全国最高協議会(1)



 皆に『喜びを与える』のが指導者

 青年を育てよ! 正義の炎を未来へ

 真剣と誠実は勝利! 要領と口先は敗北!

 一、はじめに、上半期の全同志の奮闘に、最大に感謝申し上げたい。

 本当に、ご苦労さまでした。ありがとうございました(大拍手)。

 また、伝統の夏の最高協議会の開催、ご苦労さまです。

 広宣流布のために、次の戦いを、しつかりと勝つように、心一つに打ち合わせを進めてまいりたい。

 「勝つ」ことが、全会員の喜びであるからだ。

 そしてまた、「勝つ」ことが、広宣流布が進むことであるからだ。

 仏法は勝負である。勝たねばならない。

 勝つことで、子孫末代も幸福になる。

 勝ち抜いた福徳は、親から子へ、そして未来へ永遠に伝わっていくのである。

 さあ、創立80周年(2010年)へ新たな出発である。

 断じて勝とう! そのための最高協議会である(大拍手)。

 一、「真剣」と「誠実」は勝利である。

 「真剣」とは、環境や状況がどうあれ、わが責任を果たし抜くことである。

 「誠実」とは、だれが何と言おうが、自分が犠牲になって、勝利に尽くしていくことである。

 その通りに、私は行動してきた。

 最も大変なところで、常に勝利の証しを打ち立ててきた。

 苦労は自分が 

 一、「要領」と「口先」は敗北である。

 叱ったり、号令をかけるのは、指導者ではない。親分だ。

 苦労は自分が背負って、皆は楽にさせてあげる。

 学会を守る。一生懸命に戦ってくださっている会員を大事にする。

 それが指導者である。この「正しき道」を最高幹部がつくっていってもらいたい。

 人を動かそう、人にやらせよう──その怠惰な命は叩き切っていく以外にない。根本の魂を変える以外にない。

 人の心をつかむ人が、指導者である。

 皆を喜ばせてあげる。

 元気にさせてあげる。

 それが本当の指導者である。

 指導者は同志に好かれることが大事だ。

 「いつもありがとうございます!」「本当にご苦労さまです!」と頭を下げて、同志を讃え、感謝を伝えていくことである。

 広布に戦う学会員ほど、尊い存在はない。

 だれもが等しく大切な「仏子」である。

 この尊き司志を守ろう! 真剣な同志に応える戦いをしよう!──その心がある人が伸びていくのだ。

 反対に、同志を軽んじたり、広布の和合僧である学会を私利私欲のために利用する人間の末路は厳しい。

 御聖訓に説かれている通りだ。

 弟子が立て! 

 一、「『師弟』を知った人は、真実の人間である。

 まっとうな人間の世界は、すべて『師弟』があるのだ。

 そして、その人は、勝利の人生を歩む。

 『師弟』をおろそかにする者は、畜生の世界である」

 これが牧口先生、戸田先生の確信であられた。

 私も青年時代から、戸田先生に仕え切った。

 戦後間もなく、戸田先生の事業が挫折。

 再建の見通しはなく、大勢の借金取りに追われ、先生のご心痛は、どれほどであったか。まさに地獄であった。

 その時、私が一人、師子奮迅で立ち上がり、戸田先生の事業を支えた。

 何カ月も月給はもらえない。

 もらえないどころか、私が何とか工面して、また、私と妻の実家にもお願いして、戸田先生をお守りしたのである。

 それから考えれば、皆は恵まれている。

 偉大な戸田先生を貶めようと、悪意のウソを書き立てる人間もいた。

 戸田先生を師匠と思えない慢心の幹部もいた。

 そうした輩と、一切の妥協なく、戦い抜いたのも私である。

 私は祈った。

 ──広宣流布の真実の指導者は、戸田先生しかいらっしゃらない。

 断じて戸田先生に次の会長になっていただくのだ。

 そのためなら若い私は、どんなに犠牲になってもかまわない。

 絶対に私が戸田先生を会長にするのだーと。

 そして、昭和26年(1951年)の5月3日、戸田先生は、晴れて第2代会長に就任された。

新たな前進へ!"鍛えの夏"が到来

「勝つ」ことが広宣流布

 リーダーは 自ら戦い 同志を守り抜け

 先生は勝った!

 弟子も勝った!

