北海道・東北・中部・北陸・信越合同研修会〔下〕
◆◆◆ 学会は人材の城で勝て
◆◆≪戸田先生≫ 青年を育てよ! 指導者をつくれ!
── 新しき広宣流布の夜明けを
【名誉会長のスピーチ】
一、この研修会には、東北の代表が参加してくださっている。
東北といえば、かつて戸田先生と仙台を訪問したことが忘れられない。
1954年(昭和29年)の4月。
私は恩師とともに、新緑輝く青葉城址(あおばじょうし)を訪れた。意気盛んな、東北
の青年たちも一緒であった。
幾百年の歴史を見つめてきた青葉城址を仰ぎながら、先生は厳然と叫ばれた。
「学会は、人材をもって城となすのだ。断じて、人材の城を築くのだ!」
あの凛(りん)たる声は、今も私の胸奥(きょうおう)に響いている。
戸田先生は、「人材の育成」「青年の育成」に全力を注がれた。
「人材は、見つけて、育てるものだ」
「退嬰的(たいえいてき)、保守的な組織になってはいけない。人材が、どんどん抜
擢されるような、生き生きとした組織でなければならぬ。学会は人材で築かれた城な
のだ」
これが先生の信念であった。
牧口先生も“何よりもまず同志の人材を揃えるのが先決間題”と述べられた。
広宣流布といっても、一切は人で決まる。学会の未来もまた、新しき人材に託す以
外にない。
「人間をつくることだ。指導者をつくることだ。
味方をつくることだ。
味方をつくったこと自体が、一切の勝利につながるのだ」 ── 戸田先生は、こうも
語っておられた。
人材の育成も、味方を増やす戦いも、その要諦は、人と「会う」ことである。
直接会って、相手のことを知っていく。意見に耳を傾ける。
真剣に、誠実に語っていく。
それでこそ、新たな拡大のうねりを巻き起こしていけるのである。
◆心の叫びを声に
一、北陸の友は、はつらつとした対話で、地域に信頼と希望を広げている。これこそ
模範だ。
人生の勝負は、最終章で決まる。
たとえ年は取っても、心まで老け込んでしまってはいけない。
「声仏事を為す」(御書708ページ)である。
リーダーは、言葉一つ、返事一つにしても、漫然と発していてはだめだ。自分の心の
叫びを、声にしていくのだ。
また、例えば会合の役員の方にはい駆け寄ってお礼を言うとか、ねぎらいの言葉を
かけるとか、心を「振る舞い」に表していくことが大切だ。
本当なら、直接、私が全同志にお会いして、一人一人にお礼をしたい。励ましを贈り
たい。それが私の思いである。
リーダーは、その心を「わが心』として、大切な創価の同志に接していただきたいの
だ。
戸田先生は宗教が広まる要件の一つとして、その宗教を実践する人が「人間的に
尊敬される」ことを挙げておられた。創価の連帯が世界190力国・地域に広がったの
も、この指導通り実践してきたからだ。
どんなに法が正しくても、人間として立派でな
ければ、だれにも信用されない。
どうか皆さまは、学会の同志からも、また地域の方々からも、慕われ、尊敬される存
在であっていただきたい。
一、戸田先生は言われていた。
「模範的な信行に励んできた方々は、『仏の使い』として、最大に尊敬し、大事にす
ることだ」
そうした方々に対し、「いつもありがとうございます」とお礼を言う。お辞儀をする。心
からの感謝と敬意をもって接していく。
それでこそ、本物のリーダーである。
◆◆ 大聖人の民衆救済の大情熱に学べ
── 教学がさらに信心を深める
── 青年部教学試験2級 がんばれ!
◆信行学は一体
一、10月1日には、青年部の教学試験2級が全国で行われる。
仕事や活動で多忙な中、教学の研鑚に取り組んでおられる方も多いと思う。
本当に尊いことだ。全受験者の皆さまのご健闘を、心からお祈り申し上げたい(大拍
手)。
かつて戸田先生は、御書を拝読する姿勢について、「民衆救済の大確信と、燃ゆる
がごとき大聖人の情熱が、御書の根底をなしていることを読み取っていきなさい」と指
導しておられた。
御書を通して、日蓮大聖人の御精神に肉薄する ── そうした研鑽であっていただ
きたい。
また先生は、「教学も折伏も、すべて信心が根本だ。この根本から生まれた行学が、
また信心を強くする」とも述べておられた。
信行学は一体だ。信心を根本に行学に励んでいくことで、さらに信を深めていくこと
ができるのである。
◆「経験に頼る前に御本尊に頼れ」
一、戸田先生は、歴史上の人物を通し、さまざまなことを教えてくださった。
ある時は、天下を取った徳川家康を通し、こう語っておられた。
「信長、秀吉、家康の3人の中で、果報(福運)は家康が一番もっていた。この果報
ばかりは、人間の力ではどうしようもない。だから信心しなければ解決されないのであ
る」
努力や才能だけで、成功できるとは限らない。ましてや幸福になれる保証など、どこ
にもない。
自身の宿命を転換し、福運をつけていく。努力を全部、生かして、永遠に幸福になっ
ていく ── そのためには信心が絶対に必要なのだ。
また、先生は「大聖人の仏法を『妙法』という。『妙法』とは、人智を超えた力である」
と力説しておられた。
先生の確信は、それはそれは、すさまじかった。その大確信に触れて、多くの人々
が奮い立った。絶望の淵から立ち上がり、希望に燃えて、幸福への大闘争を開始した
のである。
「経験に頼る前に、御本尊に頼れ! まず、祈ることだ。それでこそ、経験も生きてこ
ようというものだ」
これも、戸田先生のご指導である。
御聖訓には、「我が弟子等、試みに法華経に説かれている通り、身命も惜しまず修
行して、このたび仏法が真実であるか否か試みてみよ」(御書291ページ、通解)と仰
せである。
もし仏法を疑うのであれば、自らこれを試してみなさい。真に仏法を行ずるなら、偉
大な功徳があることは絶対に間違いない ── 大聖人は、こう断言しておられるので
ある。
また、御書には次のように仰せである。
「ただあなたが仏になろうと思うならば、慢心のはたほこ(軍の指揮に用いる旗)を倒
し、忿(いか)りの杖を捨てて、ひとえに一乗の法華経に帰依しなさい。
名聞名利は今生(こんじょう)だけの飾りであり、我慢(がまん=我を傲り他を軽んず
る)や偏執は後世の成仏を妨げる足かせである」(463ページ、通解)
慢心や、偏った考えへの執着は、成仏への妨げとなる。大聖人の仰せの通りに、純
粋な信心を貫いていくその人が、成仏への直道(じきどう)を歩んでいるのである。
◆どんな強敵(ごうてき)が来ても退くな!
