総県長会議での秋谷会長の話


幹部は徹して「個人指導」を「一人を大切に」こそ団結の基盤

 一、幹部の「励まし」として大切なことは、あくまでも「信心の指導」「信心の激励」でなければならない。励ます相手の信心を奮い立たせることもなく、ただ口先だけで「頑張れ、頑張れ」というのが「励まし」ではない。
 ゆえに、何よりも「家庭指導」「個人指導」に徹していくことが重要である。膝詰めの対話をし、一人ひとりの具体的な悩みをよく聞き、共にその悩みと真っ正面から向き合い取り組んでいく――そういう幹部の姿勢でなければ、揺るがざる信心の楔は、打ち込むことができない。
 一、また、個人指導では、相手が真剣に信心で立ち上がり、功徳を受けていけるかどうか、現証が出るのかどうかは、指導する側の確信で決まる。
 幹部は、激励した相手に「必ず功徳を受けさせてみせる」との強い一念で、悩みが解決して喜びの結果が出るまで面倒を見ていこうとの真剣さがなければならない。
 個人指導によって悩みが解決していけば、それはその人自身の喜びであるだけでなく、ブロックや地区、支部にも明るい波動が広がり、広布前進の原動力になっていくのである。
 組織における会員の絆といっても、この真剣な個人指導の積み重ねがあって初めて築かれたものである。
 この信頼の絆こそが、今日の学会の強固な団結の基盤となっていることを幹部は忘れてはならない。
 一、会合での指導も大切であるが、そうした「話」だけでは、生命に刻み込まれ、残るものが少ない場合がある。それに比べ、個人指導を受け、苦境を克服した体験は、絶対忘れない。その人の生涯の宝となって残っていく。
 ゆえに、いわゆる"会合型"の幹部になってはならない。「他人の体験」を伝える話も大事だが、それだけでは生命を動かす力にはならない。自分が人を励まし、個人指導をして結果が出た体験を語る幹部の話には、説得力があり、感動が伝わる。
 本部幹部会での中尾関西婦人部長の話でも、池田先生が、大阪で唯一の「村」であり、奈良との県境にある千早赤阪村まで歩みを運ばれ、一人ひとりへの激励に全力を注がれた話が紹介された。
 この歴史を「宝」として、個人指導、家庭指導に徹していこうという実践は、今の創価学会にとっても、活動の基本として最も大事なことである。
 全幹部が実践していかなければならない課題である。
 そうなれば「会合が多すぎる」という問題もおのずからなくなるし、幹部が、いわゆる「運営幹部」に陥ることもなくなる。
 一、幹部が地区に入る時は、決して「上から下を見下ろす」ような、威圧的、命令的に入ってはいけない。上から臨むという態度で入るような幹部は嫌われる。本部幹部以上の幹部は、皆、「地区を助け、支える存在」なのである。
 「皆が困っている難問を引き受けてくれた」「未活動だった人が、あの幹部のおかげで立ち上がった」「活動に参加するようになった」「聖教新聞を購読するようになった」と地区部長や地区婦人部長から喜ばれ、感謝される幹部でなければならない。
 また幹部は、あくまでも、「皆の力を引き出す」存在である。数で煽ったり、押しつけられたと感じたら、会員の本当の力は出ない。
 逆に、「一人」への信心の激励、信心指導がなされて、一人ひとりに功徳の喜びがあれば、どんなに厳しい状況も、かえって、挑戦の気概がわくものである。
 一、どこまでも一人の会員を大事にした時、創価学会は栄えていく――これは、常に池田先生がご自身の行動を通して教えてくださっていることである。
 私たち自身が個人指導、家庭指導に徹しながら、明年への活動のなかで、この先生のご指導通りの実践に取り組み、幹部のあり方の模範を示していきたい。
 この一年、本当にご苦労さまでした。明年1月、「新しい生命」「みずみずしい生命」でお会いし、創価完勝への大前進を開始してまいりたい。

(要旨。2003.12.10、創価文化会館で)