創立記念日祝賀協議会〔上〕

さあ前進! 昇りゆく太陽と共に!
リーダー自身が「人間革命」せよ


【名誉会長のスピーチ】
 一、栄光燦(さん)たる学会の「創立の月」、おめでとう! (大拍手)
 全同志の尊き健闘ありて、わが創価学会は、すべてに勝って、創立76周年の「11・
18」の佳節(かせつ)を、最高に晴れ晴れと迎えることができます。
 本当にありがとう!
 本当におめでとう!
 日本全国、そして全世界の同志のさらなるご健康とご長寿、ご尊家のご多幸とご繁
栄を心から祈りつつ、祝賀のスピーチを留めさせていただきたい(大拍手)。

◆異体同心が永遠の指針
 一、有名な「諸法実相抄」に仰せである。
 「日蓮一人はじめは南無妙法蓮華経と唱へしが、二人・三人・百人と次第に唱へつ
たふるなり、未来も又しかるべし、是あに地涌の義に非ずや」(御書1360ページ)と。
 この「地涌の義」の大法則通りに、今、新しい人材が続々と使命の大地に躍り出て、
新しい力を発揮しながら育ってきている。
 これほど、うれしいことはない。
 創価学会の前途は、太陽が赫々(かっかく)と昇りゆくように、限りなく明るく開かれ
ている。
 先輩は、伸びゆく後輩を大切にすることだ。
 後輩は、先輩のよいところを見習って、大いに力をつけていくことだ。
 「異体同心なれば万事を成し同体異心なれば諸事叶う事なし」(同1463ページ)
 この永遠の指針のままに、学会は「異体同心」で団結していくことだ。
 全員が尊き使命を持った地涌の菩薩である。
 全員が偉大なる広宣流布の同志である。
 我々には何一つ、差別はないのである。
 なかんずく、牧口常三郎先生は、「下から上を動かせ」と常々、教えられた。
 「上から命令を押しつけるのではない。下からの意見をどんどん聞いて、いかしてい
くのだ」 ── これが、先生の正しい価値観に基づいた組織論であった。
 その通りに実践してきたから、学会は常に活力を漲(みなぎ)らせながら、発展して
きたのである。これからも、この鉄則を絶対に忘れてはならない。


◆◆ 「日蓮が如く」が創立の原点
◆◆≪戸田先生≫ 「信心は大聖人の時代に還れ! 」
   ── 三代の師弟は「不惜身命」で勝った!

◆如説修行の人を諸仏・諸天は守る
 一、戸田城聖先生は遺言として、「信心は日蓮大聖人の時代に還(かえ)れ! 」と
言い残された。これが、戸田先生の叫びであられた。
 創価学会の「創立の原点」とは、まさしく「大聖人の精神」に立ち返ることである。
 ここに、初代、2代、そして3代の創価の師弟を貫く魂がある。
 御聖訓には、「総じて日蓮が弟子と云って法華経を修行せん人人は日蓮が如くにし
候へ、さだにも候はば釈迦・多宝・十方の分身・十羅刹も御守り候べし」(同989ペー
ジ)と説かれている。
 この「日蓮が如く」との仰せを違(たが)えず、創価の三代は「不惜身命」「死身弘法」
の決心で、「三類の強敵」「三障四魔」との大闘争を勝ち越え、「悪口罵詈(あっくめ
り)」「猶多怨嫉(ゆたおんしつ)」の大難を乗り越えてきた。
 だからこそ、釈迦・多宝・十方の諸仏の守護も厳然と現れたのである。
 無量無辺の諸天善神も、じっとしてなどいられない、創価の師弟の如説修行の戦い
であったのだ。

◆師匠の大恩(だいおん)
 一、仏法の根幹は「師弟」である。
 戦後、事業が挫折し、絶体絶命だった戸田先生を、青春の一切を捧げてお守りした
のは私である。
 先生は、その私に第3代を託し、全身全霊で育ててくださった。
 先生が、病弱だった私をどれほど心配され、どれほどの思いで御本尊に祈ってくだ
さったか。その大恩は計り知れない。
 私は戸田先生の弟子である。
 その誇り高き自負を抱(いだ)いて、師匠のため、学会のため、広宣流布のために、
あらゆる難を一身に受けながら、あらゆる批判に耐えて、私は、ここまできたのであ
る。
 この崇高なる師弟に、学会の世界的発展の原点がある。
 「師弟不二」であれば、打ち破れない「壁」などない。「師弟不二」に徹し抜いていけ
ば、今の何倍も、学会は発展していくことができる。
 仏法の師弟を忘れた恩知らずの輩に、大切な学会を食い破られてはならない。妙
法の宝剣で、魔と戦い、魔を断ち切っていくのである。

