全国最高協議会での名誉会長のスピーチ〔4〕



◆◆◆ 世界一 創価の婦人部 晴ればれと
◆◆◆ 女性が未来をつくる
     ── 婦人部・女子部に感謝と尊敬を! そこに大発展の道
◆≪ヨーロッパ統合の父≫ 「時代を動かす世論は男性よりも女性」


【名誉会長のスピーチ】
 一、婦人部の皆さん、いつも本当に、ありがとう!(大拍手)
 全国の婦人部の皆さまに、最大の感謝を込めて、次の和歌を贈らせていただ
きたい。
  世界一
   創価の婦人部
     晴ればれと
   一千万の
      母の力よ

 一、母の力は偉大である。
 女性の声に、真剣に耳を傾ける。
 女性の意見を、最大に尊重する。
 これからの時代は、一段とその流れを強めていかねばならない。
 そうしなければ、どんな社会も、どんな団体も、必ず行き詰まる。学会の組
織にあっても、同様である。

◆最強の力は世論
 一、女性の視点は鋭い。決して軽視してはいけない。
 私が対談集を発刊した"欧州統合の父"クーデンホーフ・カレルギー伯爵は、
「今日存在する最も強い政治力は、機関銃でもなく、銃剣でもなく、世論であ
る」(鹿島守之助訳『クーデンホーフ・カレルギー全集5』鹿島研究所出版会)
と述べた。そして、「世論」をつくる「女性の使命」について、次のように語
っている。
 「明日の世論の構成、すなわち、将来を担う若い人々の意見の構成について
は、男性よりも女性のほうが多く関与しているのである」(同)と。
 伯爵がとくに着目したのは、母親が子どもに与える影響であった。
 女性が未来に及ぼす影響力は、はかりしれない。
 「女性が未来をつくる」と言っても過言ではない。
 学会は、婦人部・女子部を心から大切にし、尊敬しながら、仲良く団結して
前進してまいりたい(大拍手)。

◆「女性尊重」が学会の大原則
 一、広布のために活動してくださる女性が、どれほど尊いか。
 とくに婦人部は、家事や育児、家族の世話、仕事、近隣とのお付き合い、学
校や地域のさまざまな活動など、本当に忙しい。その中を、広布のため、同志
のために、一生懸命、頑張ってくださっている。
 折伏、聖教の拡大など、あらゆる活動に、ほかのだれよりも真剣に取り組み、
結果を出しているのは婦人部である。聖教新聞を配達してくださるのも、多く
が婦人部の方々である。
 男性の幹部は、そうした女性たちに、深々と最敬礼する思いで接していくの
だ。
 かりにも、婦人部や女子部を叱ったり、軽んじたりすることは、絶対にあっ
てはならない。
 未来のために、厳しく言っておきたい。
 婦人部・女子部を根本的に大事にする。これが、学会の大原則である。

