に勝ち誇って
決着すべきだ。
彼は
野獣のように
嫌われながら生きる。
我らは
心気高き人間として
決して間違いを犯さず
快活に生き抜くのだ。
君よ
野卑(やひ)な連中とは
付き合うな! 
魂の乞食になるな! 
腐蝕した
兇暴な連中には
絶対に負けるな! 
君の心は
そして
君の貧しそうな家は
嵐を孕(はら)んだ大邸宅よりも
凄まじき稲妻に怯える
侯爵邸よりも
尊く美しいのだ。
生命の尊厳を
知りたる戦士は
遥かなる緑の木々も
そしてまた
遥かなる
広々とした海原も
大空を翔(かけ)ゆく
白雲の動きも
人間の王者として
晴れ晴れと
見つめているのだ。
多くの庶民が
流れゆく道々も
あの月の光も
あの天高く
夜空に輝く星々も
数限りなき
様々の変化する場面も
みな
私にとっては楽しい。
そして
愉快であり美しい。
君よ
何があっても悲しむな! 
君よ
何があっても負けるな! 
そして君よ
何があっても
生き抜くのだ! 
真実の人生には
名声などはいらない。
あの可哀想な
高望みなども
必要ないのだ。
賢明な君には
自分に相応しない
虚飾などはいらない。
何ものをも
飾る必要はないのだ。
自分は自分らしく
光りゆくことだ。
飾るのは
自分の心の輝きだ。

 二〇〇三年十一月二十日
 神奈川文化会館にて
    世界桂冠詩人