◆大法興隆の好機
 一、今、幾多の同志から、「本当に戦いやすい時代になりました」との喜びの声が寄
せられる。
 不可思議なる大法興隆の好機を迎えているのだ。
 日寛上人(にちかんしょうにん)は、「我等、妙法の力用(りきゆう)に依って即蓮祖大
聖人と顕るるなり」(当体義抄文段〔とうたいぎしょうもんだん〕)と仰せである。
 76周年の「創立の日」を迎えるにあたり、大聖人直結の「学会精神」「師弟の魂」を、
一段と深く強く、わが生命に燃え上がらせていくことだ。信心とは、宇宙大の智慧と力
の源泉なのである。

◆顔も生き生きと体も元気に満ち
 一、学会は、仏意仏勅(ぶついぶっちょく)の正義の団体である。
 学会は、仏法を基調とした真実の人間主義の団体である。
 戸田先生は、よく言われた。
 「広宣流布を行ずる学会員は、御本仏の行を、その代理として行ずる人である。
 ゆえに、その人の日常は、御本仏に感応して、偉大な生命力が涌出して、その顔も
生き生きとし、その体も元気に満ちて、いかなる困難にも打ち勝っていくことができる。
 人智(じんち)をもってはかり難い功徳を受け、諸天は必ず加護するし、魔および鬼
神は近寄れないのだ」と。
 御本仏のお使いとして戦った人を、諸天は断じて守るのである。
 ともあれ、新しい「前進・勝利」の息吹を満々と湛(たた)えながら、新しい広宣流布
の布石をしていく時代に入った。
 どこまでも、御書に仰せの「不惜身命」と「異体同心」 ── この二つを根底としてい
くことである。
 そして、万年の広布の未来をはるかに見すえながら、私と一緒に、同志と一緒に、
楽しく朗らかに希望の前進を開始してまいりたい! (大拍手)

◆「200」の称号で先師を荘厳(そうごん)
 一、創価学会の創立76周年を、世界からの200の「名誉学術称号」をもって荘厳し、
牧口先生、戸田先生に捧げることができたことは、弟子として、この上ない誉れであ
る。
 ありがたいことに、いくつもの大学が、名誉学術称号の授与の理由として、創価
「師弟の道」に対する大きな共感を挙げてくださっている。
 「師弟」とは、「信仰」の真髄であるとともに、「教育」の真髄でもある。
 アルゼンチンの名門フローレス大学のケルテース学長も、こう語っておられた。
 「私もまた、この素晴らしき師弟の関係を尊重し、自身の行動の基本としていく所存
であります。我がフローレス大学におきましても、恩師を顕彰するための特別室がご
ざいます。
 恩師の現代科学と人類への貢献は、我が大学の発展と前進を促しました」
 「(恩師は)私たちを英知の光で照らし、進むべき道を切り開いてくださいました」
 どこまでも、恩師を大切にし、宣揚(せんよう)する。徹して創立の師を重んじ、その
恩に報いる。
 そうであってこそ、組織や団体は、いかなる歳月の淘汰(とうた)にも揺るがない、
堂々たる精神の伝統を構築していけるのだ。
 このフローレス大学で、恩師として顕彰されている一人が、20世紀のアメリカ最高
峰の心理学者マズロー博士である。
 「人間主義心理学」を創始し、その洞察は今もなお、各界に大きな影響を与え続け
ている。
 このマズロー博士をめぐっては、核兵器廃絶を目指す科学者の連帯「パグウォッシ
ュ会議」の会長で、インドの「緑の革命の父」であるスワミナサン博士とも語り合った。
 マズロー博士は、権力の魔性を鋭く喝破し、それを超克(ちょうこく)していく「リーダ
ーシップ」のあり方を示している。
 博士は、警鐘を鳴らしている。
 「権力の獲得は、大抵の人達を、善よりも悪の方向に導いてしまう傾向にあるという
のが私の印象です」(エドワード・ホフマン編、上田吉一・町田哲司訳『マスローの人間
論』ナカニシヤ出版)
 人類の宿命的な命題であるといえよう。
 これを大転換していかない限り、不幸の流転を止めることはできない。
 博士は論じている。
 「権力を求める人間は、その権力を持つ資格のない者である」
 「仮にこのような人間が権力を得た場合、まちがった権力の行使をやりかねない。
 すなわち、征服、圧迫、人を痛めつけることなどによって、利己的快楽をほしいまま
にし、意識的、無意識的に権力の乱用をすることになる。このような人間がリーダーと
なった場合、義務も、職務も、目標も、すべて忘れさられてしまう」(原年廣訳『自己実
現の経営』産業能率短期大学出版部)
 仏法では、こうした権力の魔性を「他化自在天(たけじざいてん)」すなわち、「自分
以外のすべてを、自分の手段として利用しようとする、生命の根源的な傾向性」として
とらえる。そして、その魔性を本源的に打ち破り、自他ともの幸福を目指す道を説き明
かした。
 この戦いは、仏法を根本とした「人間革命」運動の一次元であるともいえる。
 だれよりも、まず指導者自身が、「人間革命」することである。