◆◆ 誠意で人を育てよ
◆≪唐の名君≫
     いつの時代にも、すぐれた人材はいる 耳や目を広く開いて探し求め
るのだ

◆「原石(げんせき)」を探せ
 一、再び、中国の古典『貞観政要(じょうがんせいよう)』に学びたい。
 「平和な国家を作り出す根本は、ただ、立派な人材を得ることにある」(原
田種成著『新釈漢文大系第95巻』明治書院。以下同じ)
 唐の名君・太宗(たいそう)は、この信念で、天下に人材を求めた。
 太宗は臣下に対して、「我の心配を助け、耳や目を広く開いて、すぐれて才
知のある人物を捜し求めるべきである」と語っている。
 太宗は、民を思い、国の将来を真剣に考えていた。しかし、その深き心を知
り、主君の「耳」や「目」となって、人材を育成しようとする臣下は少なかっ
た。
 主君の命にもかかわらず、臣下たちは、全然、
人材を連れてこない。そのことを憂える太宗に、ある臣下は、こう言い訳した。
 "懸命に探していないわけではないのです。ただ、すぐれた人物が見当たら
ないのです"と。
 これに対し、太宗は言った。
 「いつの時代でも賢才がないということがあろうか。ただ、(あたら有為の
賢才がいるのにもかかわらず)それを取り遺(のこ)して、知らないというこ
とを、いちばん心配するだけであるぞ」と。
 どの時代にも、すぐれた人材は必ずいる。問題は、人材を見つける側にある。
人材を育てる側にある。
 責任感のない人間に、人材は見つけられない。自分中心の利己主義では、人
材を育てられない。
 「宝玉というものは、立派な素質があっても、石の間にあって、良工によっ
て磨かれるということがなければ、瓦や小石と区別がない。もし、良工に出会
って磨かれれば、万世までの宝物となる」 ── これも、この大指導者の言葉
である。
 初めから、完成された人材などいない。
 ダイヤモンドは、磨かなければ、硬い石にすぎない。
 〈ダイヤが美しい宝石として知られるようになったのは15世紀頃。ダイヤ
をダイヤで磨く方法が発見されてからと言われる〉
 どんな人材も、初めは「原石」である。
 人間を磨く最高の存在 ── それが「師匠」である。

◆「一人」に光を
 一、名君・太宗は、一人一人の人材を何よりも大切にした。自ら動き、心を
砕いて、臣下の労に報いた。
 あるときは、戦った兵士たちが到着するのを、わざわざ門のやぐらに登って
迎え、いたわり、ねぎらった。
 一人の臣下が病気になって歩けなくなったと聞くと、そばに招き、どこが苦
しいかを直接尋ね、医者に命じて治療させたという。
 こうした振る舞いに接した人々は、深く感動し、喜んで太宗のために働こう
と願った。
 『貞観政要』には、"誠意を尽くせば遠く隔(へだた)った人も親密一体と
なり、傲慢(ごうまん)になれば肉親さえも赤の他人となる"とある。
 人は本物の「誠意」に触れたとき、心を開く。策や要領で、心はつかめない。
 一、太宗は、次の3点を努力して実行していたという。
 一には「前代の(帝王の)失敗の事を手本として戒めとする」こと。
 二には「善人を進め用いて、共に良い政治を完成」すること。
 三には「多くの小人(しょうじん)どもを退けて、讒言(ざんげん)を聞き
納(い)れない」こと。
 広布の指導者である皆さんは、この3点について、よくよく思索していただ
きたい。

◆戸田先生「私の教学は戦う教学」
 一、リーダーは、確かな哲学を持たなければならない。
 「哲学不在」は、日本社会の根本間題である。
 私たちは、日蓮大聖人の仏法という、最高の生命哲学を学んでいる。幹部の
皆さんは、毎日少しずつでも、真剣に教学を研鑚し、御書を心肝に染めていっ
ていただきたい。
 教学を学ぶ際に、"ホシ"を外してはならない。
 戸田先生は、要点を忘れて枝葉の論議に走る教学を戒められ、四条金吾を例
にあげて、こう語られた。
 「きちっとした教学をしっかりと身につけていきなさい。中務三郎左衛門尉
が一人であったか、二人であったかなどということは、戸田には何の関係もな
い。私の教学は、四条金吾がどのように信心をしていたか、大聖人が信心につ
いて、どのように教えられ戦われたか、という戦う教学だよ」
 先生の教学は、どこまでも「実践の教学」であった。「師弟の教学」であり、
広宣流布の教学」であった。


◆≪ヴァイゼッカー大統領≫
     若い人は控えめになるな どしどし、ものを言おう!

