関西・九州・中国・四国合同研修会〔上〕


◆◆◆ 指導者よ[自身の人間革命]を
◆◆◆ 青年よ[正義が活社会]を
      ── 権力は必ず腐敗 = 民衆が正せ! 叫べ!


【名誉会長のスピーチ】
               ◇
 池田名誉会長は孟蘭盆(うらぼん)「をめぐる語らいに続き、7日から行われた関西・
九州・中国・四国の合同研修会でスピーチした。

 一、きょうは、関西、九州、中国、四国の同志に集っていただいた。多忙ななか、ご苦労さま! 
 ありがとう!
 私は、全国の同志の奮闘、活躍を、逐一(ちくいち)、よくうかがっている。下半期もまた、楽しく進んでまいりたい。

◆戦争は絶対悪
 一、8月といえば、終戦のころを思い出す。あれから61年になる。
 終戦の日 ── 昭和20年の8月15日前後に、どこで、何をしていたか。
 そのときの話を、周囲の年配の方々に聞くだけでも、あの戦争によって、どれだけ多くの家庭が、はかりしれない苦しみを味わったかがわかるだろう。
 空襲で逃げまどい、家を焼かれ、疎開する。引き揚げで家族がバラバラになる。肉親を失う。
 シベリアに抑留(よくりゅう)される。戦地から復員しても、病気になって早逝(そうせい)した人もいる。
 数え切れない悲しみの慟哭(どうこく)が、アジアを覆い、世界を震わせた。
 戦争を知らない皆さんは幸せだ。戦争ほど悲惨なものはない。
 戦争は絶対悪である。
 断じて二度と繰り返すな! この誓いを新たにしたい。そのための人間革命運動であるからだ。

◆恩師の心をわが心として
 一、戸田先生の指導は、実に厳しかった。
 「愚か者に広宣流布の指揮は執(と)れぬ!」
 「打てば響くような人間になれ!」 ── 厳愛の薫陶を受けながら、広布のため、友のため、戸田先生とともに国内のさまざまな場所を訪れた。
 日本で、そして世界の各地で、戸田先生の心をわが心として、多くのドラマを綴ってきた。
 そのなかでも、やはり関西での思い出は、ひときわ深い。
 昭和32年(1957年)7月。私は、理不尽な冤罪(えんざい)によって大阪府警から任意出頭を求められ、北海道から羽田を経由して、大阪に向かった。
 北海道で、大阪で、魔性の権力が学会に襲いかかっていた。その渦中だった。
 羽田空港には、戸田先生が来てくださっていた。先生は、涙を浮かべて私に語られた。
 「もしも、お前が死ぬようなことになったら、私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒に死ぬからな」
 私は、魂を揺さぶられた。いつの時も、あまりにも偉大な先生だった。
 先生は、折に触れて言われた。
 「末法仏道修行とは、人々が一緒に並んで、一緒に手を組んで、一緒にかけ声をかけながら、勝ち進んでいくのだ!」
 私は、恩師の言葉どおりに、愛する関西の同志とともに、常勝の歴史をつくってきた。
 この11月には、「関西池田記念会館」が完成する予定である(大拍手)。
 今後、全国の法城(ほうじょう)を、学会の発展とともに、さらに充実させていく。
 会員の皆さんに喜んでいただけるように、立派に整備していきたい。

◆時代遅れの幹部になるな
 一、私は、牧口先生、戸田先生の言論、指導を、できるかぎり記し、残してきた。
 尊き広布の同志が、何が起ころうとも微動だにしない。その基盤を今、万代の未来のために、つくっておかねばならない。
 仏法は厳しい。ゆえに、本当のことを言っておきたいのである。
 真実を語る空気がなければ、組織はだめになってしまう。
 リーダーには、「何でも言える雰囲気」「何でも語り合える環境」をつくる責任がある。
 その意味において、恩師の指導を何点か確認しておきたい。
 戸田先生は語られた。
 「時代遅れの幹部になるな。幹部自ら勉強し、成長し、『人間革命』していくことだ。そして同時に、新しい時代を創っていく、若い幹部を登用し、バトンタッチしていかねばならない」
 リーダーは、硬直した、古い考えになっては、だめだ。自分自身が変わり続けることだ。
 常に、新鮮味のある生命で、笑顔で、真心で、会員の皆さんに接していただきたい。
 また、先生は次のようにおっしゃっていた。
 「ずる賢く、威張り散らすのは悪い幹部だ。人と接する誠心誠意の真心がわからない」
 「幹部の地位を利用して、女性を叱るのは、野蛮人のすることである。野蛮人は人間ではない。そういう人間は、断じて学会の世界に入れてはならない」
 「威張る幹部、礼儀を知らない幹部、誠意のわからない幹部、慈愛のない幹部、生意気な幹部、すぐに人を軽蔑し叱る幹部。
 そんな幹部には、女性が中心となり、厳重な措置を求めていただきたい」

