第36回 一度も しりぞく心なし 

 人生も、社会も、戦いだ。
 周りを見れば、さまざまな団体が行き詰まり、疲弊している。先が見えない時代だ。
 そこを突き抜け、突進したところが勝つことができる。
 だから歩みを止めてはならない。ここが正念場だ。御聖訓には「日蓮一度もしりぞく心なし」(御書1224ページ)と厳として仰せである。
 闇が深ければ深いほど、仏法の人間主義が光る。今は一歩も引いてはいけない。
 戸田先生は叫ばれた。
 「大革命をやるのだ。武力や権力でやる革命ではない。人間革命という無血革命をやるのだ。これが本当の革命なのだ」と。
 前へ進めば、逆風もある。壁にぶつかることもある。
 もうだめだ、と思った、そこからが、本当の勝負だ。一段と題目をあげ、勇気をもって行動するのだ。
 必ず状況が変わる。境涯が大きく開ける。今世の戦いに悔いを残してはいけない。
    *  *  *
 今、学会には新しい息吹があふれている。すごい学会になった。世界の192力国・地域で、求道の心燃える同志が勇んで前進している。
 皆、よくやってくれた。
 学会が、このように強くなっているのは、同志が皆、一生懸命であり、熱心だからだ。本当に、まじめに戦ってくれたからである。
 皆が、どうすれば喜ぶか、幸福になるか──これを第一に考えるのが、新時代の指導者でなければならない。
 悩める人のためならば、飛んでいって手を尽くす人。皆のため、社会のために、働き切った人こそが、最後の勝利者となる。その実践の中で、わが生命が金剛のごとく鍛えられていくからだ。

第35回 勢いで勝て! スピードで勝て!

 いよいよ「青年学会 勝利の年」へ出発である。
 毎日、日本の各地から、世界から、さまざまな連絡を受けるが、皆、元気だ。勢いがある。
 全てが自分のため、広宣流布のための大事な戦いだ。
 仏法に無駄はない。
 動いた分だけ、語った分だけ、仏縁が広がる。生々《しょうじょう》世々、大功徳に包まれる。
 これを晴れ晴れと確信していただきたい。
    *  *  *
 激しい競争社会の中で苦労している人を、真心込めて激励していく。そこにも仏法の真価が光る。「信心即生活」である。この励ましを懸命に続けてきたから、学会は大きく発展してきた。
 人の苦労が分かる指導者になるのだ。
 どんなに小さいことであっても、しっかり反応していかねばならない。
 打てば響く反応が大事だ。反応のスピードで、学会は躍進してきた。
 恩師・戸田先生は、いざという時に、惰性の心で出遅れた者がいたら、「『遅参 其の意を得ず』だ!」と、それはそれは厳しかった。
 全て早く。先手を打つ。これが一流の人間である。
    *  *  *
 広宣流布は拡大戦だ。希望を拡大し、友情を拡大し、幸福を拡大していくのだ。
 日蓮大聖人は、打ち続く三災七難を深く憂え、「結句は勝負を決せざらん外は 此の災難 止み難かるべし」(御書998ページ)と仰せである。
 我らは敢然と、正義の師子吼を放つ。平和な幸福な、本当の人間主義の世界を創り出すのだ。

 抜き書き

「今日は、壮年の皆さんに、何が広宣流布を阻むかということを申し上げておきたい。
それは、環境や状況の厳しさではなく、幹部の一念に宿る『妥協』と『あきらめ』のことです。“私の地域は、ここまで来たんだから、もうこれ以上無理である”“目標は掲げたが、実際には達成できなくても仕方ない”などという思いが、リーダーである幹部の心の中にあれば、戦いはすでに敗れたも同然です。一念は、勝利の原動力です。それが崩れてしまえば敗北しかありません。

布教は宗教の生命であり、広宣流布とは正法の拡大にある。この正法を弘めずしては、人びとの幸福はない。その拡大の方法は、時により、地域により、異なることは当然ですが、月々年々に、拡大がなければ、それは停滞である。

世間では、創価学会は三百万世帯を達成したんだから、これ以上、発展することはないだろうと言われていますが、それはとんでもないことであります。“誰が何と言おうが、広宣流布してみせる!”“たった一人になっても、法を弘めぬいて死んでいくぞ!”という決意を持って、行動していくならば、学会は無限に発展していきます。」

『新・人間革命』 第8巻 布陣

これは広宣流布、広布拡大について述べられたいっせつであるが、個人の生活にも当てはまるのではないだろうか。
“これでいいだろう”“もう無理だ”と心によぎるものがあれば、胸中でお題目をあげて、あきらめの一念を払拭していかなければならない。
己心の魔との戦いである。己心の魔とは第六天の魔王、すなわち他化自在天との戦いである。
自身の胸中に「池田先生だったらどうされるか」ということを考え抜いて行動してまいりたい。

 抜き書き

すべての人に、自分でなければできない、自分の使命がある。
使命がなければ生まれてきません。



人間も、それぞれの使命があって存在するのです。
いわんや若くして妙法に縁した君たちです。
君には君でなければできない、君の使命がある。
必ずある。
そう確信し、誇りを持ってもらいたい。



池田名誉会長著作「青春対話」