◆「軽蔑」する心が指導者を狂わす
 一、有名な『プルターク英雄伝』に、ある将軍の人生が描かれている。
 それは、強敵を打ち破り、多くの戦いで勝利を重ねて名を馳せた、ローマのルクル
ス(ルークルルス)である。
 彼は、勇気も智略も備えた将軍であった。
 しかし、ある時点から「順風(じゅんぷう)が止んだように」何事もうまくいかなくなって
しまったという。兵士たちの心も離れた。
 その「最大の原因」は何であったか。作家プルタークは洞察している。
 それは、「すべての人を軽蔑して自分に比べればまるで価値がないものと考えてい
たことである」と(河野与一訳、岩波文庫。現代表記に改めた)。
 他者を尊敬できない「傲慢(ごうまん)」、他者を大事にできない「慢心」が一凶であっ
たというのである。
 ゆえに彼自身が、自分の兵士たちから軽蔑された。
 我らの世界においても、幹部は断じて威張ってはいけない。また、威張らせてはい
けない。
 特に、女性に対して威張る幹部を許してはならない。


◆◆ わが後継の青年部よ 全員が山本伸一たれ!

◆育成の方程式
 一、リーダーになればなるほど、大きな心で、後輩たちの成長を願い、喜びとし、自
分以上に後輩を立派にしていく道を開いていかねばならない。
 どれだけ、後輩を大事にし、人材を育てたか。この一点にこそ、単なる「権力者」であ
るか、優れた「指導者」であるかの違いがあるのだ。
 マズロー博士は、「新しい人間」「創造的な人間」「臨機応変に即応できる人間」「自
信と勇気のある人間」の育成を目指していた。
 博士は、人間を育てていくために大事な方法をこう提示している。
 「人びとを成長させる一つの方法は、責任を与え、果たし得るものだと仮定し、苦労
をさせ、汗を流させることだと思う。
 彼らを過保護にし、甘やかせ、代わりにやってやるよりも、自分自身でやらせること
である」(上田吉一訳『人間性の最高価値』誠信書房
 学会の人材育成にも通ずる方程式といってよい。青年部は、誇り高く責任を担い、
自分自身を広宣流布の指導者に築き上げていただきたい。
 また、マズロー博士が目指した変革のビジョンがある。それは ──
 「社会の全成員が目標を明確に理解し、全力を尽くして各人になしうる最大の貢献
を果たすのが理想的な社会変革の姿なのだ。
 一人ひとりの人間が、皆等しく将軍となるのである」(金井壽宏監訳、大川修二訳
『完全なる経営』日本経済新聞社
 戸田先生の晩年に、私は青年部に「全員が戸田先生の如く」と叫んだ。そして、総立
ちして戦い、先生の総仕上げの歴史を飾ったのである。
 今、私は、わが後継の青年部に、「全員が山本伸一たれ! 」と申し上げておきたい
(大拍手)。

                 (〔中〕に続く)