◆信心のある人を讃嘆せよ!
 一、学会員は、仏法の眼からみれば、「全員平等」である、
 学会の世界において“偉い人”とは、“役職の高い人”などではない。
 偉いのは、折伏をやった人であり、わが地域に、立派な団結と幸福の組織をつくった人だ。
 要するに、信心のある人、学会精神を大事にする人が偉いのである。その方々を讃嘆すべきである。それ以外の、どんなごまかしや妥協も、峻厳なる仏法の前では空しい。
 この一点をリーダーがはき違えると、人の心がわからない、冷酷な人間が増えてしまう。
 「幹部だから偉い」などと考える人は、心が硬直してしまっているのだ。
 創価学会は、学会員のためにある。ゆえに最高幹部は、学会員の“僕(しもべ)”として、全力で動くことだ。
 一、戸田先生は、政治家に対しても、実に厳しかった。
 「一生懸命、支援してくれた学会員を裏切り、学会を裏切り、私利私欲に走って、悪名を三世永遠の歴史に残しては絶対にならない」とおっしゃっていた。私も全く同じ思いである。
 いかなる組織であれ、権力は腐敗するものだ。
 そのときは、民衆が悪を正し、叫ばねばならない。戦わねばならない。
 一、「信心を根本として、団結してやっていけば、失敗はない」。
 これも戸田先生の大確信であった。
 牧口先生は、「戦えば戦うほど、そして強くなればなるほど、仏法勝負の実証は、早く出てくる」と訴えられた。
 信心を根本にしなければ、戦いは空転する。浅知恵になる。
 逆に、信心が根本にあれば、すべてを生かすことができる。勝利のリズムをつくりだせる。

◆会合は遅くならないよう
 一、女性の会合のあり方について、戸田先生はおっしゃっている。
 「婦人部、女子部の方々は、たとえ会議などがあったとしても、夜遅くならないよう、注意していただきたい。なるべく早く、家へ帰っていただきたい。男性幹部は、細心の配慮を忘れてはならない」
 会合は、時間厳守である。ダラダラとした会合をやってはならない。
 早く終われる時には、パッと終わり、早く休むことも必要だ。
 また、会合が終わった後の打ち合わせなども、なるべく短時間ですませられるよう、中心者は考えていただきたい。
 特に、婦人部、女子部の皆さんが絶対無事故で楽しく活動できるよう、心を砕いていくことだ。

◆「新しい戦い」で「新しい歴史」を
 一、この夏、新たな青年部リーダーが誕生した地域も多い。
 戸田先生は、懇談会の席上、言われていた。
 「大人というのは、人が成功した後を追っていく。保守的だ。
 青年は革新的でなければならない。時代に生き、新しいものを求めていくところに若さがあるのだ」
 また、「戦いというのは、最後は『本当に楽しかった』と言えるまでやらなければならない。そうでなければ、本当の戦いとはいえない」とも語られていた。
 今、学会は、創立80周年を目指して進んでいる。青年部も、重大な、新しい出発の時を迎えている。「新しい人」が、「新しい戦い」で、「新しい歴史」を創る時なのである。
 特に男子部の皆さんには、「男がひるめば男ではない。覚悟の信心に立て! 覚悟の人生を生きよ!」との戸田先生の言葉を贈りたい。
 またある時に、先生は聖教新聞の使命を語られた。
 「聖教新聞には、幸福への道が書いてある。仏法の眼から、社会の現象を、どうとらえていけばよいのかも書いてある。このような新聞は、他にはないのです」
 読者に無限の勇気と希望を与え、仏敵を徹して破折する。これが聖教新聞の真骨頂(しんこっちょう)である。

◆個人の力が偉大な出発点
 一、現在、私は、ブラジルの著名な天文学者モウラン博士と語らいを続けている。
 〈対談は『第三文明』10月号から連載開始の予定〉
 博士は述べておられる。
 「行動し始める時、創造のための活動を行う時、自動的に周りの環境の変化が始まります。
 それは大きな出来事でも、家庭や地域や町などの小さな範囲の出来事でも同じです。
 すべては個人から始まります。個人は偉大な出発点です」
 「個人は偉大な出発点」 ── その通りだ。
 広宣流布もまた、「一人の人間革命」が出発点である。一人の行動が、大きな変化、偉大な発展につながる。
 リーダーは、その「一人」になることだ。また、そうした「一人」を鋭く見いだし、励まし、最大に讃えていくのである。
 「青年・躍進の年」の本年も、折り返し点を過ぎたところである。
 残暑は、まだまだ厳しい。聡明な「信心即生活」で、朗らかに進んでまいりたい(大拍手)。

                  (2006・8・7)