 先生は、すべて分かっていてくださり、「悪いな、大作。ありがとう、大作」と涙を流されたのである。

 さらに私は、生涯をかけて、戸田先生の偉業を全世界に宣揚してきた。

 古代ローマの哲学者セネカは綴った。

 「賢者が偉大である理由は何か。偉大な魂をもっているからだ」(大芝芳弘訳『セネカ哲学会集5』岩波書店)と。

 創価学会の偉大なる「師弟の魂」を、心賢き皆さんに受け継いでいただきたいのである。

 言葉の励ましから最高の力が 

 一、青年時代、私は戸田先生のもとで多くの古典や文学作品を学んだ。吉川英治氏の『三国志』も、その一つである。

 ある時、先生が「諸葛孔明の、あの言葉はよかったな」と言われて、次の一節を紹介されていたことがある。

 「言葉をもって励まして、初めて責任も一層強く感じ、相手の認識も新たにすると申すものです」(講談社

 孔明が、主君である劉備玄徳に対し、部下への接し方について述べた言葉である。

 「大丈夫だろう」「わかっているだろう」では危ない。大事なことは明快に声に出して伝える。励ましを送る。

 そうであってこそ、相手は深い責任感に立って、最高の力を発揮することができるのである。

 私は「その通りだと思います」とお答えした。

 どんな時でも、文学や哲学をめぐって、師弟の語らいは花が咲いた。

 知っていることは、すべて教えておきたい──先生は、そういう思いで私に万般の学問を授けてくださった。日々の語らいも、すべてが訓練であった。本当に偉大な師匠であった。

 青年を育てる。青年を偉くしていく。それが本物の指導者である。

 戸田先生は、徹して青年部を大事にされた。婦人部を大切にされた。

 若い人や女性を手下のように使って、軽んじる──それは真実の指導者とはいえない。

 一、中国の古典である『貞観政要(じょうがんせいよう)』には、こう記されている。

 「始めにおいて勤めなければ、終わりに悔いることがありましょう」(原田種成著『新釈漢文大系第95巻』明治書院

 何事も、真剣に努力して取り組まなければ、満足する結果を得ることはできない。最後は後悔しか残らないであろう。

 特に青年部の皆さんは「私は全力を尽くした」と言える、完全燃焼の青春を生き抜いていただきたい。

 行き詰まったら題目をあげよ 

 一、現在、全国の会館や研修道場では「夏季フリー研修」が活発に行われている。

 また、各地で人材グループなどの代表による研修が予定されていると、うかがっている。

 夏の研修会は、創価学会の偉大な伝統となっている。

 牧口先生の時代には、昭和11年(1936年)8月に、第1回創価教育学会修養会(研修会)が開催された。

 以後、牧口・戸田両先生が投獄される前年の昭和17年の夏まで、毎年、行われたのである。

 この研修会では、朝はラジオ体操を行ったり、夜は座談会を開催したりするなど、心身錬磨の研修が活発に進められた。牧口先生にとって、本山(大石寺)で開催する研修会は、烈々たる「破邪顕正」の闘争の場であった。

 昭和16年の研修会では、牧口先生は「法罰論」を誹謗する宗門の坊主の邪義を、厳しく破折されている。

 先生は、宗門の坊主の臆病な主張を破折して、師子吼しておられた。

 「御本尊は偉大な力がおありになる。罰なくして、大利益があるわけがない」

 「御本尊をじっと拝んでみよ。『若し悩乱せん者は頭七分に破れん』との御本尊のおおせが聞こえないか。御本尊が罰をおおせではないか」

 烈々たる大確信の叫びであった。

偉大なる師弟の魂を受け継げ

 私たちには、偉大な御本尊がある。

 行き詰まったら、まずは題目をあげることだ。祈って、最高の智慧を湧きいだす。そして行動していく。

 乗り越えられない困難など、絶対にないのだ。

 一、戸田先生もまた、出獄された翌年、昭和21年8月に戦後第1回となる学会の夏季講習会を開催された。

 ここでは御書講義、質問会、座談会などが行われている。

 以後、逝去の前年となる昭和32年の夏まで、毎年の伝統として、こうした講習会を実施された。

 この夏の研修を一つの前進のリズムとして、75万世帯の弘教達成への上げ潮はつくられていったのである。

 さらに戸田先生のもと、男子部の精鋭による「水滸会」の野外研修が行われたことも忘れ得ぬ思い出である。(昭和29年9月、奥多摩氷川キャンプ場、昭和30年6月、山梨の河口湖・山中湖で)

 私は、こうした伝統をさらに発展させ、夏の研修や夏季講習会を通して、人材の育成に全力を注いできた。

 原点に立ち返れ 

 一、水許会の野外研修の際、キャンプファイアーの燃え盛る炎を指さされ、戸田先生はこう語られた。

 「この燃える薪は、私たちの生命である。そして信心の炎であり、学会精神である」

 先生は、一回一回の研修に全魂を注いでくださった。"広宣流布の炎"を断じて青年に託すのだとの思いで、一つ一つ訓練してくださった。

 先生のご指導は、すべてが遺言のごとく、私の胸に焼き付いている。

 また、同じく野外研修の際に、バンガローや旅館では勤行・唱題が思うようにできないことから、「将来、思う存分に、信心と人生の鍛錬をする所が必要である」と述べておられた。

 現在、日本中、そして世界中に、数多くの学会の会館や研修道場が設立されている。

 私が、こうした施設の建設に力を注いできたのも、恩師の願いを実現したいとの思いからであった。

 いよいよ"鍛えの夏"本番である。

 まずは最高幹部が団結し、新たな勝利のために真剣に協議していくことだ。もう一度、原点に立ち返って、自身の信心を磨き抜いていくことだ。

 十分に英気を養いつつ、さらなる前進への万全の土台を築いてまいりたい(大拍手)。

 (2007・8・6)