一、1957年(昭和32年)2月、中部の大発展を心に期しつつ、私は戸田先生に一
首を捧げた。
いざや起て
いざや築けと
金の城
中部の堅塁
丈夫(ますらお)勇みて
先生は、即座に返歌(へんか)を詠んでくださった。
いざや征け
仏の軍は
恐れなく
中部の堅塁
立つは楽しき
中部の友は、嵐のごとき幾多の難を乗り越えてこられた。すべてに勝利してこられ
た。
先生は言われた。「広布の道とは、険しい山を毎日歩むようなものだ。想像もつかな
い留難(るなん)も多くなるだろう。この試練を経なければ、本格派の革命児にはなれ
ない」
試練を勝ち越えて、今、大中部には堂々たる創価の堅塁城がそびえ立っている。
また、「如説修行抄(にょせつしゅぎょうしょう)に『いかに強敵重なるとも』と仰せであ
る。この決心なくして、信心のリーダーとはいえない」と。
広布の途上に法難が起こるのは必定である。それと戦わずして、真の指導者とはい
えない。
先生は、こうも語られた。
「広宣流布は大地を的とするなるべしとは、大聖人の御金言である。ゆめゆめ、途
中で退(しりぞ)きたもうな! 日本中、世界中を寂光土(じゃっこうど)にするもしない
も、ひとえに創価学会にかかっている」
今、創価の人間主義の運動に、全世界から期待が寄せられる時代に入った。
人類の未来を開きゆくのは我ら! ── この気概で、威風も堂々と進みたい(大拍
手)。
◆自らの行動で歴史をつくれ
一、御書には「陰徳あれば陽報あり」(1178ページ)とある。
だれも見ていないところで、皆を支える。
学会のために、黙々と働く。その人こそ本当に尊い。
陰徳を積めない人間は偉くなれない。これが多くの人を見てきた私の結論である。
ロシアの文豪ゴーリキーは「人間が残せるものは、行いのみ」と綴った。
大切なのは行動だ。
わが広布の歴史を、どう築き残していくかだ。
戸田先生は厳然と叫ばれた。
「蓮祖の御聖訓である『広宣流布』に戦い続けた人が、菩薩であり、仏である」
また、こうも言われた。
「自分たちの努力で地区をつくり、支部をつくった者が偉いのだ」
できあがった組織の上に乗っかり、あぐらをかくような幹部であってはならない。
不惜身命(ふしゃくしんみょう)で戦うのだ。自らの行動で組織を拡大し、わが地域に
偉大なる広布の城を築いていくのだ。
◆大満足の人生を
一、私が親交を結んだ一人に、ハーバード大学名誉教授のバーナード・ラウン博士
がいる。核戦争防止国際医師会議の共同創設者で、ノーベル平和賞を受賞した博士
は、こう述べておられる。
「人に尽くしてこそ生きがいは生まれます。生きがいは一人ではつくれないのです」
味わいのある言葉だ。
わが友の悩みに耳を傾け、励ましを贈る。同志の幸福を真剣に祈っていく。
人々に尽くしゆく学会活動こそ、最高の生きがいが輝く、充実と満足の道なのであ
る。
牧口先生は訴えておられた。
「この実社会でいろいろな面で苦労も喜びもあろうが、人間、後になって悔いのない
人生を送らなくてはいけない」
どうか皆さまも、悔いのない、大満足の人生を生き抜いていただきたい。
そのための信心であり、学会活動である。
新しき「広宣流布の夜明け」へ、ともどもに、大胆に、そして朗らかに前進していこ
う!
どうか、北海道、東北、中部、北陸、信越の各方面に戻られましたら、わが愛する同
志の皆さまに、くれぐれもよろしくお伝えください。
きょうは本当にありがとう!(大拍手)
(2006・8・21)