◆地方の指導者に最良の人材を
 一、『貞観政要』には、太宗が、各地方の民衆の暮らしを、どれほど真剣に
考えていたかが記されている。
 「我は、毎夜、いつも人民のことを考え、時には夜半になるまでも寝つかれ
ないことがある」
 この責任感こそ、指導者の条件である。
 これこそまさに、戸田先生のご心境であった。そして先生の後を継いで、世
界広布の全責任を担った私も同様である。
 "あの地域は大丈夫だろうか"
 "あの人は、元気になっただろうか"
 "あの地方に、どのような激励の手を打てばよいだろうか"
 "未来を盤石にするために、今、何が必要だろうか"
 太宗の心も、そうした思いで、つねに占められていたに違いない。
 この名君は、「地方」の指導者を重視した。
 "地方の指導者は、本当に国家の治乱(治まることと乱れること)に関係す
る重要な職責である。ゆえに、多くの臣下の中でも、最もそれにふさわしい良
い人物を得なければならない"という考えであった。
 民衆と触れ合うことの少ない、位の高い指導者よりも、地域に密着し、人々
の現実の生活に根差して働く地方の指導者が、どれほど大切か。
 私が対談したドイツのヴァイツゼッカー大統領は、「公正な社会」を実現す
るうえでの、「地方」の重要性を、こう指摘している。
 「市町村では隣人がどのような生活をしているかが分かるため、政治家はで
きもしない公約を並べることはできない。地方政治こそが民主主義を育てる学
校と言える」(1999年5月7日付「毎日新聞」)
 これは、すべての社会に当てはまる方程式ではないだろうか。
 大統領は、「人生には妥協はつきものだが、政治家や年配者は情けない妥協
をしてしまいがちだ。だが、若い人々は控えめにならず、どしどしものを言っ
てほしい」(同)とも語っている。
 私は青年部に、「正義の声を上げよ! 庶民を愚弄する指導者の傲慢を許す
な! 」と、強く申し上げたい。

◆「創価の女性が世界をリード」
 一、学会婦人部の草の根の平和行動に、未来への希望を感じている識者は多
い。
 中国・福建師範大学の鄭一書(ていいっしょ)副学長は、真心こもるエール
を送ってくださった。
 「今日、創価学会婦人部は、世界の女性運動の先頭に立って、『平和の道』
『文化の道』『教育の道』を邁進(まいしん)しておられます。まさしく、『女
性の世紀』『人権の世紀』をリードする中核的存在であることは世界が認める
事実であります」
 婦人部・女子部の皆さまが広げている友情の連帯は、世界の平和につながっ
ている。大いなる未来につながっている。
 そのことを深く確信していただきたい(大拍手)。
 〈福建師範大学は、2001年6月、池田名誉会長、香峯子夫人に、それぞ
れ「名誉教授」の称号を贈った。
 先月のタイ国立メージョー大学「名誉管理学博士号」で、名誉会長が受けた
名誉学術称号は、198に。
 これは、世界に比類なき栄誉である。
 6月に「名誉人文学博士号」を贈った米・南イリノイ大学力ーポンデール校
のラリー・ピックマン教授は、名誉博士号の授与について、「この決定は単な
る表彰ではなく、大学総長をはじめとするさまざまな大学関係者、さまざまな
委員会が決定に関わり、厳密な審査を慎重に重ねました。しかしながら、議論
に時間を割く必要はまったくありませんでした。池田会長の人類への貢献は、
圧倒的であったからです」(「潮」8月号)と語っている〉

◆我らは行動主義
 一、アメリカの人権運動の指導者・キング博士の母校であるモアハウス大学
キング国際チャペルのカーター所長は、次のような声を寄せてくださった。
 「世界中のSGIの皆さまとの交流を通して、私が一番感銘を受けたのは、
どこの国であってもメンバーの方々が、楽観主義、積極的な行動主義の精神を
貫き、行動されているということです」
 「利潤追求が何より優先される現代社会ではありますが、SGIの皆さまの
ような行動こそ、我々が求め、世界に満ちあふれさせなければならない真の
"宝"であります」
 世界の識者は、私たちの前進に強く期待してくださっている。
 全国、そして全世界のあの地この地で、広宣流布を目指し、信念に生きゆく
創価の同志こそ、「世界の真の宝」なのである。
 ますますの誇りに燃えて、勇敢に行動を起こそう! (大拍手)

                         (2006・8・1)